夢幻パーク   作:砂漠のデスラクーダ

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夢幻パーク 第2幕 シーン1/夜明けを待つ絶望

観覧車の下に集まった六人は、互いに顔を見合わせながら、しばらく無言で座り込んでいた。

 誰もが疲れ切った表情を浮かべ、アミの名札とUSBメモリを囲むようにして、夜のパークに沈黙していた。

 

 「……まだ、夜のままだな」

 タケルが空を見上げてつぶやいた。

 「もう何時間も経ってるはずなのに、空の色が全然変わらない」

 カナエがスマホの画面を見つめる。

 画面の時計は、さっきからまったく動いていない。

 

 「これ、バッテリー切れじゃないよな?」

 シュンスケが自分の腕時計を振ってみせるが、針は止まったままだった。

 「私のも……」

 サヤカが不安げにスマホを差し出す。

 「どうして……朝が来ないの?」

 彼女の声は震えていた。

 

 「とにかく、朝になれば帰れると思ってたけど……」

 リョウタが低くつぶやく。

 「このままじゃ、ずっとここに閉じ込められたままかもしれない」

 カナエが顔を伏せる。

 

 「……出口を確かめに行こう」

 ナオキが静かに言った。

 「正門も非常口も、全部見て回ろう。どこかに抜け道があるかもしれない」

 「そうだな。座ってても仕方ないし」

 タケルが立ち上がる。

 

 六人は懐中電灯を手に、パークの正門へ向かって歩き出した。

 夜の空気は冷たく、足元の雑草がざわめく音だけが響く。

 

 正門のアーチは、昼間と変わらず錆びついていた。

 「開けてみる」

 ナオキが門に手をかける。

 だが、門の向こうには濃い霧が立ちこめていて、外の景色はまったく見えなかった。

 「これ……外に続いてない?」

 カナエが門の隙間から覗き込む。

 「足を踏み出しても、霧の中に吸い込まれるだけだ」

 リョウタが試しに一歩進み、すぐに戻ってきた。

 

 「非常口も見てみよう」

 タケルが園内マップを頼りに、裏手の非常口へと向かう。

 だが、そこも錆びついた扉が固く閉ざされ、いくら押してもびくともしなかった。

 「鍵がかかってる……」

 シュンスケが肩を落とす。

 

 「スタッフ通用口は?」

 サヤカが声を震わせる。

 「こっちだ」

 ナオキが案内し、みんなで通用口へ向かう。

 だが、そこも同じように開かなかった。

 

 「どこにも、出口がない……」

 カナエが呆然とつぶやく。

 「これ、どういうことだよ……」

 タケルが扉を叩くが、返事はない。

 

 「パークの外に出られないなんて、そんなはずない」

 サヤカが泣きそうな声で言う。

 「もしかして、誰かが閉じ込めてるんじゃ……」

 シュンスケが疑心を口にする。

 「そんなはずないだろ」

 リョウタが声を荒げる。

 

 「落ち着いて。今はパニックになっても仕方ない」

 ナオキがみんなを制止する。

 「でも、どうして朝が来ないの? 時計も止まったままで……」

 カナエが涙ぐみながら言う。

 「わからない。でも、必ず脱出の方法があるはずだ」

 ナオキが自分にも言い聞かせるように言った。

 

 「……アミさんも、どこかで待ってるかもしれない」

 カナエが名札を握りしめる。

 「USBの中身、調べれば何かわかるかな」

 シュンスケがバッグからノートPCを取り出そうとするが、バッテリーはすでに切れていた。

 「電源が……全然持たない」

 「パークの管理室に電源があるかも」

 タケルが提案する。

 

 「とにかく、今は一度観覧車の下に戻ろう」

 ナオキがみんなを促す。

 六人は再び観覧車の下に集まり、ベンチに腰を下ろした。

 

 「これからどうする?」

 サヤカが不安げに尋ねる。

 「まずは落ち着こう。体力も温存しないと」

 リョウタが冷静に言う。

 「でも、眠れる気がしない……」

 カナエが夜空を見上げる。

 

 「朝が来るまで、ここで待つしかないのかな」

 タケルがぽつりとつぶやく。

 「……本当に、朝なんて来るの?」

 サヤカが涙をこらえながら言う。

 

 夜のパークは、相変わらず冷たく静まり返っていた。

 観覧車のゴンドラが、夜風に揺れて軋む音が遠くから響いてくる。

 六人は、互いに顔を見合わせ、言葉を失ったまま、夜明けを待ち続けた。

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