アミが姿を消してから、六人は園内をくまなく探し続けていた。
夜のパークは、時間が経つほどに静けさを増し、どこか現実離れした空気が漂っている。
懐中電灯の光が草むらやベンチの影をなぞるたび、ひそやかな不安が胸の奥に広がっていった。
「アミさーん!」
カナエがメインストリートで呼びかける。
返事はない。
「どこに行っちゃったんだろう……」
サヤカが心細げに呟く。
「パークの外に出たとは考えにくいよな」
タケルが周囲を照らしながら言う。
「そもそも、こんな時間に外に出るのは危ないし」
リョウタも辺りを警戒するように見回す。
「アミさん、何か手がかりを残してくれてないかな」
シュンスケが足元を照らしながらつぶやく。
ナオキは、ふとメリーゴーランドの柵のあたりで何かが光るのを見つけた。
「これ……」
ナオキが拾い上げたのは、小さなキーホルダーだった。
「アミさんのだ。スタッフ時代からずっと付けてるって言ってた」
カナエがすぐに気づく。
「ここで何かあったのかな」
サヤカが不安げにキーホルダーを見つめる。
「でも、落としただけかもしれないし……」
タケルが言いかけて、ふと黙り込む。
「とにかく、他にも何かないか探してみよう」
ナオキが皆を促す。
六人は、メリーゴーランド周辺や売店の裏、ミラーハウスの脇道まで、懸命にアミの痕跡を探した。
「これ、見て」
カナエが売店の裏手で、紙切れを拾い上げた。
「“観覧車の下”って書いてある」
「アミさんの字だ」
シュンスケが紙をライトで照らして確認する。
「観覧車の下……何かあるのか?」
タケルが顔を上げる。
「とりあえず、行ってみよう」
ナオキが決意を込めて言う。
六人は観覧車の方へと歩き出した。
観覧車の足元は、昼間なら子供たちが集まる場所だった。
今は雑草が伸び放題で、ゴンドラの影が地面に落ちている。
「アミさーん!」
サヤカが再び呼びかけるが、返事はなかった。
「ここに何か……」
カナエが地面を照らしながら歩く。
「これ、見て」
シュンスケが観覧車の基礎部分、点検口の近くで何かを見つけた。
「名札……?」
リョウタが拾い上げる。
「アミさんのだ」
ナオキが名札を受け取り、胸に力を込める。
「やっぱり、この辺りに来てたんだ」
タケルが観覧車の下を覗き込む。
「でも、どこにもいない……」
サヤカが声を震わせる。
「観覧車の下に、何か隠し場所があるのかも」
カナエが周囲を調べ始める。
「点検口、開くかな」
タケルが扉を押すと、ギギギと音を立てて少しだけ開いた。
「中、暗いな……」
シュンスケが懐中電灯を差し込む。
「何か見える?」
リョウタが覗き込む。
「奥に、誰かいる……?」
サヤカが不安げに声を上げる。
「アミさん!」
ナオキが呼びかけるが、返事はなかった。
「……誰もいないみたいだ」
タケルが点検口から顔を出す。
「でも、ここに名札やキーホルダーが落ちてたってことは……」
カナエが言いかけて、ふと黙り込む。
「アミさん、自分から何かを残していったのかも」
ナオキが名札を強く握りしめた。
「とりあえず、もう少し周辺を探してみよう」
リョウタが周囲を照らしながら言う。
六人は観覧車の下や周辺をくまなく探したが、アミの姿はどこにもなかった。
「……本当に、どこ行っちゃったんだろう」
サヤカがため息をつく。
「でも、何か伝えたかったんだと思う」
カナエが名札とメモを見つめる。
「観覧車の下に、何かあるのかもしれない」
ナオキが低くつぶやいた。
夜のパークは、ますます静寂に包まれていく。
観覧車のゴンドラが、夜風に揺れて軋む音が遠くから響いていた。