はぐれ魔神は未踏の領域を夢に見る 作:隅っこ暮らし
ライプニッツという科学者は「モナド」という概念を提唱した。これは現代における「素粒子」と似たような観念で、“それ以上分割できない”単一実体のことを指している。
そしてモナドは単一の実体でありながら属性を持ち、しかも現実を構成する他のモナド全ての状態を反映し、対応する。
無限に存在する内のたった一つが構造の全体と
これはこの世界に確かな法則として存在し、それが意味するのは「宇宙は、宇宙自身が内に持つ素粒子と同じ数だけ、並行世界が分岐する」という現象である。
「ふーむ……そういうものなのか……しかしだとしたら素粒子の数だけある宇宙は何処に存在すればいいんだ。というかこの宇宙の素粒子の数って何個なんだ」
「それがいわゆる高次元ですね。素粒子の数だけ存在する宇宙、その全てはより高次の世界に内包されます。あと素粒子の数は無限です。そもそも、宇宙そのものが無限に広がる空間そのものですので、その内にある素粒子もまた、無限の数存在します。……宇宙空間は真空? はてなんのことやら」
「……前に言っていたが、高次元は“そのさらに上”、そのさらに上、と無限次元まで存在するらしいが」
「そうですね。つまりその高次元もより上の次元に無限後退していく、ということです。
……そしてここからが重要なのですが、素粒子はどの次元でも大きさは変わりません。例えば素粒子が1ミクロンだとしたら、はじめの宇宙においても、その一つ上の宇宙においても、二つ上の宇宙においても同じ1ミクロンです」
「? ??? ……つまり?」
「はじめの宇宙には素粒子が無限に存在します。とすると“はじめの宇宙”の分岐数は無限。それを内包するのが一つ上の宇宙です。
“一つ上の宇宙”の分岐数は“はじめ”と同じく無限と言いたい所なのですが、素粒子の大きさは変わらず同じです。つまり無限の宇宙に存在する無限の素粒子が、一つ上の宇宙の分岐数……無限の無限倍です」
「……なるほどな。つまり素粒子の大きさが変わらないせいで、高次元に行けば行くほど高次元の分岐する数が無尽蔵に増えてしまう訳か」
「そういうことです」
恐ろしいほど美しく輝く、世界を凍てつかせる
それをポイと振ると、今度はたわんだ時空が弾けて広がり、青い液晶のようになった。
「見えぬものを見えるようにする……矛盾を操る私にはこういうことも可能です。いわゆる
「…………さいですか」
『神格』を凌駕する『未踏』、異界の理の領域に達することは未だ厳しいという現実を痛く理解する魔神であった。