夢幻パーク   作:砂漠のデスラクーダ

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夢幻パーク 第1幕 シーン10/観覧車下・点検室での発見と再合流

 ナオキ、カナエ、サヤカの三人は、観覧車下の点検通路を奥へ進んでいた。

 壁の隙間から吹き込む夜風と、足元に舞う埃が、どこか現実感を遠ざけていく。

 「……ここ、本当にパークの地下なんだろうか」

 カナエが不安げに呟く。

 「戻るなら今のうちだぞ」

 サヤカが声を震わせるが、ナオキは懐中電灯を強く握りしめた。

 「アミさんを見つけるまでは、戻れない」

 

 奥へ進むと、古びた点検室にたどり着いた。

 机の上には埃をかぶった工具と、アミの名札、そして小さなUSBメモリが置かれている。

 「これ……アミさんの」

 カナエが名札を手に取る。

 「USBにも“A.H.”って書いてある」

 サヤカが不安げに指でなぞる。

 

 「ここに、アミさんが来ていたのは間違いない」

 ナオキが名札とUSBを握りしめる。

 「でも、どこにもいない……」

 カナエが周囲を見回す。

 

 そのとき、点検室の奥からかすかな音がした。

 「……今、何か聞こえた?」

 サヤカが身を寄せる。

 「誰かいるのか」

 ナオキが声をかけるが、返事はない。

 

 壁の向こうから、かすかなノック音が響いた。

 「アミさん?」

 カナエが壁に耳を当てる。

 「……たすけて」

 かすれた女の子の声が、壁越しに微かに届く。

 

 「どうやって開けるんだろう」

 ナオキが壁の継ぎ目をなぞると、パチンと小さな音を立てて壁の一部がわずかに開いた。

 「開いた……!」

 三人は慎重に壁を押し開ける。

 しかし、奥にはただの狭い空間が広がっているだけで、誰の姿もなかった。

 

 「……ここにいたのかな」

 カナエが呟く。

 「何か、伝えたかったのかもしれない」

 ナオキがUSBを見つめる。

 「アミさん、どこに行ったんだろう」

 サヤカが不安そうに辺りを見回す。

 

 そのとき、遠くから懐中電灯の光が揺れながら近づいてきた。

 「ナオキー!カナエー!」

 タケルの声が通路に響く。

 シュンスケとリョウタも後ろから駆け寄ってきた。

 

 「こっちだ!」

 ナオキが声を上げる。

 合流した六人は、点検室で見つけた名札とUSBメモリを囲んで、しばらく無言で立ち尽くした。

 

 「アミさん、やっぱりここに来てたんだな」

 タケルが名札を見つめる。

 「でも、どこにもいない……」

 シュンスケが点検室の奥を覗き込む。

 「USB、何か記録が残ってるかもしれない」

 リョウタが静かに言う。

 

 「とにかく、今はパークのどこにもアミさんがいない」

 ナオキがまとめる。

 「朝になったら、もう一度探そう」

 カナエが名札を胸に抱きしめる。

 「……でも、朝って、本当に来るのかな」

 サヤカがぽつりと呟いた。

 

 六人は点検室を出て、観覧車の下に戻った。

 夜空は相変わらず深いまま、空の色はまるで変わっていない。

 「……夜、長いよな」

 タケルが空を見上げる。

 「時計も、さっきから進んでない気がする」

 カナエがスマホの画面を見つめる。

 「気のせいだろう」

 リョウタが短く言うが、その声にはどこか焦りが滲んでいた。

 

 「とりあえず、みんなで集まって休もう」

 ナオキが提案し、六人は観覧車の下のベンチに腰を下ろした。

 「アミさん、絶対に見つけよう」

 カナエが名札を握りしめる。

 「USB、帰ったら中身を調べてみよう」

 シュンスケがカメラをバッグにしまう。

 

 夜のパークは、変わらず静寂に包まれていた。

 観覧車のゴンドラが、夜風に揺れて軋む音が遠くから響いてくる。

 六人は、互いに顔を見合わせ、言葉少なに夜明けを待った。

 

 だが、空の色はまったく変わる気配がなかった。

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