主人公がボーダー隊員とわちゃわちゃするだけ   作:シールドを信じろ

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難産


ホワイトデーってお返し何にすればいい?とりま旋空でいい?

「……はあ」

 

「随分と深いため息ね。何か悩み事?」

 

 

3月も既に1週間が過ぎた頃、俺にはここ数日の悩みの種のせいで気が落ち込んでいた。だがまさか、お嬢様のお世話をしている時にまでため息をついてしまうとは…

 

 

「実は…」

 

「…ゴクリ」

 

「ホワイトデーのお返しって何したらいいんでしょうか…!」

 

「全員にブランド物買いなさい」

 

「!?」

 

 

その後、変に心配させやがってと言わんばかりに部屋から蹴り出された。そんなに気になるなら自分で聞いてこいとの事。

まあ…それが早い、か。

 

…ん?あのベージュ色の髪色は…

 

 

「おーい夏凛ちゃん〜!」

 

「平後園君。10時間24分59秒ぶり」

 

「相変わらず正確過ぎなカウントですこと。それ25分に切り上げちゃダメなの?…あれ、そういや昨日別に夏凜ちゃんと会ってない気が…」

 

「駄目。大切な事だから」

 

「…?まあ、いいや」

「それにしても、平後園君は私に何か用?ちょっと長く話し過ぎて心臓が爆発しそうなの」

 

「何それ重い病じゃん」

 

「そうよ想い病よ、だから手短にしてくれないと私死ぬわ」

 

「ええ…?」

 

 

第二期東隊のオペレーター…いや、今はチームを解散して片桐隊になったんだったか。スポッターなんていう激レアポジションを有する部隊だ。

しかしまあ…相変わらずこの子の事がよく分からない。学校やボーダー内で、俺を見かける度にじっ…と見つめてくる。影浦先輩みたいなSEも無いのに、視線で誰か分かるのは異常だぞ…

 

 

「…じゃ、簡潔に言うけど、ホワイトデーのお返し何がいい?」

 

「…ホワイト、デー?」

 

「そうそう。バレンタインではめっちゃ手の込んだチョコくれただろ?だから見合う様なお返しがしたいんだけど、思いつかなくてな…だから、ちょっと卑怯だけど本人に聞きに来たんだ」

 

「えっ、あっいやっ、渡せるだけで満足だといいますか、その…」

 

「あ、あと夏凜ちゃんってこの間誕生日だったよな。遅れちゃったけど、プレゼントを渡そうと思ってて…」

 

「……!」(ガクガク)

 

「ん…!?夏凜ちゃん!?ちょっと、大丈夫!?」

 

 

そんなにお返しやらプレゼントやらを渡す本人に聞くのはマナー違反なのだろうか?夏凜ちゃんは顔を真っ赤に染めながら、ガクガク震えだし、そのまま膝からくずおれて…って!

 

 

「夏凜ちゃん危ない!」

 

「アッ 近いっ!(絶命)」

 

「え?…夏凜ちゃん?夏凜ちゃん!?」

 

 

倒れそうになった夏凜ちゃんを、抱き寄せてかばう。すると、聞き取るのも困難な早口で何か言ったと思えばそのまま気絶してしまった。

 

 

「ちょっ、マジか。…ごめん、持ち上げるぞ!」

 

 

聞こえては居ないだろうが、一応断りを入れてから夏凜ちゃんをお姫様抱っこする。

昔小さい頃のお嬢様にせがまれてやり続けてたから、もはやお手の物だ。

 

夏凜ちゃんの軽い体(今俺はトリオン体だから実際のとこは分から…)を丁重に抱え、医務室へと向かって俺は走り出した…

 

 


 

 

「…という事なんだ」

 

「いやいや!だからってアンタが玲の家に来る必要は無くない!?」

 

「医務室からは後から来た片桐に追い出されてしまってな。曰く、「リスキル」らしい。で、そのまま当初の予定通りお返しの案を聞きこもうと思った時、俺はふと閃いたんだ」

 

「何を」

 

「俺那須ちゃんにチョコもらってないから、お返しの相談しても失礼に当たらないと…!」

 

「あら、欲しかったなら言ってくれたら良かったのに。とりあえずバイパーでいい?」

 

「お返しに蜂の巣になった俺なんて貰っても嬉しくないだろ?」

 

「然るべき所へ譲渡するわ」

 

「葬儀屋に送る気かテメー」

 

 

然るべき所という台詞で那須ちゃんの視線が別の物…というか、友子ちゃんを見ていた気がしたが、おそらく勘違いだろう。友子ちゃんの実家が葬儀屋な訳がない。

 

 

「んで、真剣な話なんだ。どうすればいいかな那須ちゃん」

 

「そうね、女の子に聞いてる時点で落第点だけれど…」

 

 

俺はやたらと那須ちゃんに敵視されている。ただ、同時に信頼もされている。合同で防衛任務をした時はしっかりと連携をこなせていた。

もし2人がまだ部隊を立ち上げていなかったら、俺の隊に勧誘したかった…

 

おっと話が逸れた。

 

 

「…やっぱり良いところのお菓子とかじゃないかしら」

 

「その心は」

 

「義理として渡してきた人は、お返しとしてお高いお菓子が出てきたらラッキーだし、そんなお返しをされる程、明君が自分を良く見てくれてるって思って、喜ぶと思うわ」

 

「なるほどぉ」

 

 

流石はお嬢様学校に通う高嶺の花だ。同じ高嶺の花のはずの桐絵嬢とは大違いだな…

 

しかし、やっぱり…

 

 

「手作りは無しかぁ(ボソッ)」

 

「手作り…!?明君、お菓子作れるの!?」

 

「うん、まあ。それなりに」

 

「…くまちゃんには、その手作りを渡したら?ちゃんと手作りって言って渡すのよ」

 

「え?でもお高い方がいいって…」

「いいから!…義理としての話よさっきのは…

 

「ねー、さっきから2人で何話してんの?」

 

「なんでも無いわよくまちゃん!」

 

「なんか玲焦ってない?」

 

 

…お返しって、難しいですね。帰宅した後、俺はお嬢様にそう言った。




数字大好き ゆいつか
・平後園の大のファンガール兼ヒロイン枠。学校で僅かにすれ違っただけなのに会ったとカウントしたり、次会える時まで時間をカウントしていたりする
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