主人公がボーダー隊員とわちゃわちゃするだけ 作:シールドを信じろ
「米屋...仁礼ちゃん...お前達...」
ある日のボーダーのラウンジ、目の前の同級生、米屋、仁礼ちゃんを見て俺は絶句していた。
「全教科...赤点ライン...!?」
「「ドヤァ...」」
「ドヤってる場合じゃないだろ!どうしてこうなる迄放置したんだ奈良坂ァ!」
「待て、平後園。コイツらは放置しなくてもこれだ。俺は悪くない」
「普通に悪いが?」
本日は防衛任務あがりに、奈良坂からの願いでおバカ2人の勉強を見る約束になっていた。まあ?勉強会開きたい→三輪が会議で居ない→じゃ、三輪と仲悪い俺を呼べる...この流れは理解できる。
だが、教えるのはてっきり米屋だけだと思っていた。まさか三輪が他部隊の面倒まで見てるとは思って無かったからだ。
かなり面倒くさそうにしていた米屋と仁礼ちゃんだったが、俺というレアキャラが居るとなっては話が違う様で、俺をからかう為に奈良坂と結託しだした。
なーにが「コイツらの進級はお前に掛かってる」だふざけやがって!
「...で?たけのこ王子様も教える側なんだよな?」
「はにゃ?」
「はにゃ?じゃねえよぶっ飛ばすぞコラ!」
「おいおい、ラウンジなのにそんな大声出して良いのか優等生〜?」
「そうだそうだ〜!」
「おだまりバカども!」
クソッ!奈良坂め!...俺が、こんな重労働を命じられたにも関わらず、明確にNOと言えない理由...それは、以前行われた小テストの点数勝負を行い負けた方に対して、可能な限りのお願いを聞いてもらえる権利を賭けて争った結果、惜しくも負けてしまった為、奈良坂に権利を得られ、それを使われたからだ。
最初は命令権をこんな事に使うとは!愚か愚か!なんて思っていたが。
まさかこんな悪魔の命令だったなんて...
奈良坂は今にも席を立ち、そのまま帰る勢いだ。許さない、そんな事は絶対に。勉強会には参加させるし、それ以前に一発殴る
俺は席を立ち、目の前にいるイケメンたけのこ王子に力の限りの正拳突きをお見舞いしようとして...
「おまたせ〜」
「...オ、サノ?」
その拳を止めた、止めてしまった。せめて殴れていれば、奈良坂も勉強会に巻き込めた。だが、新たな問題児の登場に一瞬呆けた俺は硬直。その隙を見逃す奈良坂では無かった。
そそくさと消えていった奈良坂に気付いた。だが時既に遅し。
「あ...!あ...!」
「ほらほらアッキー、行くよ〜」
「だ、誰か...助け...」
あ、あれは通りすがりの若村と三浦!アイツらなら...!アイツらならきっと俺を助けてくれる...!俺を逃がすまいとオサノが馬乗りで拘束してくるので、恐らく距離的に声は届かないだろう。
だから、精一杯手を伸ばして、ピンチである事をアピールする。
「...!」
若村が気付いた!俺の様子を見て、何事かと目を丸くし...続けざまにオサノ、米屋、仁礼ちゃんを見て、アイツは目を逸らした。
目 を 逸 ら し た ?
「おい待てコラ若村見捨ててんじゃねえぞあっ三浦助けってお前も目を逸らしてんじゃねー!」
「どうどうアッキー怒らなーい」
「お前はどけよオサノ!」
ラウンジでギャーギャー騒ぐ俺達。今にして思えば勉強会に参加したくないのは、なんかうるさそうで、参加すると自分が他の人に迷惑をかけそうな集団の一員になってしまうからってのもあったかもな...
最終的に、騒ぎを聞きつけたマキリッサに全員がゲンコツ、俺にはオマケで腹に蹴りを入れられて、この騒動は決着した。マジでふざけんなよ奈良坂、覚えてろ...!
これは、俺『
俺が通っている高校、六頴館高等学校の同級生に、1人面白い奴が居る。
「これ...受け取ってください!」
「え、っあ、そのっ、平後園!」
「もっと誠意見せろってさ。具体的にはもっと密着して上目遣いで渡す感じ」
「分かりました!」
「平後園っ!?」
それが、「裏切ったな!?」という目で俺を見ているこの男、辻新之助だ。
本日はバレンタインデー。女の子達が、意中の相手に本命チョコを渡すかどうか、男達はチョコを貰えるかどうかの話題で持ちきりの中、コイツは俺に護衛を頼んできた。
ボーダーイケメンランキングを作れば上位入り間違いなし。攻撃手としても高い実力を持つ辻だが、そんな彼にも弱点がある。
それが重度の女性恐怖症だ。
女性と話す事は愚か、顔を見る事すら難しい。対戦相手が女性だとボロ負けするので、一時期犬飼先輩と結託して、辻がマスターランクを踏んだ瞬間に女性戦闘員をけしかけてマスターから下ろすという遊びをしていた。
木虎ちゃんがクソ忙しい嵐山隊に入ったのと、最近壁を感じて戦闘員引退の兆しがある草壁ちゃんで、お願い聞いてくれそうな女性隊員が居なくなっているので、もうその遊びは出来ないが...
と、話が逸れた。ともかく辻はモテるくせに、女子の呼び出しを拒否し、俺を傍に置いて女避けにしようとしていた。
だが、本当に辻の事が好きな子は、そんな障害すら跳ね除ける。俺という邪魔者が居るにも関わらずにチョコを手渡そうとするその姿勢誉れ高い。
「お願いします...!」
「ッ...〜!」
「あっ...!」
「えぇ...逃げる程かよ...済まないな君。チョコは受け取ったみたいだけど、アイツにはそれでキャパオーバーだったみたいだ」
「...それでいいんです」
「...?」
「受け取ってくれればそれで。彼が女の子が苦手だって知ってるから。ゆっくり時間をかけて、彼と仲良くなる。これはその一歩だから」
「良い心掛けだけど、アイツは手強いからな。諦めるなよ」
「もちろん!」
そう言って彼女は去って行く。ちょっとカッコよすぎないか?
こんな子に愛される癖に辻君さあ...
呆れながら教室に戻る。すると、こちらに気付いたクラスメイトが1人、こちらに近づいて来た。
「平後園君!これ、チョコ!どーぞ!」
「手作り?」
「うん?そうだよ?どうかした?」
「じゃあ遠慮しときます」
「なんで!?」
ガーンと擬音が付きそうなショックの受け方をするクラスメイト。周りの他の連中もマジかよと言いたげだ。
「もしかして...私の事嫌いなの平後園君...」
「いやいや、綾辻ちゃんを嫌いになる人間はもう人間じゃないから」
「じゃあどうしてチョコ受け取ってくれないの?」
「俺はきのこの山至上派なんだ。だからさ」
「それは聞き捨てならないな」
「なんで隣の教室なのに聞こえてんだよ奈良坂」
選択肢をミスった。いくら綾辻ちゃんのダークマターを食したくないからといって、きのこの山派を名乗るのは早計だった。おかげでおとなりのたけのこ王子に目をつけられた。
「でも、氷見ちゃんの手作りは受け取ったって聞いたよ」
「氷見ちゃん!?」
遠くの席でごめんねポーズをする氷見ちゃん。京介のイケメン写真とか、アイツのバイトのシフトなんかを横流しにしているので、普段のお礼にと手作りのチョコをもらったにはもらったのだが...まさかこんな事になるとは
「平後園君...」
「うっ...」
綾辻ちゃんの上目遣いに、俺の心は揺れ動く。更には周りの男子達も、嫉妬と非難が同居した目線でこちらをじっと見つめてきやがる...!あと奈良坂お前は帰れ。
万策尽きた俺は最後の希望、宇佐美ちゃんへと目をやる。すると彼女から「メガネを掛けるのです...さすればメガネ神からの救済が行われるでしょう」というメッセージを受けた気がした。なんのこっちゃ
「...アリガタク、イタダキマス」
「うん!はい、どーぞ!」
拝啓 嵐山さん
彼女に料理させては行けないと知っておきながら、彼女を止められなかった事、一生恨みます
俺はこの日1度死んだのだった...
・不憫なおとこ ひごぞの
本作の主人公。人を弄ることを楽しみとし、そのしっぺ返しかのような出来事を毎度受けている
女子は基本ちゃん付け。モテたいらしいが、奈良坂がよく隣にいるので霞んでいるとは本人の弁