フィギュアスケートの審査は先ず競技会の進行と審判団の監督を行うイベントレフェリーと呼ばれる審査員の監督者が存在する。そしてその下に実際に演技で行われたジャンプ等をはじめとするエレメンツがしっかりと行えているか判断し技術点を判定する技術審判、行われたエレメンツの出来栄えや演技構成を評価する演技審判が存在する。それぞれの審査員になるには資格や各主催団体の長などによる任命が必要となる。国際的な大会で審査員を行うとなれば海外での研修や試験等を通過しなければならないことがほとんどでありその道のりは決して易しいものではなく、国内大会に限っても大きな大会の審査員となればやりたいからと言ってなれるものではない。
そして多くの時間を勉強や下積みに費やし、少なくない金額を払い試験を受け合格し審査員になれたとしても、フィギュアスケートの大会やバッジテストの審査員の多くは高校野球の審判と同じようにボランティアのようなものであり交通費等の支給はあっても報酬は存在しない。ただあるのは人生を賭けてきた選手達に点数をつけ順位をつけるという責任だけであり、誤審などしようものなら烈火のごとく責められる。それだけの犠牲とそれだけの危険を背負いながら、それでも多くの審査員は今日も審査席に座る。冷たい氷の上に奇跡を生み出そうと努力を続ける選手達に序列をつけるという苦しみを背負いながら、フィギュアスケートを愛しているがゆえに今日も審査席に座るのだ。
杖を突いた男が気だるげにスケート場を歩いていた。その近くには衣装を来た子供達やその親かコーチであろうか?大人の数も多い。これから行われる大会に向けてなのだろう真剣な顔をして準備体操をする少年、イヤホンを耳につけて集中している少女を見ながら杖を突く青年はゆっくりリンクへと歩を進めていく。杖を突きながら青年が向かうのはリンクの上ではない、観客達のために用意されている客席その一角。いわゆる審査員席と呼ばれる場所であった。
フィギュアスケートの審査員はフィギュア未経験であっても資格を取得し認可されれば務めることができる。しかし、当然ではあるがフィギュアスケートの選手として実績を残しているものの方がより資格を取りやすいのは間違いではなく、男もその例外に漏れずもはや遠い昔となってしまった現役時代には六級まで合格しノービス、ジュニアと全日本でも実績を残したホープであった。期待されていたその才能を証明し世界に羽ばたこうとしていた素晴らしい天才の一人だった。しかし、その未来はあっけなく怪我によって閉ざされ、その少年は二度と氷の上に戻ることなく青年となり大人となった。よくある話だ。殻を破り飛び立つことができても最後まで飛び続けられるものはそうはいない。どこにでもあるありふれた悲しくやるせなくありふれた悲劇、そうしてかつて天才だった少年は忘れられていった。リンクの上に彼の居場所はもうない、それでもかつて天才だった男はフィギュアスケートから離れられなかった。忘れられもうリンクの上にいられないのだとしても彼はフィギュアスケートに縋りついた。その末が今である。かつては魅せつけていた側にこうして座っている今である。重ねて述べるがこの審査という行為にお金は発生せず名誉も栄光もない、むしろ金銭的な部分を考えればデメリットしかない。多くの人がなぜそこまでして関わり続けるのかと言うだろうし、男も我が身のことながらなぜ?とそう思ってしまう。資格を取れたとしてもそれで終わりではない、研修が必要なものや毎年登録料を払わないといけないものまである。続ければ続けるだけ時間もお金も消えていくが、それに対する見返りはほとんど望めない。全くもって我ながらなんで?と言われたら返す言葉もないし、多くの人からすれば苦行以外の何物でもないだろうと思う。これは他の審査員達も同じだろうと思う。審査員の多くは元選手であり、現在進行形で指導の現場で選手と関わったりしているような立場の者もいる。バッジテストを受けに来た子に不合格を言い渡すのはやはり少し辛くなることもあるし、大会で難しい要素に挑み失敗した子に低い評価をつける時は胸がつまる。全ての選手達が報われるような結果になってほしいと思わなかったことはない。正直、審査員としてではなく関わりのないただの観客として観たいと思ったことがなかったとは言わない。それでもこうして審査員という形でフィギュアスケートに観客以外の形でかかわり続ける理由は言おうと思えば色々言える。愛しているから、大会の進行にどうしたって必要だから、フィギュア界への恩返し本当に色々だ。けど、結局のところ今目の前に広がるこの光景が全てであるように思う。
夢も時間、願いも文字通り自分の全てを賭けて運命に勝とうとしている選手達が審査員に魅せようとしてくるこの光景が全てであるように思う。もう、自分はそちら側にいくことはできない、魅せることはできない。ほんの少しの嫉妬と羨望を抱きながら、それでも観ずにはいられない、魅せつけられずにはいられない。
さあ、今日も魅せてくれ氷上の奇跡を魅せてくれ。
ああ、今日も素晴らしい演技をありがとう。
メダリストでフィギュアに興味を持って色々調べていくうちに審査員さんめっちゃ大変じゃん…ってなったので勢いで書きました。
正直、書いてて内容薄いというかないなこれ…何が言いたいんだこれは…と思いましたが、まあ折角書いたしと投げるだけ投げておきます。
こういう裏方さんのおかげで華やかな舞台がある。当たり前ですが忘れがちですよねぇ。
それと素人なので絶対これは違うよ!となられる部分があると思いますが、間違った情報広めるのも嫌なので指摘は全然ウェルカムです。