夢幻パーク   作:砂漠のデスラクーダ

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夢幻パーク 第1幕 シーン6/地下通路・旧スタッフルーム探索

 ジェットコースター事故現場の余韻を引きずりながら、七人はパークの裏手へと進んだ。

 コースターの脇に、半ば隠れるようにして古い建物が建っている。

 「スタッフルームって、この奥?」

 タケルが足元の雑草をかき分けながら尋ねる。

 「はい。従業員用の通用口があって、地下通路でつながっているんです」

 アミが案内役らしく先頭に立った。

 

 建物の扉は重く、錆びついた取っ手をタケルとナオキが力を合わせて開ける。

 中はひんやりとした空気が漂い、埃っぽい匂いが鼻をつく。

 「ここ、ずっと閉め切りだったんだろうな……」

 シュンスケがカメラのライトを点けると、薄暗い廊下が奥へと続いていた。

 

 「昔はここでスタッフが休憩してたんです」

 アミが懐かしげに壁の掲示物を指さす。

 「パークの閉園が決まった後、荷物を片付けに来たことがあって……」

 彼女の声に、カナエが「寂しかったですか?」とそっと尋ねる。

 「ええ。みんなで最後に写真を撮ったんです」

 アミは壁に残された色褪せた集合写真を見つけ、指でなぞった。

 

 「地下通路って、どこから行くの?」

 リョウタが周囲を見回す。

 「この奥の扉です」

 アミが指さした先には、鉄製の重い扉があった。

 「開くかな……」

 タケルが力を込めてノブを回すと、ギギギと音を立てて扉が開いた。

 

 階段を下りると、コンクリートの壁に囲まれた細い通路が続いている。

 「地下って、やっぱり空気が違うな」

 タケルが肩をすくめる。

 「ここ、閉園後は誰も入ってないはずです」

 アミが懐中電灯で足元を照らす。

 

 「壁に何か書いてある」

 カナエが指差す。

 「点検記録だな」

 リョウタが紙片を拾い上げる。

 「……でも、日付が途中で途切れてる」

 シュンスケがカメラで記録を撮影する。

 

 通路の途中、古びたロッカーが並んでいた。

 「これ、従業員のロッカー?」

 サヤカが扉をそっと開ける。

 中には埃をかぶった制服や、使いかけのノートが残されていた。

 「このノート、何か書いてある?」

 カナエがページをめくる。

 「“夜の点検は一人で行くな”……?」

 タケルが読み上げると、みんなが一瞬黙り込んだ。

 

 「事故の後、夜の点検は必ず二人以上で行う決まりになったんです」

 アミが静かに説明する。

 「それまでは、夜も一人で点検してたんですか?」

 シュンスケが尋ねる。

 「ええ。スタッフが消えてから、みんな怖がって……」

 アミの声が少しだけ震えた。

 

 通路の奥に、もう一つ扉があった。

 「こっちは何?」

 タケルがノブに手をかける。

 「点検室です。パーク全体の電源や監視カメラの管理をしていました」

 アミが答える。

 

 扉の中はさらに埃っぽく、壁には監視カメラのモニターが並んでいた。

 「全部、電源落ちてるな」

 リョウタがモニターを確認する。

 「でも、これ……」

 シュンスケが一台のモニターに映る静止画に気づく。

 「誰か、映ってる?」

 カナエが画面を覗き込む。

 「……スタッフの制服?」

 サヤカが不安げに呟く。

 「古い録画かも」

 アミがモニターの下の操作パネルを調べる。

 

 「この映像、事故の日のものだ」

 シュンスケが映像の端に映る日付を指差す。

 「でも、動かない……」

 ナオキがモニターを叩くが、画面は静止したままだった。

 

 「ここ、もう出よう」

 カナエがそっと言う。

 「この空気、長くいると気分が悪くなる」

 タケルが同意し、みんなも無言でうなずいた。

 

 七人は、地下通路を引き返し、スタッフルームを後にした。

 外に出ると、夜の空気が一層冷たく感じられた。

 遠くで観覧車のゴンドラが、風に揺れて軋む音が響いていた。

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