有馬かなが過去に行くお話   作:Gran

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Episode 2

私は、気が付けばとある撮影現場の民宿に居た

と言っても見覚えしかない現場だ

ここに来るまでの記憶もしっかり残ってる

 

改めて民宿から外を見渡すと、やはり『クソ田舎』という言葉がお似合いな風景がそこには広がっていた

 

 

 

「ママぁ!ママぁ!!

 ママのどごがえりだぁい!!なんでママいないのお!!」

 

 

 

 

その声は酷く懐かしいようで、親しみのあるようなものだった。

 

度々聞いている声の調子だったが、今回は違う

声の感じが『1周り‥いや2周り以上幼いんだから』

 

私はゆっくりと振り返りながら声のする方へと目を向ける。

 

 

 

そこには、ギャン泣きしてる女の子とそれを宥める男の子。

 

ルビーとアクアだ。

 

アクアの顔を見た瞬間、色んな感情が押し寄せてきた。

 

喜びから怒りまで全ての想いがぐちゃぐちゃになりながら湧き上がってくる。

 

 

でも、やっぱり喜びのほうが大きかった。

 

 

 

 

_______本当に、過去に戻ったんだ。私‥‥

 

 

 

 

 

そんな想いに浸っていたが、やっぱり何かしら声を掛けたいと思った私はルビーとアクアに近づく

 

けど、目前にまで来て何も声が出なかった

 

 

 

「‥‥?誰だ?君」

 

 

 

 

割と近くまで来たにも関わらず無言のままこちらを見つめてくる私を流石に不思議に思ったんだろう

アクアがそんなこと聞いてきた

 

未だにこの現状についていけてない私は言葉に詰まってしまう

 

言いたいことや伝えたいこと、これからどうするべきなのかだとか、色んなことがあるのに、声が出なかった

 

 

 

 

「あ、この子あれじゃない?えっと‥‥重曹を舐める天才子役!?」

 

 

 

 

 

声が出ずにオドオドしてる中、ルビーはまたもや懐かしすぎる事を言い出した。

 

それが本当に懐かしすぎて、私はいつの間にか笑ってしまっていた

 

 

 

「本当に、なんなのよそれ。

私の名前は有馬かな、10秒で泣ける天才子役よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影が始まった。

今の所、何かアクションを起こすような場面じゃないと判断したからとりあえず時系列通りに事を進めた‥‥‥‥というより互いに幼い状態とは言え何年ぶりかの再開だ。

 

この瞬間を私は楽しんでいた

 

初対面にも関わらず、私はアクアとルビーとこの時点である程度打ち解けていた

 

 

演技が始まると私は当時の呂律や雰囲気をなんとなくで真似て演技をする

 

なるべく目立たないように、なるべく『アクアの演技の邪魔にならないように』

 

アクアはきっとこれから先、もし生きていたらの世界では俳優業に専念するに違いないと思ったからだ。

 

復習心さえ無ければただただ俳優を目指したい普通の男の子だということを私は知っているから

 

 

 

「食事は出ませんので、外で食べてください。都会の食堂とはまた違った味が楽しめると思います」

 

 

 

今思えば本当に不気味な話だとは思う

旗から見れば何の変哲もない、ただの幼児がここまでの演技をやってのけるんだから

 

 

 

「見ての通り、草木しかない田舎なので観光をするには不向きかもしれません。

でも高いところから見下ろす風景は中々良いものだと思いますよ」

 

 

 

まるで、他の誰かが憑依してるかのような‥‥

そんな不気味さを感じさせる演技だ

 

俳優業を長年続けてきたけれど、ここまでの演技が出来る子役はアクア以外に私は知らない

 

 

 

「それでは、お部屋にご案内いたします」

 

「カット!OKだ!!」

 

 

 

 

‥‥‥それにしても本当に不思議だ。

ただの天才子役。にしては格が違いすぎる気がする

 

‥‥‥まさか本当に、他の誰かが憑依してるとか?

 

 

 

 

『不正解だよかなちゃんや』

 

 

 

回帰してから改めて疑問に思ったことへ思考してると不意打ち気味に私自身の顔が視界に映り込んできた

 

私は目を大きく見開き叫びそうになるけど、それをなんとかグッと堪える

 

私は目で『なんで急に現れるんだ』と訴えかけると自称神様は愉快そうにケラケラ笑ってやがった

 

 

『だーはっはっは!!今の顔!面白すぎ!!』

 

 

 

そんなふうにやかましくてしょうがないくらいはしゃいでいる神様だったけど、周りはそれに気付く素振りすらない

 

つまりはコイツは私にしか見えない存在ということだ‥‥‥‥こうやって過去に来た時点で分かってはいたけど、本当に神様とかの類の存在だと再認識した

 

 

 

『そーそーその通り!私の話す声や姿とかも周りの人には見えてない。

空を浮くことも出来るよー?』

 

 

 

「(‥‥‥‥もしかしなくても、思考も読めたりすんの?)」

 

 

 

『勿論。神様だし』

 

 

ここまで来たら本当になんでもありだ‥‥

まあ、某死神のノート作品に登場する奴とは違って声を出さずともコミュニケーションを取れると思えばマシなのか。と自分を納得させようとしたけど、常に思考を読まれてると考えるとやはり気持ちの良い気分ではない

 

まあそんなことは今はどうでもいい。

私が知りたいのはそこじゃない

 

 

 

 

『なぜ不正解なのか。でしょ?』

 

 

 

「(‥‥‥アクアが何者か教えてくれるの?)」

 

 

『まあどうせ本人からは教えてくれないだろうしね〜。教えて進ぜよう〜!

ちょっと頭こっちに向けて〜?』

 

 

「(え?‥‥‥こう?)」

 

 

『ほいよっと』

 

 

 

神様はそんな軽い口調で私の頭に手をポンっと乗せる

その瞬間、私の脳内に『星野アクア』の情報が流れ込んできた

 

 

「あっ‥‥‥ぐぅ‥‥!?」

 

 

 

突然としてあまりにも膨大な情報が脳内で暴れだした結果、負担が身体にも影響を及ぼしたらしい

 

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 

近くに居たアクアが心配して声を掛けてくれたおかげ‥‥なのかは分からないけど、なんとか踏みとどまってぶっ倒れることはなかった

 

 

 

「う、うん‥‥大丈夫大丈夫‥‥‥心配してくれてありがとうアクア」

 

 

 

 

でも、この時の私はアクアの顔を見れていなかった。

 

いや、見ることができなかった。

 

 

 

 

『アクアが転生者で、復讐心に振り回される人生』を知った私は今、どんな顔をしているのか。

自分でも分からなかったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影やら何やらが終わり、各々が休憩に入ってる中

私は一人で考え込んでいた

 

その議題は言わずもがな

 

 

 

『星野アクアを救うには、でしょ?』

 

「‥‥その通りよ。」

 

 

 

 

まずは星野アイが死なずに済む方法を探ること

更に言えばそれをどのようにしてアクア達に伝えて実行させるのか

 

 

 

‥‥‥時間は無い、話すならこのタイミングしか無いはず

 

信じてもらえるかは‥‥‥わからない。

でもやってみないとそれこそわからない。

 

 

『お、一番手っ取り早いのを選んだねぇ‥‥そうだよ〜かなちゃん。』

 

 

 

 

 

君が本当に『星野アクアを救いたいのなら、形振り構ってられないんだから』_____ね?

 

 

 

 

 

 

 

神様はアクアの元へ向かっていく有馬かなをとても良い笑顔で送り出す。

 

姿形こそ、有馬かなと瓜ふたつ

 

だが、奴が眺めてる先は

 

また違った景色なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「______未来から、、来た?」

 

 

 

「う、うん‥‥」

 

 

 

私がそう告げるとアクアは怪訝そうな顔で聞き直して来た

神様が言ったように、一番手っ取り早い方法だ。

変に裏で工作やらなんやらするより、本人にストレートに伝えて警告する

これが一番のベストの選択だろうと思ってる

 

 

 

「‥‥‥‥いきなりそんなことを言われてもな、信じろってのは無理な話じゃないか?」

 

 

「証拠ならあるわよ。未来に来たからこそ言える情報、『貴方が‥‥元医者だってことや母親の事まで』」

 

 

 

 

私がそう言うとアクアの目が大きく見開く。

‥‥‥割と好感触っぽい

『母親が星野アイ』だって事が仮に分かっていたとしても、もしかしたらカミキヒカルとの関係者と疑うことはできなくも無い

 

だからこそ先程手に入れたカードをすかさず使った

 

それは『星野アクアは転生者』だということ

 

正確には神様を通じて知った情報だけれど、墓まで持っていったであろう秘密を未来から来たって奴が言い出したら流石に信じざる負えないだろう

 

私は早速、これから起きるであろう星野アイの悲劇を話した。

 

『転生する前に自分を殺してきたストーカーが星野アイを狙っている事』

そして『星野アイが刺され死亡してしまうこと』を

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥信じて‥‥くれるかしら‥?」

 

 

 

 

 

 

ある程度話し終えたけれど、私は彼に信用してもらってるか不安でそう聞いてしまった

 

アクアは少し考えた後、『聞き慣れた声色』で答えてくれた

 

 

 

 

 

「信じるよ。君は未来から来ていないと知り得ないだろう情報も開示した。

そうだな、アイに頼んでその1ヶ月程前から社長の家に居る事ができるようにしておこう」

 

 

 

 

 

 

いい感じだ‥!

このまま行けば星野アイが死なずに、アクアが復讐者になる物語を捻じ曲げることができるかもしれない‥‥!

 

 

 

 

 

「けど気掛かりな事が一つだけある。

なんでお前はそこまでしてくれるんだ?アイのファンとかか?」

 

 

「えっ‥いや、そうじゃないけど‥‥」

 

 

 

 

内心喜んでいると、不意にアクアからそう聞かれたためか、咄嗟にNoと答えてしまった

 

 

 

「じゃあ何故こんなことをする。

こちらとしてはありがたい話だが、そっちの利益が分からない。

こうすることでお前がどう得をするんだ?

これから起きるであろうことに対して協力してほしい‥‥とかか?」

 

 

「えっと‥‥‥そうじゃなくて‥‥‥それはその‥‥‥」

 

 

 

言われてみれば当然の反応だ。

わざわざ過去に来て、わざわざこうして信じてもらおうとして、それでやろうとしてることが他人の親を助けよう。って話なんだから

 

なにかしら見返りを求めるんじゃないかと思われても仕方ない

 

 

‥‥‥‥変に疑われたりとかしたくないし、やましい気持ちがあると思われたくない

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥私、好きな人が居たのよ。」

 

 

「‥‥‥好きな人?」

 

 

 

 

本当の意味で信頼してもらいたい

だからこそ、私は正直に口を開くことにした

現代まで思っていたことを、全て

 

 

 

「その人は、母親を殺されてからずっと復讐心に駆られ続けてた‥‥芸能界に居るであろう母親を殺すように仕向けた真犯人を見つけ出す為だけに、芸能界に戻ったりもしてた。」

 

 

 

 

「そうして彼は、真犯人にまで辿り着き‥‥‥そいつと共に心中を図り‥‥‥亡くなった。」

 

 

 

「‥‥悲しかったし‥‥辛かったし‥‥‥なにより‥‥‥悔しかった‥‥ッ!!」

 

 

 

アクアは私がポツポツと話し出した内容を黙って聞いてくれていた。

今まで思っていたことを口にした途端、それは止まらなくなっていた

彼に対する様々な想いが入り混じり、よく分からなくなってきていた

 

 

 

「あの時こうしていればって‥‥この時止めていればって‥‥!!‥‥‥過去を変えたかった。

過去を‥‥‥これから先の未来を‥‥‥」

 

 

 

 

「‥‥‥‥本当の意味で幸せになってほしい‥‥‥その‥‥‥‥だから、‥‥‥えっと‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

間接的に、貴方が好きだからと伝えたが

やはり直接的に言うのはこっ恥ずかしく、言葉に詰まった。

 

そんな姿を見た彼は面白くなったのか、クスクスと笑いだした

 

 

 

 

 

「な、なに笑ってんのよ!あんたが死んだから私は!」

 

 

「わかったわかった。

お前の気持ちはよく分かったよ。」

 

 

 

 

そう言うとアクアは涙目になってる私の頭に手をポンっと乗せた。

そのまま幼い子供の小さな手で優しく撫でてくれた

 

 

「わざわざ過去にまで来てこんなことまでしてくれて、本当にありがとう。」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥馬鹿」

 

 

 

私は顔を赤くしながら俯くことしかできなかった。

 

多分きっと、『あの時のように子供らしく泣いてる顔になってるだろうから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでアクアと連絡先を交換することに成功したと‥‥抜け目ないね〜かなちゃんや』

 

 

「別にいいでしょ、これくらい。

別に私情だけで連絡先を渡した訳じゃないわよ。

私がこうして行動を変えたことによって未来が変わるかもしれないじゃない

そういう対策も含めてよ」

 

 

 

『いいね〜よく考えてるね〜?人間の言葉で言うと確か‥‥‥バタフライエフェクトだっけな?そういう現象でしょ?』

 

 

 

「えぇ、小さな事象の積み重ねが未来に影響を及ぼす‥‥‥その可能性だって大いにあり得るわけだし‥」

 

 

『良い心構えだ。流石は元天才子役!』

 

 

「過去に来てるんだから元じゃないわよ。」

 

 

 

こう言った細かい現象についても神様が教えてくれると最初は思っていたけれど、こうして回帰する前神様はこう言ってた。

 

 

『君達人間の生は鑑賞物に過ぎない』と

 

ということはこうして過去に戻せてもらってるのも単なる好奇心に近い。

この先どんな未来になるのかを教える義理は神様には存在しないわけで

 

 

 

 

『お、私の事分かってきたね?かなちゃん

ザッツライトだよ〜ん!』

 

 

 

「そんなこったろうとは思ってたわよ。

言われてみれば当たり前の話‥‥‥あくまで貴方は鑑賞者‥‥だもんね」

 

 

 

『ふふふ‥‥まあでも、一つだけ教えといてあげるよ。

君にはそのバタフライエフェクトを起こすことは出来ないよ』

 

 

「‥‥‥え?」

 

 

『その理由は私の力で歴史に干渉しているから。

まあ言っちまえば私の力で過去に戻るのは正規のルート。

何かしら他の方法で過去に行くのは違法ルート。

そう考えてもらって構わないよ』

 

 

 

「‥‥‥正規の道だから、未来への影響を及ぼす事はできない‥‥‥っていうこと?」

 

 

『まあ正確には起こしづらいかな?例えばの話だけど、君が今後一切俳優業をしなくなったら流石に現代とはまた違う道に進むことになるだろうけどさ。

大した行動もせずちびちび違う行動をしても対して未来の変更は行われない。』

 

 

 

「‥‥なるほど‥‥未来を変えたいなら大胆な行動をしなければならない。そういうわけね?」

 

 

『いえーす!飲み込むが早いね〜?かなちゃんや!』

 

 

 

 

神様の言うこの話は今の所気にしなくて良さそうだ

 

このまま上手く行けば、『アクア』を本当に救える。

 

星野アイを救った後はカミキヒカルをどうするかが最大難関課題‥‥

 

残りの時間はその対策を練ることにしよう

 

 

 

 

『‥‥‥‥フフフ‥‥‥』

 

 

「‥‥?なによ?」

 

 

『べっつに〜?』

 

 

 

 

 

神様は何か含みのありそうな笑みをしていたが、その正体を知ることはその時は全く分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、今なら分かる。

 

 

 

『__________朝になるとかなちゃんは、いつものようにベッドから起き上がり朝ごはんを食べていた。

なんて変哲もない普通の日常。

例のタイムリミットまであと一年弱ほど存在している。

だからこそこの時間を使ってある程度の対策を練ろうと画策していた。』

 

 

 

 

私はいつものように朝ごはんを食べながらニュースを眺めていた。

寝ぼけた身体であまりニュースの情報が耳には入ってこないが、今にも落ちそうなまぶたを擦りながらなんとか保っていた。

身体自体が幼い事もあり、そこら辺の耐性が落ちているんだ

 

 

 

 

『彼女は食べ物を口に運びながらニュースを見ていると、あるマンションでのニュースが映し出される。

それはマンションにてストーカーが入り込み、一人の『少女を刺して殺害した』というニュースだった。』

 

 

 

 

物騒なことがあるもんだなと、私はまるで気にも止めていなかった。

 

でも、刺された少女の顔写真が映された瞬間

 

世界が止まったように思えた。

 

 

 

『殺された少女は、現代でもずっと仲良くしていた掛け替えの無い友人の一人『星野ルビー』だった。』

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?」

 

 

 

 

 

 

私は思い知ることになる。

 

 

 

 

『おめでとうかなちゃん!未来は変わったみたいだよ!星野アイが死なない世界になった!』

 

 

 

「‥‥‥あ、んた‥‥‥‥何言ってんの?」

 

 

 

 

世界は、こんなにも残酷だということを。

 

 

 

 

『言葉のまんまさ、よかったじゃないか。これでもう、星野アクアが死ぬ理由は無くなったんだからさ?』

 

 

 

『未来を変える』とはどういうことなのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このクソ神がどんな考えをしているのかを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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