スタッフルームを出て、七人はしばらく無言で歩いた。
夜のパークは、さっきよりもさらに静まり返っている。
どこかで風がテントを揺らし、遠くの観覧車のゴンドラが軋む音が響いていた。
「……なんか、さっきから空気が重い気がする」
カナエがぽつりと言う。
「地下、息苦しかったもんな」
タケルが肩をすくめる。
「でも、外に出ても何か変だ」
リョウタが周囲を見回す。
アミは、スタッフルームを出てからずっと黙っていた。
先頭を歩いていたが、ふと立ち止まり、振り返った。
「少し、一人で見てきてもいいですか?」
その声に、みんなが驚いたように足を止める。
「どうしたの?」
カナエが心配そうに声をかける。
「ちょっと、確認したいことがあって……すぐ戻ります」
アミは微笑んでみせたが、その表情はどこか張りつめていた。
「一人で大丈夫?」
タケルが不安げに尋ねる。
「大丈夫です。ここは慣れてますから」
アミはそう言い残し、暗がりの奥へと歩き出した。
「……ついていった方がよかったかな」
サヤカが心配そうに呟く。
「でも、アミさん、何か思い出したのかも」
カナエがアミの背中を見送りながら言う。
「スタッフだったから、気になることがあるんだろうな」
シュンスケがカメラを下ろし、ため息をついた。
しばらくその場で待っていたが、アミはなかなか戻ってこなかった。
「もう十分経ったんじゃないか?」
リョウタが腕時計を見たが、時刻は変わっていないようだった。
「探しに行こう」
ナオキが決意を込めて言う。
七人は二手に分かれてアミを探し始めた。
ナオキ、カナエ、サヤカはスタッフルーム周辺からメインストリートへ。
タケル、シュンスケ、リョウタはジェットコースター側から観覧車の方へと向かう。
「アミさん!」
カナエが声を張り上げるが、返事はなかった。
「どこ行ったんだろう……」
サヤカが不安げに辺りを見回す。
「こっちにはいないみたいだ」
タケルが戻ってきて報告する。
「観覧車の方も探したけど、姿は見えなかった」
シュンスケがカメラを下ろす。
「まさか、パークの外に……」
サヤカが言いかけたとき、カナエが首を振った。
「アミさんは、きっとまだ園内にいる。ここで何かを確かめたかったんだと思う」
「とにかく、もう少し探してみよう」
ナオキが皆をまとめる。
「でも、もし見つからなかったら……」
サヤカが声を震わせる。
「大丈夫。必ず見つける」
ナオキが力強く言う。
再び七人は、園内をくまなく探し始めた。
売店の裏、メリーゴーランドの陰、ミラーハウスの脇道――
だが、どこにもアミの姿はなかった。
「……本当に、どこ行っちゃったんだろう」
タケルが疲れたように腰を下ろす。
「アミさん、何か手がかりを残してくれてないかな」
シュンスケが辺りを照らす。
「これ……」
カナエが地面に落ちていた小さなメモ帳を拾い上げる。
「“すぐ戻ります”って……アミさんの字だ」
「やっぱり、何か確かめたいことがあったんだな」
ナオキがメモ帳を見つめる。
「でも、こんなに探しても見つからないなんて……」
サヤカが不安げに呟く。
「パーク、広いからな」
リョウタが肩をすくめる。
「でも、どこかで会える気がする」
カナエが静かに言った。
夜のパークは、さらに静寂に包まれていた。
観覧車のゴンドラが、遠くで軋む音を立てている。
「もう少しだけ、みんなで探してみよう」
ナオキが立ち上がり、みんなもそれに続いた。
七人は、アミを探して再び夜の園内へと歩き出した。