クローンの君と半分エーテリアスの僕   作:kakerutakeda

5 / 7
書き溜めしておいたやつを投稿してます
最近公式が結構ストーリー進んで、焦り始めたので。


隠れ家

 

 

--

 

「テトラ、動けそう?」

 

クラルはナイフを拾い上げ、テトラに投げ渡す。

 

「……! また、その名前で」

 

 

 

テトラは言葉を詰まらせるが、敵を前に返事をする余裕などない。

刹那、再び銃火が走る。

 

「散開して囲め!」

 

兵士たちが隊形を変え、視界を遮る瓦礫を背に三方から射撃を開始する。

 

クラルはマントの裾を翻しながら、弾道の軌跡を読み、跳躍する。

弾が掠め、火花を散らすが、身体はぶれない。

 

「右を頼んだよ」

 

「言われなくても」

 

テトラは足元の小石を蹴り上げ、わずかな間隙を作り出す。

その隙に身体を滑り込ませ、ナイフで敵の銃を弾くと同時に、裏拳で気絶させていく

 

「一人、ダウン」

 

クラルは口角をわずかに上げながらも、視線は鋭いままだった。

 

「……やっぱり、君は強いね」

 

「当然。私は兵士」

 

そのとき、頭上から轟音が響く

ロケットランチャーだ

 

「上――!」

 

クラルは即座にエーテルを解放する。黒剣の刃が、空間を歪ませながら飛び、発射された弾を切断する。

爆ぜた閃光とともに塔の上部が崩落した。

 

「こっちだ、隠れろ!」

 

クラルは瓦礫の隙間に身を滑り込ませ、テトラの腕を掴んで引き寄せた。

「……っ、今の……エーテリアスと同じ動き……」

 

テトラの声に緊張が走る。クラルのマントはめくれ、その下の赤い痕跡が見えていた。

 

「……後でだいたい説明するから」

 

「先に言って、重要なこと――」

 

「テトラ!!」

 

再び銃撃が飛ぶ。クラルはその問いに答えず、地を蹴って前方へ突進した。

黒剣が弧を描き、銃を断つ。そして最後の兵士を峰打ちで気絶させた

 

「このあと、君がどう行動するかで、僕が答える問は変わるよ。」

 

「そうね(軍から狙われてるってことは、自分の身元や自分に関する情報は消されているはず、もともとクローンだから親族は居ないけど…

他に行くところもないし…)」

 

「もしよかったら…」

 

「あなたと一緒に行動する

そのほうが生存率が上がるから」

 

クラルの隠れ家にて

 

薄いトタン屋根に雨粒が時折ぱらつき、錆びた鉄と湿った土の匂いが漂っていた。

瓦礫を積み上げただけの簡素な建物――それがクラルの隠れ家だった。

 

「……ここが僕の住処だよ」

クラルは前を歩くテトラを振り返り、肩をすくめてみせた。

「見てのとおり、あんまり立派じゃないけど、エーテル濃度は安定してるからね。エーテリアスに襲われる確率は低いんだ」

 

テトラは足を踏み入れ、周囲に視線を巡らせる。

「……悪くないわ。むしろ、生き残るには理想的な立地じゃない」

 

「でしょ?」

クラルは少しだけ誇らしげに笑い、部屋の奥へと進んだ。

 

壁に掛けられた写真立てが、ふとテトラの目に留まる。

そこにはクラルと数人の若者たちが肩を並べて写っていた。

中でも、背の高い青年がクラルの肩を抱き寄せるように写っている一枚は、時間が止まったままの温かさを宿していた。

 

「……これ、仲間?」

 

「うん。昔のね」

クラルは一瞬、声を落としたが、すぐに笑みを取り戻した。

「今はもう、僕だけになっちゃったから……写真くらいは残しておきたいんだ」

 

テトラは写真を見つめながら、何も言わなかった。

ただ、その無言がクラルには十分に伝わった。

 

「まあ、気にしなくていいよ。今は君がいるからね」

クラルは荷物を片付けながら、軽く言った。

「二人で使うにはちょっと狭いけど、屋根はあるし……住めるでしょ?」

 

テトラは短く息をつき、肩を落とす。

「……住めるわ。贅沢を言う状況じゃないもの」

 

「そうだよね」

クラルは笑って、錆びたポットに水を注いだ。

「じゃあ、今日からここが二人の隠れ家ってことで」

 

テトラは彼の背中を見つめたまま、小さく呟いた。

「……了解」

 

雨音がトタンを叩き、二人の新しい生活の始まりを告げていた。

 




読んでいただきありがとうございます

感想書いてもらえると励みになるかもです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。