実験は失敗です!~死ぬぞでんじろう~   作:SAMICO

2 / 2
第2話

「でんじろう博士、まだ実験を続けるつもりですか?」

 

その言葉を発したのは、もちろん葛城ミサトだった。前回の“ラムネメントス事件”から数日が経過し、ネルフの中はようやく平穏を取り戻したかに見えた。しかし、でんじろう博士はその静寂を許さなかった。

 

「もちろんだよ、ミサトくん! 科学の世界は失敗から学ぶものなのだよ!」

「いや、学んだことは山ほどあるけど、それを次回に生かしてほしいだけよ! 今度は何をするつもりなの?」

 

ミサトは深いため息をつき、振り返った。そこには、またしてもエヴァの格納庫前に設置された「でんじろうラボ」の装置群が並んでいた。なんともシュールな光景だ。

 

「今回はね、重力加速実験だ!」「はぁ?」

 

「重力加速? それってまた、どういうことなのよ?」

 

ミサトの目が、いよいよ疑念でギラギラと光り始める。でんじろう博士は無邪気な笑顔で説明を始めた。

 

「いやね、エヴァを使って、人工的に重力を倍加してみるんだ! これにより、重力の影響を受ける物質や生命体の挙動を分析するんだよ。簡単に言うと、エヴァを宇宙に飛ばして、さらに加速させるんだ!」

 

「ちょ、待って! 宇宙!? しかもエヴァで!? どこに行くのよ、重力の実験!?」

 

「もちろん、これは高度な科学実験さ。わかるかね、ミサトくん? もし成功すれば、人類の宇宙開発に革命をもたらす可能性があるんだよ!」

 

その時、シンジが一歩踏み出し、小声で呟いた。

 

「いや、でも前回だって結局、格納庫がラムネの海に……」

 

「シンジ!」

ミサトは肩を小さく震わせながら、シンジの顔を見た。彼も一緒に突っ込むわけにはいかないと感じているのか、黙り込んだ。

 

アスカが言った。

「ったく、またあの男が何かやろうとしてんのね。どこでまた爆発するんだか。」

 

その言葉にレイが頷き、冷静に言った。

「事故の予防策は取ったほうがいいかもしれません。」

 

だが、でんじろう博士は何の気なしに続けた。

「いや、今回は万全だよ! もちろん、エヴァに搭載する装置も改良済みだし、過度な重力に耐えられるようにしてあるよ!」

 

「『過度な重力』って……それ、大丈夫なの!?」

 

ミサトの目が鋭くなる。だが、でんじろうは構わず実験の準備を始める。

 

「では、いよいよ実験開始だ!」

 

全員がエヴァの操縦席に座り、シンジは「またかよ」と呟きながらスイッチを押した。その瞬間、格納庫全体が微動だにし、エヴァが少しずつ上昇を始めた。

 

「どうだ、シンジ君? 重力加速度は完璧に制御されているか?」

「いや、まだレバーを引いてないし、何も起きてないよ。」

 

その言葉を合図に、でんじろう博士が操縦室に設置されたレバーを引いた。

 

突然、初号機に圧倒的な加速がかかる。まるで地球の重力が突然10倍になったかのように、シンジの顔がひきつる。

 

「ちょっと待て、博士!! こんな重力じゃ操作できない!」

「大丈夫、大丈夫! 科学の力があれば、すべてが解決する!」

「違う! こんな実験、絶対にダメだってば!!」

 

次の瞬間——

 

バキッ!!

 

初号機の足元で何かが割れた。ミサトがドアを開けた瞬間、初号機がバランスを崩し、勢いよく地面に倒れた。

 

「く、くそっ! 初号機、制御装置が故障してる!」

 

格納庫全体が揺れ、天井のライトが数個落下。でんじろう博士は「これで重力加速度を計測できるぞ」と呟いていたが、ミサトは何も答えなかった。

 

「死ぬぞでんじろう!!」

 

その一言で、ようやく博士の笑顔が崩れた。だが、彼はすぐにまた得意げな表情を見せて言った。

 

「まあまあ、ミサトくん、こんなこともあるさ! 重力加速度のデータは取れたし、むしろ成功なんだよ!」

 

「成功って何よ、この状態で! あんたのせいで、初号機がぬかるみ状態だし、格納庫は大惨事だし! そしてまたまたミント味!」

 

「…ちょっと待て、ミサトくん。次は重力トンネル実験を試してみるのはどうだろうか。」

 

「死ぬぞでんじろう!!!!」

 

その一言で、でんじろう博士の実験は中断された——

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。