MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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魔女と狗の対話は何を生むのだろうか……。

本編へどうぞ。


第13話「横浜の魔女と相馬の狗」

side・黒川

 

重たい目蓋をどうにか開くと、暗い闇の世界だった。

目が慣れて、意識がはっきりしてきたらそこは管制ユニット内だった。

俺はハッチをあけ、降車する。

 

 

そこでは戦術機の足元で整備班が走り回り、指示を飛ばしていた。

 

 

どれくらい気を失っていたのかは分からないが、日が暮れかかっていた。

 

「……。」

 

寝起きの所為か頭が重いし、ハッキリしない。

とりあえず、戦術機の座席から着替えを取り出して更衣室へ向かう。

 

 

着替えて更衣室を出ると、前から金髪の少尉が近づいてきて敬礼する。

それに俺も敬礼で返す。

 

「初めまして、香月副司令の秘書を勤めています、イリーナ・ピアティフ中尉です。」

「初めまして、帝国軍本土防衛軍所属、黒川敏行少佐です。」

 

とりあえず握手をし、互いに自己紹介を済ませる。

 

「早速ですが、香月副司令がお呼びですので、ご同行願えますか?」

「了解しました。案内、お願いします。」

 

彼女についていくとエレベーターが見えた。

中尉がそのエレベーターに乗り込んだので、あとに続く。

 

 

チンと鳴るとエレベーターのドアが開く。

 

「これより先の同行は許可されていません。」

「分かりました。ありがとうございます、中尉。」

「はっ。失礼します。」

 

俺は降りて敬礼する。

イリーナ中尉も敬礼をするとエレベーターのドアを閉めた。

 

 

少し歩くとふと、何者かの気配を感じる。

どこからか自分を盗み見る気配だ。

 

「ふむ。」

「……。」

 

気配をまた感じる。

この感じ、まるであの子達だな。

そして通路の角から俺を眺めている少女を見つける。

 

「見ていたね。」

「!?」

 

少し近づくと少女は後ろに下がる。

俺が数歩近づくと少女も数歩下がる。

 

「……。」

「……。」

 

少し微妙な空気が流れる。

取り敢えずその場から動かないで少女に話しかけてみる。

 

「あれは俺の絶望、憎しみ、恐怖、そしてその果てだ。」

「……。」

「だから見ないでくれ。生きる為に何でもした人間の心は、お前さんじゃ耐えれない。」

「……。」

 

頷く少女に嘗てのリアを重ねる。

そうか。この子はあの時のリアに似ている。

大陸の頃のあの子と。

すると不愉快な干渉がなくなる。

 

「いい子だな。」

「……。」

 

とりあえず彼女に近づいて頭を軽く撫でる。

少女は全く抵抗しない。

まるで暖かさを確かめるかのようにしている。

 

「自己紹介がまだだね。私は黒川敏行と言う。」

「社。社霞です。」

「よろしくね、社ちゃん。」

「はい、よろしくお願いします。」

 

互いに握手する。

 

「何、あんたロリコン?」

 

すると後ろから誰かが話しかけてくる。

まぁ、このフロアにいる人間など一人しかいないので分かり易い。

 

「いい子ですね。」

「ふ~ん。」

 

まるで何かを品定めするような声で香月副司令が生返事をする。

 

「所詮、過去など記憶です。けれど、それは人の人格を構築する上で重要なファクターとなります。」

「へぇ。」

 

どうやらいい答えを引き当てたらしい。

まぁ、あまり関係ないか。

 

「で、自分の仕事は?」

「着いて来なさい。」

 

俺は香月博士に付いていく。

その後ろをあの子が付いて来る。

 

 

 

横浜基地の最深部、魔女の一室は正直、汚部屋だった。

書類が積み重なって床に直置きされており、カーペットが見えない。

床は床で隅や角に誇りが溜まっている。

今すぐにでも掃除機を掛けてゴミを分別したかった。

だが、一応家主の許可なしで出来ることでもないので、我慢する。

 

「流石、後藤の狗ね。それとも猟犬かしら?」

「ご冗談を。あの様な腑抜け、我が隊には1人とて居りません。」

「言うわね。」

「事実を述べているだけです。」

「……。」

 

香月副司令の目が値踏みしてる目だった。

少し試してみるか。

 

「それとも、1人を相手にあのような対処をすることが優秀とでも?」

「いいえ。けど、そこまで酷いかしら?」

「酷いを通り越して劣悪ですね。

技量自体は優秀でも、他が足を引っ張る要因となっています。」

 

あれで精鋭なら相馬原の部隊は最精鋭だ。

そう言えるほど悪い状況だ。

 

「理由を述べなさい。」

「1つ目は基地の気風です。

前線から離れている訳でもないのに、安全だと思って不抜けてます。

その場の空気や雰囲気は時に冷静さを欠かすことは過去の事例からも推測できます。」

 

事実、ハイヴが足元にあるのに気を抜きすぎだ。

これでは有事の際に対応できないし、必ず失態を犯す。

 

「2つ目はAH戦の数が圧倒的に足りません。我々と比べて圧倒的に、です。

シュミレーターでも回数を重ね、難易度を上げるべきですね。」

「確かに、それは否定できないわね。」

 

そこら辺は俺の経験と向こうの指揮官の経験の差だろうな。

汚い仕事もこなした身としては、対人戦も嫌ほど味わったしな。

 

「そして最後ですが……。」

「何よ。」

「相手を過小評価することです。

あの部隊の全戦力を投入して全力を持って当たれば、或いは一筋の巧妙を見出せたやも知れません。」

 

自信過剰に、それでいて傲慢不遜に振舞いながら言う。

副司令のケレン味が移ったらしい。悪くないな。

それがツボに嵌ったのか、急に笑い出す香月副司令。

 

「あっはっは。本当に後藤が『最強の狗』と言うだけあるわね。」

「えぇ、後藤副司令がやろうとしている事を理解した上で従っていますから。」

 

その為なら大量殺戮の英雄でも何でもなってやる。

 

「そうね。だからこそ、駒としては至上ね。」

「で、仕事の内容は?」

 

姿勢を正し、傾注する。

 

「期間内に最低でも納得のいくラインまでVFA-01、通称伊隅ヴァルキリーズを仕上げなさい。」

「イエス、マム。」

 

さて、これから楽しい教導の時間だ。

身を引き締めないとな。

とりあえず、あれを上申するか。

 

「ところで、一つご相談があります。」

「何かしら?」

「この汚部屋を掃除する許可をください。」

「……はい?」

 

1時間後、香月副司令の汚部屋は綺麗な部屋にジョブチェンジした。

なお余談ではあるが、これを見た友人の神宮寺まりも軍曹はこの部屋の様相を見て

「夕子、何があったの!?」

と激しく狼狽したとか。

 

 




とりあえず完成した分のストックはこれで終了です。

次は未定です。就職活動状況次第ですね。

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