有馬かなが過去に行くお話   作:Gran

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Episode 3

私は電話を掛けた後、すぐに病院へと向かった

 

 

 

「(嘘だ‥‥‥‥嘘だ嘘だ嘘だ‥‥‥!!)」

 

 

 

 

信じたくなかった。

何かの間違いだと思いたかった。

全てが誰かが描いた真っ赤な嘘

そんなものだと私は思いたかった。

 

ある病院室の一室前に着くと、私はドクドクと鳴る心臓のままゆっくりとドアをスライドされる

 

 

 

でも結局、今目の前に広がる光景によって徹底的に打ち壊されることになる

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥あ、‥‥‥くあ‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

そこに居るのは、病院室のベッドの上で意識不明のまま横たわっているアクアの姿だった。

 

近くには斎藤夫妻、そして『星野アイ』が座っていた。

 

アイさんは私が来たことに気が付くとゆっくりとこちらを見つめてきた

 

 

 

「‥‥‥‥‥ッ‥‥」

 

 

 

 

アイさんと私は目があった。

 

アイさんの目はドス黒く、底知れない『何か』を感じさせるようなものを秘めていた。

 

その目の色が、どんなものを秘めているのか

『今の私なら分かる』

 

 

 

 

「‥‥‥わざわざ来てくれてありがとね。有馬かなちゃん」

 

 

 

 

声色ではいつものように優しく微笑む彼女だったが、表情はそんな片鱗を全く見せていない

 

‥‥‥‥当たり前だ。そんなの

 

今は、そんな表情なんて作れるわけない。

 

私だって、今はそんな状況なんかじゃないんだから

 

 

私は、目の前に広がるこの光景を、到底受け入れられなかった。

 

 

 

『あらら、アクア君は重傷か。可哀想に』

 

 

 

 

そんなまるで感情が篭ってない言葉を私の声でそう言うコイツに私は思いっきり睨み付ける

 

 

 

_______お願いだから、今は黙ってて。

 

 

 

 

 

神様はそんな姿の私を見るとまた愉快そうに笑う。

 

 

 

私は、産まれて初めて『自分の顔に嫌悪感を感じた』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥ふざけてる‥‥‥本当に‥‥‥」

 

 

 

 

アイさんや斎藤夫妻に話を聞かせてもらった。

事の顛末は『アクアと回帰してから初めて出会った時に遡る』

 

 

 

 

アクアは私から警告されたあの日から『アイに引っ越すことを提案していた』

 

1ヶ月前の時点で社長の家に居させてもらう算段もあるにはあったが、『もしかしたら現在の住所も流出、もしくはバレているかもしれない』と考えたアクアはアイさんにそう持ちかけたそうだ。

 

そしてこの事はアクア達からした『父親等にも秘密にしておいた方がいい』とまで言ったそうだ。

 

 

 

「?それはなんで?」

 

「別に教えないほうが良いとまでは言わないけど、もしもその父親が口を滑らせたりして住所がバレたりしたら大変じゃん。

だから僕達に会わせるにしても会える当日に住所を教えたりすればいいんじゃないかな」

 

 

 

 

 

これは『アクアにより独断の判断だ。』

私は何も関与していない。

アクアの判断は間違っていない。

間違っていないし、むしろ正しいとも言える。

 

でも『だからこそそれがいけなかった。』

 

 

 

 

『アクアにはその判断に至るまでの情報を持ってしまった。

その違いが、未来にも影響を与えた。

違いが、行動が、考えが、全ての歯車を捻じ曲げた状態で本来よりも先に回転してしまった』

 

 

 

「‥‥‥‥ッ‥‥」

 

 

 

その事を聞いた星野アイ、更にアクアとルビー達が『自分達の親について考えてる姿』も含め、父親を合わせるべきだと本来よりも先に判断してしまった。

 

しかしながら星野アイはアクアからの警告もあり、会える前日に住所をその父親に教えることにした。

 

‥‥‥‥‥でも、結果は本来とは‥‥‥いや『本来よりも悲惨な結果になった』

 

 

 

星野アイにそう警告したのなら、『星野ルビーにも同じように話していてもおかしくない。もしくはもっと詳しく話していても』

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

 

「え!?ママが刺される!!?どういうことそれ!?」

 

 

「く、詳しくはまだ言えないけど、間違いないんだ。

有馬かなって奴が居たろ?」

 

 

「えーっと‥‥‥ああ、あの重曹を舐めるやつね」

 

 

「10秒で泣ける子役な。

アイツが俺の転生する前の職業を言い当ててみせた。

それは確実に未来の知識を持っていないと出来ない芸当だ。

信憑性は高い」

 

 

「‥‥‥‥なるほどね。なら、そのストーカー野郎が来た時は『私達で止めるわよ!』」

 

 

 

 

 

 

_______有馬かなの考えは概ね当たっている。

 

アクアの行動の一つ一つが、『この物語の歯車をしっかり狂わしていた。』

 

 

有馬かな自身も本来とは打って変わって違った行動こそしてはいる。

 

 

だが、その一つ一つは『物語に影響を与えづらい』

 

 

‥‥‥‥ならばその逆はどうだろう

 

 

 

『有馬かな以外の人物が本来とは違う行動をすれば?』

 

 

 

本来とはかけ離れた結果になってもおかしくない。

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥な、んで‥‥‥こんな‥っ!!?」

 

 

 

 

ルビーは『星野アイを助ける為』庇うように刺されたようだった。

 

その一刺しで致命傷、そして続けてアクアが庇いまたもや致命傷‥‥‥

 

その後は斎藤壱護さんがなんとか犯人を取り押さえ、制圧する事ができたらしい。

 

 

 

 

『アクアだけでも生きててよかったじゃん?あの様子ならもう時期目覚めると思うよ』

 

 

 

「アンタ、ふざけるのも大概にしなさいよ。」

 

 

 

私は我慢できなくなり、声を荒げながら眼光を飛ばす

 

 

「生きてて良かった‥?ふざけるんじゃないわよ!!??こんな‥‥‥こんなの、私が望んだ結果じゃないッ!!!ルビーが死んで『良かったね』ってなんで言えるのよ!?私の‥‥‥私の大切な友達なのよ!??」

 

 

 

『んー‥‥‥でもそのおかげでアイさんとアクアを救う事ができたんだし‥‥‥それに今回のおかげでアクアは『復讐者』ではなく『ルビーと同じような悲劇のヒロイン』の役になったんだから、よかったんじゃないの?』

 

 

 

「そんなの、、私は望んでない‥‥!!!私が望んでるのは『みんなが死なずに済むハッピーエンドだ』‥‥‥!!こんな血に濡れた結果じゃない‥‥ッ!!!!」

 

 

 

 

『あっはははは!!!なら高望みしすぎだよ〜!

いいかい?この世には運命という名の物語のメカニズムがあるんだ。』

 

 

 

「‥‥‥運‥‥‥命?」

 

 

 

『そう、命を運ぶと書いて運命。

そうだなぁ‥‥分かりやすくドラマで例えようか。

星野アクアとルビーが『転生者』という役。

星野アイは『その子達の母親』という役

そしてその星野アイを『殺す役』。

これらはね、『基本的にはそのまんまなんだ』』

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥その、まんま?」

 

 

『その通り、だけど今回

『星野ルビーが庇って死んでしまったことによってその役者入れ替えられた』その結果それぞれの役者が変わったんだよ。

 

『星野ルビーは殺される役に』

『星野アクアは悲劇のヒロインの役に』

そして‥‥‥‥『星野アイが復讐者の役に』‥‥‥ね?』

 

 

 

 

「‥‥‥や、‥‥‥っぱり‥‥‥あの目は‥‥‥」

 

 

 

 

『その通り!!星野アクアと同じ目だと思ったのは『そういう事』だからだよ!』

 

 

 

 

 

 

 

つまりだ。

星野アイは将来、『カミキヒカルと心中する役に変わった』ということにもなる

 

 

‥‥‥星野アイは当時のアクアと違って現在進行形で芸能界に居る立場にある

 

それに加えて『カミキヒカルを探し出そうと思えばできる状況だろうとも考えられる』

 

そうなれば、10年という長い年月を経なくても復讐できる事となる

 

心中するのがもし、アクアが目覚めるより先なのだとしたら‥‥‥‥

 

 

 

 

『星野アクアだけが生き残る世界の完成だね?』

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥そ、んな‥‥‥」

 

 

 

『君はこれを望んでたんじゃないのかい?『アクアが死なずに済む世界を作るのが君の願いじゃないのかい?』』

 

 

 

「違う‥‥‥‥違うっ!!こんなの‥‥‥こんなのアクアを救ったことにはならないっ!!こんな‥‥‥‥こんな‥‥‥‥」

 

 

 

 

望んでいない。

 

 

こんな世界、星野アクアは望んじゃいない。

 

妹も死に、助けたかった親でさえも真犯人と心中してしまうこんな世界。

 

本来よりも悲惨な結果になっている

 

 

 

 

何故、

 

どうして、

 

なんで、こうなった?

 

 

 

誰がこんな悲惨な世界を作り出した

 

 

 

だれがこんな誰も幸せにならない物語を

 

 

 

 

だれが、こんな、ふざけた、けっかに

 

 

 

 

 

 

「________________わた、し、?」

 

 

 

 

 

 

 

『ん?‥‥‥まあ確かにそう捉えることもできるかもだね?君が招いた結果でもある。

まあ星野ルビーが行動した結果には違いないけど』

 

 

 

「いや‥‥‥‥‥いや‥‥‥‥嫌っ‥‥‥こんなの‥‥‥‥こんなの嫌だよ‥‥‥っっ!」

 

 

 

身体中が震える。

その場で立っていられなくなるほどの恐怖が、罪悪感が、その全てが私を襲い掛かる

 

 

 

「ね、ねぇ。ねえ!あんたなら‥‥‥アンタなら出来るでしょ!?も、もう一度‥‥‥もう一度私を過去に戻してよ‥‥‥ねえ!!??」

 

 

 

『え〜?‥‥‥んー‥‥出来なくは無いけど、流石にクールタイムがあるんだよ。

あと人間界単位で10年待ってよ』

 

 

 

「10、年‥‥?嫌‥‥‥そんなの嫌だよ!?ルビーが死んだ世界で‥‥‥‥星野アイがこれから死ぬとわかった世界で‥‥‥‥星野アクアに救いがない世界であと10年居ろだなんて‥‥‥‥そんなの‥‥‥耐えられない‥‥!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『んー‥‥‥‥あ、そうだ。

ならこの力をあげるよ。』

 

 

 

 

 

「な、なにを‥‥??」

 

 

 

 

『ふっふーん!この力ならクールタイム無しで一応使えるからさ!その名も‥‥‥』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『死んだら回帰する力!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______こうして私の『物語は再び始まった』

 

 

病院の屋上から身を投げ出すことによって_______

 

 




Q この神様、人の心とか無いんか?
A 無いです。だって神様だもん
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