主人公がボーダー隊員とわちゃわちゃするだけ 作:シールドを信じろ
「チームランク戦を…実況解説ですか」
「そう、面白いだろ?」
「だからって俺が相方でいいんすか?初回なら風間さんとかが良いでしょ」
ある日、東さんに「一緒にランク戦解説をしないか?」と誘われた。なんでも最近入隊してきた武富桜子というオペレーターが、色々根回ししたり、上層部に直談判したりなどして、チームランク戦に実況解説が付く事になったらしい。
まだ入って来たばかりでチームへの所属すら決まってないのに、この行動力…
佐伯のチームを乗っ取った草壁ちゃんといい、木虎ちゃんといい、最近は本当に優秀な新人が多い。やっぱり玄界…最高やな!アリステラ時代は先輩しか居なくて優秀な後輩なんていなかったからな…
しかし、解説かあ…確かに俺は近衛とはいえ定石やら、搦手やらに覚えがない訳ではない。
だが相方が東さんとなると少し荷が重いな…
「解説を受けてくれたら、一緒に肉食いに行こう。当然奢りだ」
「お受けします」
食欲には抗えなかったよ…ジュルリ
そして今日…
『皆様こんにちは!間もなくB級ランク戦が行われます!そして、本日からチームランク戦に実況と解説が付く様になります!記念すべき第1回、実況は私、武富桜子が務めさせていただきます!そして解説には、A級東隊の東隊長と、A級太刀川隊隊員にして、個人総合2位の平後園隊員にお越しいただきました!』
『『どうぞよろしく』』
『さて、早速今回のランク戦の情報をおさらいしましょう!今回の対戦カードは、三輪隊、弓場隊、そして嵐山隊です!解説のお二人、見どころのチームはどこでしょうか!?』
『俺は三輪隊ですね。三輪隊長は元チームメイトですので、若干応援している事を否定できません』
『俺も似たようなものだな。弟子の木虎ちゃんが所属している嵐山隊を応援せずにはいられないな』
『まあ、だからと言って、俺も平後園隊員も公平な解説を心掛けるつもりですがね』
『なるほど、では、贔屓目抜きで注目している部隊はどちらですか?』
『…やっぱり嵐山隊だろうな。嵐山隊は今まで、隊長を超える点取り屋が居ない事で伸び悩んでいた。だが今回木虎ちゃんという強力な駒が加入した事で、その問題点が解消された。…今の嵐山隊は、強いぞ』
『概ね、平後園隊員と同じ意見ですね。ただ、人数が増えた事によるオペレーターへの負担は増えるので、その辺りも気になるところではあります』
『お二人とも、ありがとうございます!もう間もなく、転送開始です!』
全部隊が転送を完了した。マップ選択権は弓場隊だったのでいつも通りの市街地Bだ。
配置としては…嵐山隊が全体的に離れた位置に転送されている。逆に弓場隊はかなり近い。弓場隊は早々に合流できるな。
…木虎ちゃんがかなり弓場隊に近いな。
『この転送位置、嵐山隊に不利な様に見えますが…』
『事実そうだな。特に、合流しやすい位置に転送されている弓場隊に木虎ちゃんが近い。すぐに叩かれるなこれは』
『ですが、弓場隊のエースである弓場隊長は、三輪隊の二人が合流する際に接敵しそうな位置にいます』
『という事は、実際には各隊そこまで不利では無い、という事でしょうか?』
『エースだからって人数差をひっくり返すのは難しいです。王子隊員も蔵内隊員も、かなりの使い手ですから。少なくとも、嵐山隊長か時枝隊員が神田隊員を止めつつ、誰かが援護に入らないと、この試合で最初に落ちるのは木虎隊員になるかもしれません』
…東さんの言う通りだ。木虎ちゃん、ここは耐えだ。欲を出すなよ、仲間を信じて守りに入る事が肝心だぞ…
その後、序盤の展開は東さんの予想通り、弓場さんが三輪隊の二人とかち合う形となる。だが…やはり攻撃手キラーと呼ばれる弓場さんは強い。米屋と攻撃手よりかつ旋空を普段使いしない三輪じゃ苦戦は必至だ。奈良坂も二人のカバーで他の局面に干渉する事は出来なそうだ。
そして…
『あーっと!ここで弓場隊の二人と木虎隊員が接敵!』
『…だが、この状況は嵐山隊にとって悪くない。神田先輩はとっきーに抑えられてるし、嵐山さんがバッグワームで木虎ちゃんの方に向かってる。佐鳥は…三輪隊を警戒しているな』
『そうですね。始まって僅かしか経っていませんが、ここが勝敗を分ける鍵でしょう』
『それを弓場隊の二人も理解しているか!苛烈な攻めで木虎隊員を攻撃していきます!』
蔵内先輩の射撃支援に合わせて、王子先輩が孤月で詰める。対する木虎ちゃんはシールドで弾を防ぎながら、スコーピオンを構える…迎えうつつもりか。
戦場は住宅街で直線の道路に住宅が立ち並ぶ場所だ。
弾をやり過ごす木虎ちゃんは、そのまま王子先輩の間合に…
『…!?これは!?』
『…スパイダーで、某アメコミヒーローかの様に一気に距離を詰めましたね』
『これは…以前俺が教えた、孤月使いの苦手な部分をつきましたね』
『と、言いますと…?』
『攻撃手は近づかなきゃ始まらないが、孤月使いは近過ぎてもいけない。聞くが桜子ちゃん、君が刀を持っていたとして、自分と密着する程接近した相手を容易に斬れると思うか?』
『あっ…!なるほど、持ち手の長さとブレードの長さ、この二つが邪魔をして、そこまで近づかれると孤月では対処が難しくなるんですね!』
『そうだ。もちろん卓越した使い手程、そういう局面でも対処出来る技量がある。王子先輩に至っては、スコーピオンもあるからそう難しい事じゃない』
『…?なら、木虎隊員のこの突撃はあまり意味が無いと?』
『1対1ならそうだ。だが、この状況で孤月を使い辛くし、格闘戦に持ち込むメリットはある。それは蔵内先輩の射撃支援がしづらくなるという事だ』
『確かに…!』
『ランク戦は失点より得点が重要だ。ここで蔵内先輩が王子先輩ごと木虎ちゃんを撃ち抜ければ話は違うが…』
『そこまで割り切れる隊員はそう多くはありません。蔵内隊員は頭が切れるので思いつくかもしれませんが、すぐにその対応が出来ないと…』
画面の向こうでは殴り合うかのような距離で斬り合う二人に対し、蔵内先輩は手をこまねいていた。蔵内先輩の機動力では、位置を変えて撃とうにも住宅などの障害物が邪魔をしている。
そして…!
『ここで嵐山隊長の奇襲攻撃!バッグワームを解除しながらのスコーピオンで蔵内隊員を落とした!』
すぐには手を出せていなかった蔵内先輩。その隙を狙い、家屋の影から飛び出した嵐山さんが点を獲得した。
それを理解した木虎ちゃんが王子先輩を削り倒そうとして…
『あっ!?』
『…動揺したな、木虎ちゃん』
続け様に発生した3本のベイルアウトの光に、木虎ちゃんの動きが僅かに鈍る。その隙を逃す王子先輩ではなく、木虎ちゃんも斬られてベイルアウトしてしまった…
『な、何が起こったのでしょうか…!?』
『今の一連の流れで、嵐山隊に1点、三輪隊に1点、弓場隊に2点ですね』
『弓場さんの射撃が米屋のシールドを貫いて1点、弓場さんの射撃のタイミングにツインスナイプを合わせた佐鳥が1点、位置が完全に割れた佐鳥を奈良坂が取って1点。そして木虎ちゃんの動きが鈍ったところを王子先輩が取った。こんな感じだな』
『一気に戦局が動いた!この後の試合展開はどうなると思われますか?』
『2対2対2でイーブン…と言いたいところだけど、片腕が死んでる三輪が、やり合ってる弓場隊と嵐山隊にどう干渉できるかで変わってくるな』
その後、神田先輩を不意打ちで落とした三輪と、嵐山さんとやり合っていた王子先輩がベイルアウト。嵐山さんととっきーの二人相手は分が悪いと判断した奈良坂が自主ベイルアウトをして、最終スコアが
嵐山隊:得点 3/生存点 2/総合 5ポイント
三輪隊:得点 2/生存点 0/総合 2ポイント
弓場隊:得点 2/生存点 0/総合 2ポイント
で、始めて実況解説が導入されたランク戦は幕を下ろしたのだった…
終了後、約束通り俺は東さんと焼肉に来ていた…桜子ちゃんと一緒に
「こ、こんな高いところ、本当にご馳走になってもいいんですか!?」
「良いって良いって。君の分奢るのは俺だから」
「変な奢りあいだなぁ」
「俺の方が食うんだから、東さんは大人しく俺の分奢っておいてください」
なんで桜子ちゃんと一緒に食べに来ているのか。それは…
「あの、なんで本日は私も呼んでいただけたのでしょうか…?」
「それは、平後園から話してやれよ」
「もちろんですよ。…なあ、桜子ちゃん」
「は、はい!」
「俺とチームを組まないか?」
ロリコン疑惑 ひごぞの
・現在隊脱退、及び新規部隊設立の手続き中。仲間に相談したところ、隊長以外から苦い顔された。因みに隊を脱退する理由は隊が強すぎるかららしい