はぐれ魔神は未踏の領域を夢に見る   作:隅っこ暮らし

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 今回は一話丸々名無しの魔神君とプラチナ矛盾聖女の戦闘シミュレーションという体裁で進みます。
 会話文ゼロ戦闘描写オンリーですので読み飛ばしても問題ありません。



戦闘シミュレーション VS『矛盾の支配者』

 

 戦闘シミュレーション

 予測結果出力────

 

 以下は名無しの魔神(以下『魔神』と表記)と未踏級『矛盾に苦しみ悩む魂救う「白金」の聖女』(以下『聖女』と表記)の戦闘シミュレーション予測結果です。

 

 ──────────

 

 戦いの火蓋を切ったのは魔神だった。聖女の周囲を含む『世界』の全てを瞬時に支配し、時間と空間を超越した、人間の五感では接近を察知できない攻撃を矢継ぎ早に繰り出す。

 赤い光が聖女の居るであろう空間を包み込み、発生する大爆発。それは物理的な威力は一つの宇宙そのものを軽く消滅せしめるものであると同時に、魂魄に対しても同等のダメージを与える。

 物質の世界である表層世界では肉体強度を上げることは造作もないが、『精神』とか『魂』といった霊的なものの強さ、硬さを底上げすることは難しい。

 故に並みの魔術師はおろか、同じ魔神であっても多少のダメージは免れない攻撃だったが────

 

 聖女は無傷でそこにいた。

 聖女の司る理は『矛盾』。それはすなわち「できない事もできる」「不可能を可能に変える」という不条理の権化である。

 ただ、そもそもの話として聖女は理の力を使わずともこの程度の攻撃は元から全く通用しない。

 人間どころか神々の言葉ですら説明できない未踏級の存在は、宇宙一つを消し去る『程度』の肉体ダメージや精神ダメージでは殺傷できない。

 

 その反撃(アンサー)は不可視の長剣。透明な魔術の剣を振るうという、本来の彼女の力から見れば小技もいいところな攻撃を繰り出す。

 しかしその不可視の長剣は無限に存在する位相と次元と並行宇宙の全てを射程に収める程の、計り知れない長大さを誇っていた。

 そしてそれだけで魔神たる彼の肉体は、三度振るうだけで片腕と片足を削り取られる。空間ごと飲み込む効果もあるようで、断面はあまりにも綺麗だった。

 しかし魔神としての不死身はこれでは『彼』を死なさず、即座に再生して再び動く。

 再現するのは隻眼の魔神(オティヌス)が使った、世界を壊したあの『槍』。

 数多の位相(せかい)を瞬時に、ガラスを叩き割るような気軽さで壊していく。

 同時に世界を構築する時間と空間も、表現できない程強力に圧搾される。

 

 ────しかし、それを以てしても、衣服にすら汚れの一つも付きはしない。聖女は悠々と壊れた時間と空間の中を歩き、スッ、と前方を一踏みする。

 それだけで聖女の威光に圧され、壊れた時空は佇まいを正すようにして、瞬時に元の姿形を取り戻す。

 

 痺れを切らすように『槍』に匹敵する魔術の第二陣を放つ。攻撃対象を中心とした『世界』を無限に圧縮して逃げ場の無い中で甚大なダメージを与える、ビッグ・クランチ。

 攻撃範囲内の全ての世界が軋みを上げて縮む中、聖女は掌を見せて何やら呟くと、世界はピタリと静止する。

 ────瞬間、世界は元に戻り、本来世界と聖女が受けるはずだったダメージの何百倍もの衝撃が、魔神に襲い来る。

 それは『反動』。万物に宿る抵抗力を何倍にも底上げすることで、あらゆる破壊力をそのまま発生源に還していく力。

 

 ついには魔神は片膝を突き、敗北を宣言する。

 

 ──────────

 

 以上、魔神と聖女の戦闘シミュレーションでした。

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