MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

21 / 29
今回はちょっと短いです


第15話「戦友」

 

side・黒川

 

早朝、俺はシミュレーションルームでデータを入力していた。

予めリアが作成したパッチを当てて、現地で更新する所を更新する。

 

 

カタカタカタカタ………

 

 

周囲にはキーボードを叩く音と機械音しかしない。

リアほど早く入力できないので、気がつくと昼前になっていた。

しかし、それでも半分しか入力できなかった。

 

「ふむ。」

 

とりあえずでイイと割り切り、手を止める。

すると、腹の虫が抗議の声を上げる。

 

「そう言えば、朝から何も食べていなかったな。」

 

ツナギのまま、俺は食堂へ向かう。

 

 

 

席を探していると風間少尉が手招きをしていたので、反対側の空いている席に座った。

 

「ありがとう。」

「どういたしまして。」

 

行儀は悪いが、仕様書を見ながら終了した作業項目にチェックを入れていく。

まだ半分以上残っていると思うと気が重い。

リアならもう終わっているのにな。

 

「どうかしたか?」

「いえ、どうして作業着なのかと思いまして。」

「あぁ、その事か。」

 

言いながら俺は仕様書を祷子ちゃんに見せる。

 

「シミュレーションのデータ追加方法ですか?」

「そうだ。あいつなら短時間でできるんだが、俺はそこまで優秀じゃないのでね。

これを見ながらしていたのさ。」

 

正直、膨大な量を裁くのには時間が足りない。

それに加えて情報の入力には俺の限界がある。

その結果、どうしてもあいつの2倍以上時間が掛かる事となる。

 

「どうにもままならないものだ。」

「何がですか?」

「ん?あぁ、作業効率の事だ。」

「効率ですか?」

 

祷子ちゃんの尋ねに頷いて答える。

 

「適材適所は必要だなと思ってね。」

「確かにそうですね。ポジションでも適材適所ですしね。」

「ま、愚痴っても仕方がないさ。

どうせ予定では今日1日は作業で潰れるしな。」

 

スケジュールはある程度決めているし、そこまで慌てることでもない。

 

「じゃ、俺は作業に戻るから。」

「お疲れ様です。」

「あぁ。」

 

話もそこそこにし、シミュレータールームに戻る。

 

 

side・神宮寺

 

座学が終わり、一息つきながら考えるのは夕子の部屋の劇的な変化だ。

昨夜、夕子の研究室が何故か綺麗になっていた。

誰がしたかは知らないが、正直安心した。

あの部屋の汚さは前々から頭を悩ましていたし。

けど、本当に誰がしたのかしら。

 

「久しぶりですね、少尉。」

「えっ?」

 

すると誰かに声をかけられたので振り向く。

そこには帝国軍の制服を着た少佐が立たれていた。

……誰?

何処かで見たことあるのだけど、思い出せない。

 

「あの、どちら様でしょうか?」

「……。」

 

すると少佐が微妙な顔になる。

そして何かを考えているのか頭を掻いている。

 

「あ~、黒川敏行ですよ。」

「黒川中尉!?」

 

つい驚いてしまった。

あの新任の中尉が少佐になっていた事もあるが、何よりあの当時と顔つきが全く違う。

幼さが消えた青年そのものだった。

何だか感慨深い思いが込み上げて来る。

 

「えぇ、今では少佐ですけどね。」

 

苦笑しながらも敬語で話してくれる辺りは変わらないわね。

外見は変わっても根底はそこまで変わってないみたいね。

 

「本当に久しぶりですね。何年ぶりになりますかね?」

「9.6作戦以来だから、6年以上ですかね。

あ、自分は敬語は大丈夫なので。」

「分かったわ。しかし、お互い年をとったわね。」

「そうですね。」

 

思えば6年以上も経てば少年も青年になるしね。

昔のままとはいかないわね。

 

「そう言えば神宮司さんは教導隊からこちらに?」

「えぇ、引抜よ。」

「へぇ。と言う事は香月副司令経由ですか。」

 

「その通りよ。そう言う黒川君は?」

「自分は相馬原基地の方でアグレッサーをしています。」

 

アグレッサーと言うとエリート部隊ね。

まぁ、彼らの経験から言えば当然と言えば当然ね。

 

「へぇ、エリートね。

でもどうして帝国軍人がここに来たの?」

「香月副司令の要請ですよ。これ以上は本人から聞いてください。」

「分かったわ。所で、どれくらいここに居るの?」

「1週間とは言われましたが、延長しそうですね。」

 

気疲れした様にため息をつき、肩を落とす。

どうやら彼も色々ある様ね。

 

「そう。暇があったらお茶でもしましょう。」

「了解です。では、失礼します。」

 

そう言うと彼は真っ直ぐに何処かへ行く。

 




神宮司軍曹登場。
凄い上官に付いていく苦労人達です。

因みに、恋愛フラグは立ちませんので悪しからずorz

では感想お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。