主人公がボーダー隊員とわちゃわちゃするだけ 作:シールドを信じろ
「おーい!平後園〜!」
「うん?…おや佐伯隊、いや今もう草壁隊か」
「よっ!ランク戦の相手探してんのか!?」
「うおっ、今日も元気だな〜佐伯…」
「相変わらず仲良いね二人とも!あ、そうだ明っち!後で俺と個人戦やろうよ!」
「もちろんいいぞ、里見。そんでもって…」
「…」
「うん、宇野はいつも通りだな」
最近、草壁ちゃんに部隊を乗っ取られた佐伯隊改め草壁隊。今まで銃手2位の里見を擁しながらも、イマイチ成績が伸びていなかったが、佐伯が隊長じゃなくなった事で、部隊全体の強みである走りに迷いが無くなり、里見のサポートにより専念できる事、新進気鋭の中学生、緑川を加えた事。そして草壁ちゃんが指揮を執り出した事。
これらの要因から嵐山隊に次いでランク戦を駆け上がっている部隊だ。
…だが、ポイントの伸び幅と前季の順位から考えて、今季の1位2位は嵐山隊と三輪隊で堅いだろう。隊長じゃなくなった事に佐伯が直ぐに適応できなかったとか、緑川と木虎ちゃんじゃ木虎ちゃんの方が強いという話だったりで、その様になってはいるが、Aに上がればおそらくは、草壁隊の方が嵐山隊より上位に行きそうではあるな。
「で?どうしたよお前達」
「いやなぁ、お前が部隊組んでB級ランク戦に来るって聞いてよ!いてもたってもいられないっつーか!」
「まあそーだねー。明っちがBとか、戦闘員1人でもランク詐欺だよ。考え直さない?」
「つーか、規定ならお前Aに居ながら今の部隊組めたじゃねぇかよ。大人しくAで暴れててくれよ」
「おいおい、まさか俺が怖いのか?佐伯は随分ビビってんだな?」
「むっ…」
「そう竜司をからかわないであげてよ。風間隊相手に3タテした明っちと戦うかもしれないってのは、B級3位以下のチームはみんなプレッシャー感じちゃうんだよ」
「そうか?そもそも俺が太刀川隊に居たままでも、Aに上がったら戦う事になるのに」
「Aに上がれるか不透明なのに、君が来たらもっと分からなくなっちゃうって話」
「う〜ん…?仮に俺が1位取っても、2位の奴はAに上がれるかもだろ?そんなビビってないで、ひと足早くAの力を体験出来るって考えにシフトした方が絶対いいね」
「ひゃー…手厳しいね…」
「なんか偉そうで腹立つな…」
全く、コイツらも既にA級レベルだってのに、なーに及び腰なんだか。そもそも俺がそんなに早く上位に来るとでも思ってんのかな?
実際はそう甘くないはずだ。実力差というより、人数差によるポイントレースに俺は不利だ。俺と戦うチームが、俺を足止めしつつ潰しあったり、一時的に連携して俺を潰したり。
やりようはいくらでもあるだろうに…
「あ、そうだ。早紀ちゃんが「今度デート行きましょう」だって」
「ああ。分かった、こっちからどこ行きたいか聞いておく」
「ちょっと待て」
「さて、個人戦やるか里見」
「ちょっと待てって」
「さあやるぞー、ドンドンやるぞー」
「明っち?竜司が用があるっぽい…って、なんで俺引っ張っていくの!?」
「待てやこのロリコン野郎!」
「あっ!言ったなテメー!腹立って来た、お前らまとめて相手してやる!」
「…」(元気だなぁと思っている)
「シャッ!やってやろーぜ一馬!隼人!」
「…!?」(驚愕を隠せていない)
「かかってこいや陸上部共が!」
「…」(俺は体操なんだけど…という批難の目)
という事でやって来ました市街地…C!?
ざけんな!クソMAPじゃねーか!
…まあ、太刀川隊にはスナイパーが居なかったから市街地Cは良く戦場に選ばれていた。前太刀川隊は出水と俺の射程が長い、俺に至っては有効射程の短いスナイパーレベルに射程がある。だからまあ、そこまでクソでもない。
問題はスナイパーの性能だ。宇野隼人。「精密身体操作」のサイドエフェクトを持っており、走りながら狙撃を当ててくるド変態だ。バッグワームで隠れつつ走り、撃つ瞬間にサイレンサーに切り替えて発射音を消してくるという、めちゃくちゃいやらしい戦い方をする。
コイツが居ると、やはり市街地Cはクソマップである。勿論、他二人の駒性能も非常に高い。
まずは里見一馬。さっきポイントを見たら、この間個人戦した弓場さんより高かったので、銃手ランク1位はコイツだ。多分コイツ本人は知らないんだろうが。
連射力に長けた突撃銃型と、単発火力に優れた拳銃型のフルアタックで、目の前に立つ敵をミンチにする草壁隊の絶対的エース。また機動力も非常に高く、一度射程に入ると逃れるのは困難。
そして佐伯竜司。この二人を繋ぐバランサー。弧月と突撃銃という俺と同じタイプの万能手だが、メインとサブ両方にエスクードを有し、走りつつ適宜障害物を生成したり、里見と組んで以前の俺と京介、今日のレイジさんと京介みたいな陣形を組める…が、やはり1番凶悪なのは、フルアタック中の里見を狙ってもエスクードやシールドによるサポートをされる事だ。強いったらありゃしない、なんでコレでBなんだ?
まあオペレーターが着いて来れなかったとか、近距離の層が薄かったとか色々考えられるが…
なんて考えながら、俺はサブ側の突撃銃を出しつつ走り出す。というかメイン側の銃はフルアタックする時しか使わないんだけどな…
そうして角に差し掛かり…
「おっと!」
狙撃!宇野だな…む?サイレンサーを使ったのは分かるが、なんでバッグワームを着直さない…ああ、
「おわっ!?」
そんな事を考えていた俺だったが、下方向から一瞬大きな衝撃を受ける。気づいた瞬間には、空に高く打ち上げられていた。上昇する体を捻って空に落ちるかの様な体勢になりながら地上を確認する。
「エスクード!なるほどな!」
「ご理解いただけたところで落ちてもらうよ!」
地上には俺が居た場所にエスクードが生えており、バッグワームを解除しながら銃を構える佐伯と里見が居た。
エスクードは生成される時、生えてくるかのように設置されるのだが…これが中々の生成速度なのだ。その生成速度ならトリオン体一つ軽く打ち上げられる。
してやられたね…遠くで宇野がアイビスでこちらを狙っているのが分かる。ガードの数が足りない、俺は抵抗虚しくベイルアウト…
する前に…
あるトリガーの話をしよう。名前はシールド、ご存知の防御トリガーだ。だが、このトリガーは使い方次第では、
「…!?」
「ハァ!?シールドを蹴っただと!?」
宇野の狙撃が先程迄俺の体があった地点を通過する。まあ、何をしたかと言うと、シールドを蹴ったというただそれだけなのだ。
確かに俺はエスクードに吹き飛ばされ、かなりの速度で上空へ落ちていた。普通の物理法則に則れば、シールドに足が接地した時点で、俺の足は見るも無惨な状態になっただろう。だが、トリオン体は物理法則の影響は受けても、それで死ぬ事は基本無い。
通常の人体には不可能な行動は、トリオン体を数十年使ってる人でも予測するのが難しい。
里見はあまり動揺していないが、他二人が揺れた。それで十分打開できる。里見と佐伯の射撃を両防御でしのぎ、宇野の射線を家屋で切る。そのまま突撃銃をハウンドに切り替えて扇状にバラ撒く。
佐伯と里見は両防御はせず、佐伯が追加で生成したエスクードを盾にやり過ごす。
両防御で足を止めたら、旋空で斬られるのを理解しているのだろう。だが、それは計算済みだ。
エスクードで里見の射線を切りつつ、佐伯に弧月で迫る。気づいた佐伯も弧月を抜き、俺に立ち向かう。
遅れて里見がエスクードから飛び出して来るが、ここまで迫れたらこっちの物だ。
という事で左拳を握り込む。
「…っ!それは見た事が…がっ!?」
「見た事あるんじゃないのか?」
以前の木虎ちゃんとの長時間模擬戦は話題になった。特に、木虎ちゃん程の美少女の顔面に俺が拳を叩き込んだ事は。
ことランク戦には勤勉な佐伯の事だ、ログぐらい見たハズだ。なので、左を囮に右足によるキックをプレゼントだ。
勿論里見が居る方向に向けて。
里見は佐伯へのフレンドリーファイアを危惧してトリガーを引くのを躊躇ってしまった。それは…明確な隙となる。
「旋空弧月」
…流石に死なないな、ギリギリで即死は避けられた。だが佐伯の腹に大きな傷を残せた。こっからは十八番の耐久戦術だ。このまま佐伯がトリオン漏出で落ちるまで時間を稼ぎ、落ちた瞬間に里見を詰めればいい…
さあ、まだまだ楽しもうぜ!
「クッソ〜!強え〜!」
「いや〜、やっぱり初手で倒せなかった時点で負けてたね〜」
「まあでも、お前達が対処法知ってりゃあの時点で俺は死んでた。やっぱりお前ら強いよ」
「くぅ〜!こうしちゃ居られねぇ!今からログ見返して何が悪かったのか反省会だ!」
「えっちょ、待ってよ竜司〜!てことで、またね明っち!」
「…!」(サムズアップ)
「おう、待たな〜…本当に騒がしい奴らだ」
だが、今日の手合わせは中々楽しかった。今度は草壁ちゃんと緑川を含めたフルメンバーと、ランク戦で相見えるだろうな。…流石にメンバーを増やしたいな、検討を進めるか…
やいのやいの言い合いながら帰って行く3人から踵を返し、反対方向に歩きだす。B級上位相手に3対1をして、流石に疲れた。今日はもう帰ろう。
そう思っていたら…
「よっ!明。ぼんち揚げ食う?」
「迅…!?」
珍しい事もあるもんだ。一体何をしに来たんだろうか…
「あのさ…」
「忍田さんチームに誘うのはやめてね」
「草」
結構強い ひごぞの
・風間隊を3タテした化け物。いくら当時の風間隊は、歌川が万能手じゃない、菊地原がまだ弱い、オペレーターがみかみかに変わった直後という要因があったとはいえ、5分程クソデカボイスで軽口を叩きながら菊地原に負荷をかけ、隙が出来たら狩り、連携が乱れた瞬間に歌川を取り、最終的に風間さんを真っ向勝負で叩きのめした。