社会人ってつらいんですね・・・。
私事で失礼しました。お盆にもう一話出せればいいなと思ってます。
それではどうぞ。
「やりなさい、ダークナイト」
「御意。」
カティアは、命令を下す。すかさず煉獄のダークナイトが大剣を振るう。その魔剣は煉獄の名に恥じぬ焔を操る。それはまるで地獄を纏っているかのような紅い軌跡を残し、オルトスの首へと向かう_
_が、オルトスがいとも簡単に左手で掴んだ。動揺したダークナイト、ガラ空きとなったそのみぞおちに蹴りを叩き込み、吹き飛ばす。
「私を忘れちゃ困るわ!」
気配を消して接近した仮面の女___シズが背後に回り、同じく焔を纏った剣で突きに行くが、それも同様に右手で掴まれ、投げ飛ばされる。オルトスは、2人を見て、そして火傷した左手、切りつけられた右手を見て、
「私に傷をつけるとは、この前喰らった銀嶺の2人より強いのだな。」
と言った。
「やはり、貴方があの二人を…!」
体制を立て直したシズが激高するが、ふと気づく。あの2人の少女はどこへ行った。貴族のような男もいない。
一瞬遅れてオルトスも気付いた。姿が見えない。
見回していると、上から声が聞こえた。
「_品のないこと。高貴な者は、上品に獲物を狩るものよ。」
オルトスは上を見上げる。同時にカティアが、その鋭い爪を右目に突き刺した。
「ぐあっあああああ!」
血が溢れ出る眼窩を抑え、オルトスは仰け反り悲鳴をあげる。
「ヴァンピィちゃんはサイキョーですし!!」
「ッ!?」
仰け反りがら空きとなった腹部に足元の影から現れたヴァンピィが拳を叩き込む。
オルトスはモロに食らい玉座まで吹き飛んだ。カティアが入っていたカプセルの名残が宙を舞う。
「がァッ……!っぐ…クソッ」
コツコツと、かわいた靴の音を響かせながらオルトスへと歩み寄る少女。
「く、来るな!きっと後悔するぞ!」
「あら、ならさせてみて頂戴?」
苦し紛れにしか見えないオルトスの抗議だったが、ふとオルトスが何かを見つける。
「貴様…!ん?それは…そうか!ふははは!良いぞ、いま後悔させてやる!」
オルトスは懐から何か結晶のようなものを取り出し、カティアの目の前に翳す。それが怪しく光ると、カティアは苦しげに膝を着いた。
「………これは、あの子の魔素が無くなってるのね。これ以上は、私を維持するだけの魔力が…」
さらに。
「ぐっ…申し訳ございません。この失態は煉獄で_」
「生意気なの~…」
ダークナイト、そしてヴァンピィが消えた。オルトスはその様を見て高笑いをあげる。
「ふはははは!やはりそうか!貴様はアレの召喚獣だったのだな!」
オルトスは、カティアの纏う魔素があの奴隷少女のものであると勘づき、賭けに出たのだ。召喚獣は、召喚者の魔素が無くなると顕現を維持できない。『夜天の吸血鬼』カティアはデッキリーダーであるため1番最後になるが、ダークナイトは先に魔素がなくなり消えたのだ。
彼は賭けに勝った。
——だが、幸運は常に不幸と共にある。
「くっ…」
「ふはは、どうした、先程の威勢は?」
「させない!…あぐっ!?」
膝を着き動けないカティアへと、歩を進めるオルトス。シズが阻止しようとするが、再度吹き飛ばされる。カティアの首へとオルトスの手が届こうとしたその時、オルトスに炎が向かってきた。カティアから距離を取ることで回避したオルトスは、炎の仕立人を見やる。そこには、姿が見えなかった貴族調の服の男がいた。しかし、そこにはもう一人別の者の姿があった。
「ふむ、これは貴殿を連れて正解だったな。同種だと思い話しかけた甲斐があったようだ。」
「フラウロス…でしたか、貴方との会話は中々楽しめましたよ。」
「それは重畳、それではいつか機会があったらまた会おう。」
「えぇ。」
魔素量の減少に付随してフラウロスが姿を消す。それを見送ったその男の視線は、オルトスではなく倒れ伏した英雄に向かった。黒い前髪の下にある琥珀色の眼がシズを捉える。
「困りますね…。私に傷を負わせた貴方が、この程度のものにやられるなんて。」
シズが何とか追い払った悪魔、クロであった。
クロは最初に、椅子に座り空気と化していた国王と大臣を殺すと、次にカティアへと視線を向ける。
「ダメよ、彼女に傷をつけることは許さないわ。」
シズが慌てて止めると、クロは少し思案気に
「ふむ…この魔物、憑依しているのですね。吸血鬼…それにしてはずいぶんと……クフフ、実に興味深い。それでこれは、貴方のものと?」
「…えぇ、そうよ。」
「あの男との取引もありますし、いいでしょう。ただし条件があります。」
「…わかったわ。」
「おい。低俗な悪魔風情が、いつまでこの俺を無視している!」
オルトスがクロの元へ歩み出そうとするが、それよりも早く、クロは距離を詰めオルトスの首を掴む。
「誰が低俗だと?囀るなよ、ゴミが。」
クロからは抑え切れない殺気が漂い、低俗な悪魔とは程遠い、オルトスが崇める主と似た気配を感じる。
「″赤″の系類は自信過剰過ぎる。だから相手の力量も見定められないのだ。」
叩きつけられる圧倒的な重圧。上位魔将となった自分をさらに上回る濃密な魔力。そして赤、と友人のように語られた単語。
悪魔族において、上下関係は絶対である。
正体を測るには、十分すぎた。
「お、お前は……いや、貴方様は…!?」
「お前のような悪魔の恥さらしに生きている資格などありません。魂すらも破壊して、二度と復活できないようにしてあげましょう…!」
「〜〜!!??!」
声にならない悲鳴をあげながらボロボロと崩れていくオルトス。その様子をシズは黙って見ていることしか出来なかった。
「さて、私は残りのレッサーデーモンを殺したら引き上げます。先程も言った通り、口裏を合わせてくださるのならばそこの少女と一緒に、狙うのはやめて差し上げますよ。」
そう言い残してクロは転移した。
シズはすぐ少女の元へ駆ける。
「貴方、無事!?」
「…無理ね。これ以上は時間がないわ。」
カティアは、少し迷うような素振りを見せたあと、縋るような目でシズを見る。
「ねぇ、こんなこと人間に頼みたくはないのだけれど……あの子を頼んでもいいかしら。私の大切な妹なのよ。」
「…構わないよ。私を救ってくれたから、それくらいの面倒はみるわ。」
その返事を聞いたカティアは、1度息を吐くと、自嘲気味に呟く。
「見ず知らずの人間に、私の妹を任せるなんて愚の骨頂ね…。だけど、他にどうしようも無いもの。でも一つだけ。あの子を、傷つけたら、許さないわよ。」
「えぇ、分かってるわ。でも、貴方の妹はどこに_」
「_今宵、ここまで。」
シズは言いかけていた言葉をきる。少女の体は光に包まれ、来ていたドレスはボロ布へ。蒼かった髪は真紅へ。光が収まった時、そこには奴隷のような格好をした傷だらけの少女が横たわっていた。
(…これは、私のイフリートと同じ憑依型のナニカ…なの?精霊と言うよりは魔物に近かったけど。)
「…んぅ。」
思考に沈んでいた意識を戻すと、こちらを見上げている少女と目が合った。薄く開かれた瞳は碧色だ。
「…ここ、どこ」
「こんにちは。貴方の名前、教えてくれるかな。」
「ユリア…。」
意識はある。だが、弱っているのは間違い。そう判断したシズは、この少女の面倒を見ることにした。
「ユリアっていうの?私はシズ。シズって呼んで。貴方のお姉ちゃんにこれから面倒を見るよう頼まれたのよ。」
「ん…」
まるで寝起きのように目を擦る姿に、先程までの雰囲気は欠片ほどもない。
シズは目の前の少女こそが先程の吸血鬼の妹であり、召喚主であると半ば確信していたが、ユリアとは本当の意味での対面だった。そしてこれが、ユリアにとっての人生の分岐点となったのだ。
クラスごとの見出し(ヴァンパイアなど)
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章みたいになっていた方が良い
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その話の後ろについてればいい
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何でもいいから続きかきなよ