夢幻パーク   作:砂漠のデスラクーダ

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夢幻パーク 第2幕 シーン4/分断と個別行動

観覧車の下、六人は互いの顔を見合わせていた。

 マスコットたちの影は、まだ遠くでじっとこちらを見ている。

 誰もが息をひそめ、夜の静寂の中で自分の心音だけがやけに大きく響いていた。

 

 「……もう限界だ」

 タケルが立ち上がり、頭を抱える。「ずっとここに閉じ込められてる気がする。もう何時間経ったんだ?」

 

 「時計は止まったまま。空も変わらない」

 カナエがスマホを見つめている。画面の光は頼りなく、彼女の顔を青白く照らしていた。

 

 「USBの中身も、これ以上は何も出てこない」

 シュンスケがノートPCを閉じる。

 「アミさんの“出口”って、一体どこなんだよ……」

 リョウタが低くつぶやく。

 

 サヤカは膝を抱えて座り込み、震えていた。

 「私、もう無理……。ここにいるだけで、何かに見られてる気がする」

 「みんなで一緒にいれば大丈夫だよ」

 カナエがそっと肩に手を置くが、サヤカは顔を上げようとしない。

 

 その時、遠くでパレードの音楽が再び鳴り始めた。

 不気味に歪んだメロディー。

 観覧車のゴンドラが、誰も乗っていないのにゆっくりと動き出す。

 

 「……また来る」

 タケルがゴンドラを指差す。

 暗闇の中、クラウンくんの影がゆっくりと近づいてくるのが見えた。

 その後ろに、ポポリちゃんとミラミィも続いている。

 

 「逃げよう!」

 ナオキが叫ぶ。

 六人は一斉に立ち上がり、園内の奥へと走り出した。

 

 だが、走りながら、誰もが自分の限界を感じていた。

 「もう無理だ、体が動かない……」

 サヤカが足を止め、しゃがみ込む。

 「ここで休もう」

 カナエが隣に座り込む。

 

 タケルは呼吸を整えようとベンチに腰を下ろした。

 「みんな、バラバラになったら絶対ダメだぞ」

 リョウタが周囲を見回す。「このパーク、何かがおかしい。誰か一人でもいなくなると……」

 

 「でも、もう限界だよ」

 サヤカが涙をこぼす。

 「私も、少し一人になりたい」

 シュンスケがカメラを抱えて立ち上がる。「動画の素材を集めておきたい。何か手がかりがあるかもしれない」

 

 「やめた方がいい」

 ナオキが制止するが、シュンスケは「大丈夫、すぐ戻る」と言い残し、売店の方へ歩き出した。

 

 「俺も、ジェットコースターの方を見てくる」

 タケルが立ち上がる。「何か、出口のヒントがあるかもしれないし」

 

 「……気をつけて」

 カナエが声をかける。

 

 「私、観覧車の下をもう一度探してみる」

 カナエが名札を握りしめて立ち上がる。「アミさんの痕跡、まだ残ってるかも」

 

 「じゃあ、私は……」

 サヤカがためらいながらも、ミラーハウスの方へ歩き出す。「あそこ、何か呼ばれてる気がする」

 

 「みんな、絶対に無理はしないで」

 ナオキが皆に声をかける。「何かあったら必ず戻ってくるんだ」

 

 リョウタは腕を組み、観覧車の影から園内全体を見渡していた。

 「俺はここで見張ってる。何かあったら叫べ」

 

 それぞれが自分の思いと恐怖を胸に、夜のパークの闇へと散っていった。

 

 カナエは観覧車の下で、アミの名札を握りしめながら、

 「どうして、こんなことになったんだろう」と独りごちる。

 ふと、足元で何かが光る。

 拾い上げると、それはアミのものと思われる小さなペンダントだった。

 

 タケルはジェットコースターの脇で、レールの錆びた音に耳を澄ませていた。

 「出口……どこかに抜け道が……」

 だが、背後で何かが動く気配がして、思わず振り返る。

 

 シュンスケは売店の裏で、カメラを構えていた。

 「この映像、誰かが見つけてくれたら……」

 だが、ファインダー越しに、クラウンくんの影がゆっくりと近づいてくるのが見えた。

 

 サヤカはミラーハウスの前で立ち止まり、

 「……呼んでるのは、誰?」と小さくつぶやく。

 扉の奥から、かすかな歌声が聞こえてくる。

 

 リョウタは観覧車の下で、みんなの姿を見失わないように目を凝らしていた。

 「……誰も、消えるなよ」

 彼の声は、夜の静寂に吸い込まれていった。

 

 パークの夜は、さらに深く、濃く、静まり返っていく。

 それぞれが孤独と恐怖、そしてわずかな希望を胸に、

 “出口”を求めて闇の中をさまよい始めていた。

 

 

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