夢幻パーク   作:砂漠のデスラクーダ

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夢幻パーク 第1幕 シーン9/観覧車下の探索と“声”の導き

 観覧車の下でアミの名札やキーホルダーを見つけた六人は、しばらくその場に立ち尽くしていた。

 夜のパークは、さらに深い静けさに包まれている。

 観覧車のゴンドラが、時折風に揺れて軋む音が響くたび、誰もが無意識に肩をすくめた。

 

 「アミさん、やっぱりこの辺りに来てたんだよな」

 タケルが名札を見つめながら言う。

 「でも、どこにもいない……」

 サヤカが不安げに周囲を見回す。

 

 「このまま全員で固まって探すより、手分けした方が早く見つかるかもしれない」

 ナオキが周囲を見渡しながら提案した。

 「そうだな。アミさんが気にしそうな場所、いくつかあるし」

 リョウタがうなずく。

 「じゃあ、二手に分かれようか」

 シュンスケがカメラを構え直す。

 

 六人はその場で簡単に作戦を立てた。

 ナオキ、カナエ、サヤカは観覧車下とその周辺を中心に、

 タケル、シュンスケ、リョウタはメインストリートと売店側を探すことに決めた。

 「何かあったらすぐ連絡しよう」

 カナエが皆に声をかける。

 「絶対に一人にならないで」

 サヤカが念を押すと、みんながうなずいた。

 

 ナオキたち三人は観覧車の基礎を中心に、地面や点検口の周りをくまなく探した。

 「アミさーん!」

 カナエが呼びかけるが、返事はない。

 「何か、手がかりでも……」

 サヤカが地面を照らして歩く。

 

 「これ、見て」

 ナオキが点検口の隅で小さな紙切れを拾い上げる。

 「“奥へ”って書いてある」

 カナエがライトで紙を照らす。

 「アミさんの字だ」

 サヤカがすぐに気づく。

 

 「点検口の奥、調べてみよう」

 ナオキが懐中電灯を持ってしゃがみ込む。

 「私も行く」

 カナエが名札を握りしめて後に続く。

 「私も……」

 サヤカも不安げにうなずいた。

 

 三人は点検口の扉を慎重に開け、体を滑り込ませる。

 中はひんやりとした空気が漂い、壁には配線や古びた配電盤が並んでいる。

 「暗い……」

 サヤカが懐中電灯で足元を照らす。

 

 通路の奥へ進むと、小さな点検室にたどり着いた。

 壁には古びた工具や点検記録の紙束、埃をかぶった椅子が並んでいる。

 「ここ、スタッフが休憩してたのかな」

 カナエが周囲を見回す。

 

 「机の上に何かある」

 ナオキがUSBメモリを見つけた。

 「これ、アミさんの?」

 カナエが手に取ると、メモリの側面に小さく「A.H.」と書かれていた。

 

 「アミさん、ここで何を……」

 サヤカが名札とメモリを見比べる。

 「何か残したかったんだと思う」

 ナオキが静かに言う。

 

 そのとき、通路の奥から微かな音が聞こえた。

 「今、何か聞こえなかった?」

 カナエが立ち止まる。

 「誰かの声みたいだった」

 サヤカが耳を澄ます。

 

 「……たすけて」

 かすかな女の子の声が、通路の奥から響いた。

 「アミさん?」

 ナオキが呼びかけると、返事はない。

 「幻聴じゃないよね……」

 カナエが不安げにナオキを見る。

 

 「とにかく、もう少し奥を調べてみよう」

 ナオキが先頭に立つ。

 三人は、声のした方へと慎重に進んだ。

 

 やがて通路は行き止まりになった。

 壁の隙間から外の夜風が吹き込んできて、埃が舞い上がる。

 「ここで、何か……」

 カナエが壁に手を当てると、壁の裏から何かが叩くような音がした。

 

 「……誰かいるのか?」

 ナオキが壁に耳を当てる。

 「……たすけて」

 再び、かすかな声が響いた。

 

 「アミさん、いるの?」

 サヤカが声をかけると、壁の向こうから微かなノック音が返ってきた。

 

 「どうやって開けるんだろう……」

 カナエが壁の継ぎ目をなぞると、パチンと小さな音を立てて壁の一部がわずかに開いた。

 

 「開いた……!」

 ナオキが声を上げる。

 慎重に壁を押し開けると、さらに奥へと続く細い通路が現れた。

 

 「行こう」

 ナオキが懐中電灯を掲げて進む。

 カナエとサヤカも後に続いた。

 

 一方、タケル、シュンスケ、リョウタの三人はメインストリートや売店周辺を探していたが、アミの痕跡は見つからなかった。

 「やっぱり観覧車の方に戻ろう」

 タケルが提案し、三人は急ぎ足で観覧車下へと引き返した。

 

 そのころ、ナオキたちは奥の通路を進んでいた。

 奥の通路はさらに暗く、空気が重たく感じられた。

 「ここ、本当にパークの地下なのかな……」

 カナエが不安げに呟く。

 

 「とにかく、進むしかない」

 ナオキが前を向く。

 三人は、かすかな声と闇に導かれるように、さらに奥へと歩み出した。

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