グランドヒーローズ ワールド2-星の鎧-   作:四季永

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 時空管理局の手を逃れ、転移を果たした意沙達。だが「幕」が示した光景とはまるで一致しない風景が広がる。この世界の情報を得る為に、とりあえずは二手に分かれる事となったのだが・・・


鋼鉄の脅威

「あのさあ、これで何度目だと思ってる? いい加減弱い者いじめとか、カッコ悪い通り越してダッサいよ?」

「おっ・・お前が強過ぎるからいけないんだろーがあ! 今時こんなヒーローごっこ、流行んねーんだよ!」

「・・・テレビ、ちゃんと見てる? 大企業の社長さんが率先してヒーロー名乗ってる時代だよ? 都会じゃその人の恩恵でハイテクなスーツ着た新時代警察みたいなのが活躍してるし、それだけじゃなくて噂話じゃ仮面ライダーっていう仮面のヒーローが・・・」

 少女が助けた子供達も、少女が叩きのめした不良達も、彼女の長々とした語りを最後まで聞かぬまま、その場から姿を消していた。

*

「ホントに転移してやがる・・・」

「信じるのが遅いぞ。疑いが全く無いのも問題だが」

「それにしては、風景が田舎臭すぎないか?」

 館のドアを開き、意沙達の眼前に広まるのは田園風景。これに光太郎が違和感を口にしたのは無理もない。

「機械のビル群、か。確かに絵とは真逆の光景だ」

 吹き渡る風は涼しく、一応逃亡者の身でありながら危機感を忘れてしまいそうになる。

「とりあえずは情報収集って感じ? 冒険の基本っしょ」

「お前にしては無難な発言だな」

 まあ現状、それしか無いだろう。無計画無目的に始まった一行のこの旅、ここがひとまず留まる場所として、第一に知る必要がある。

「規模は小さいが町が見える。意沙と光太郎は探索と物資の買い出しだ」

「何で仕切ってんだよ・・・文句は言いようがねぇけど」

「で俺ちゃんは!? まさか留守番とかクッソ退屈な役とかないよね?」

「安心しろ、そこに任しても抜け出すだろーが。俺とデッドプールは・・・少し突っ込んで調べるか、楽しげな所に」

 

グランドヒーローズ ワールド2『星の鎧』

第1話

『鋼鉄の脅威』

 

「また布教に失敗したんだね~っ」

「何気にキツイ事言わないでよ早芽・・・僕がやってるのは伝導だよ!」

 少々のしかめっ面で通学路を歩く、一人の女子高生がいる。

「こんな事言いたくないんだけど、最近何だかたるんでる人が多いと思うんだよ。ここらは田舎みたいな所だから騒ぎは無いけど、大きい街じゃテロリストとか宇宙人とか、そういうのと日夜戦ってる人達を考えれば、感謝して立派を目指すのが筋って事!」

 熱弁する彼女の名は弥白飛那。その素行面でこの地域では少し名と顔が知れている。

「それをヒーローごっこというちびっ子にのみ許された神聖な遊びを、ウザイダサいなどという通らない理由で・・」

「飛那ちゃん目がキラキラしてる! ヒーロー大好きなんだね!」

「ううっ、この感性を煽り抜きで肯定してくれる友達なんて早芽ぐらいのモンだよ! みんな影の番長だの潜みし暴竜だの物騒な異名を広めてるけど、それじゃあまるで僕が暴力系

ヒロインみたいじゃん! 僕が目指してんのは古き良き弱きを助け強きを挫く王道のヒーローで・・・」

「飛那ちゃん、ヒーローになるなら時間守らないと。チャイムもうすぐ鳴るよ」

*

「でさあ、光太郎のオッサン」

「何だ」

「町に来たのはいいけど、何で最初に寄るのが銭湯なんだよ」

「この町の空気を見て決めた。今の俺達の身なりは相当に荒れていて不釣り合いだ、まともに歩ける気がしないだろう」

「それで見てくれだけはキレイに・・・ってか」

 別の世界に来てもはみ出し者、嫌な気分だ。・・・だが、

「その顔はまんざらでもない、ように見えるがな」

「・・・風呂に浸かるなんて久々だからな」

 

 

 銭湯を出て、適当な服を揃え、買い出しを始めたのは昼近くだ。同時に、この世界の情報についても漠然とだが耳に入った。

「機械装甲、パワードスーツ・・か。まるで未来予想図みたいな世界だな」

「でもってこの設備で田舎扱いかよ・・・首都はどんだけ発展してんだか」

 今意沙と光太郎の眼前に写る昼食、所謂ファーストフードの類なのだが、使用されているのは培養肉だ。味は悪くはないのだが、自分達の世界で未発達だった技術が一般化されているのを見るのは何とも・・

「良い事なんだろうが、変な気分だよ」

「俺のいた世界では既に切り捨てられた技術だ、日の目を見た社会を見るのは・・・・」

 

「何だよ、いきなり黙って」

「気にするな、忘れろ」

 二人が食べ終え、帰るべく席を立った。

 

 

 直後、爆音が響いた。それは比喩ではなく、熱量のある物が炸裂を起こした、本物の爆音だ。

「何だ!? こんな町中で」

 人々の声は直前、どんな感情だったろうと一斉に悲鳴や騒乱に変わり、その行動は自らを守る為に他者を顧みず逃げ惑う、その光景は悪夢そのものだ。

「一体誰が何をしたってんだ・・!?」

 外に出て周囲を見渡すと、道路の一部が吹き飛ばされた・・・跡が見える。

「戦車の砲弾並みの威力だな」

「小さい町でぶっ放すとか、正気の沙汰じゃねえな・・」

 だが、今は余計な感想を抱く状況では無かった。

『この破壊の意図が理解出来るだろうな、脆弱な人間よ。・・・いや、諸君如きに破壊などと下等な表現は失礼か・・そう、これは祝福だ。諸君は選ばれたのだ、この町に潜む反世界分子と共に浄化される、その特権を得たのだ』

 演説にも似た芝居がかった様な声が、町全体に響き渡る。

「イカれてやがる・・・!」

『心配せずとも取りこぼすつもりは無い。我々ジャスティスアーミーが、今からこの町に啓蒙を与えよう』

 その演説の直後、空中から複数降下する鋼鉄の、

*

「廃村、ならぬ廃町ねぇ・・・確かにこりゃあテーマパークさね」

「良いノリじゃないか、人がやけに多い町より楽しめるだろ?」

 意沙達のいる町に「襲撃」が起こる一時間前、別行動をとっていた士とデッドプールは・・・

 確かに、彼等の感性で言えば平和な町より、危険が転がる廃町の方が退屈しないだろう。

「見たところ何かしらの実験場・・だったみたいだな」

 朽ちた企業の看板、散乱している何かしらの機械の部品、投棄されたも同然の建物群。

「しっかし勿体ないねぇ、この広さならマイホーム作るやらしててもバレなきゃ許されるんじゃない? 住みついてる奴もいないとか見る目無さすぎぃ?」

「確かにな。こういう場所は決まって・・・ん?」

 

 

「涼しい顔で銃弾かわすたぁやるじゃねーか。一応聞いとくぜ、てめえは人間か、機械人か?」

 飛んできたそれを避けるのは容易い。真正面に立つ男の、その熱苦しそうな表情が見えたなら。

「敵意剥き出しなら銃撃だろうが斬撃だろうが読めるもんだ。その身なりなら警官か何かか?」

 

「人間ならそんな生意気な煽りツラできねえな。・・・で、こんなボロ町に何の用だ?」

「俺達は所謂通りすがりの・・旅団といった所だが、どうもここらの事情に疎い。普通の町、発展した町、ここの様に朽ちたような町。統一されてない地域があるのがどうも気になってな」

 男は銃を降ろし溜息をつく。

「アンバランスなのはここだけじゃねえさ。バグハザードが起きてから各国の軍需企業が躍起になって開発、実験の繰り返し。今俺達が立ってる場所みたいに破綻して捨てられた町に街も大なり小なり少なくねえ」

「物知りだねえ、やっぱりポリ公ちゃん?」

「不破諌。・・防衛隊の一隊長ってところだ。よく解んねえ格好してるが、危険だから出てった方が良いぜ、ここは反人類指定の・・」

 

 

『生体反応を確認。駆逐任務の為の、出撃をする』

 

「出やがったな、当たりだったか!」

 周囲の瓦礫から、次々と人型の「何か」が飛び立ち、幾つかは地上に着地する。

「機械生命体って奴か?」

「違うな。こいつらは大企業スターク・インダストリーのパワードスーツを自立稼働に改造し、操ってる・・・だそうだ。人に牙剥いてる連中の一兵卒、って言った方が解りやすいんだがな」

「要は雑魚か」

「逃げねえのか。一般人はお断りだ」

 だが互いに目が合った瞬間、声に出さなくとも確信する。

 こいつは戦う奴の目だ。

「足は引っ張るんじゃねえぞ・・!」

 不破が取り出したのは、手帳に似た機器、それを・・・力づくも同然の動作で展開し、銃に装填する。

「変身っ!!」

「成程、そういう事か・・・変身!」

 

「お前も仮面ライダーの一人・・みたいだな」

「ああ、仮面ライダー・・バルカンだ」

 それは青い狼を模した仮面の戦士。怒りの目を表しているといえるその両目は、

「来やがれ・・・お前ら機械のバケモノは残らずぶっ潰す!!」

 変身者の荒い気性に合わさっているかのようだ。

『生体物の排除を開始する』

『排除を開始する』

 機械の兵卒達が攻撃を始める。一斉に掌から放たれる高熱弾は、

「優れているのは連帯力だけか? 威力が伴ってなければな!」

 剣で容易く弾ける程に、つまり大した威力では無いのだ、彼等戦士にとっては。

「お前の武器は射撃戦寄りなんだな、物理で行く方が性に合ってると思うんだが」

「突っ込むな、勝手だろうが!」

 仮面ライダーバルカン、その戦法は敏捷性を以て相手の先手を取り確実に撃ち倒す。実際兵卒達はバルカンに狙いを定める間もなく、その動作の前にほぼ急所を撃ち抜かれ沈黙している。

「どうしたそのトロさはっ、排除するんだろう、俺達を!」

 

「ところでさあ、な~んか俺ちゃん空気化してる流れだと思うんだけど・・・立ってると思う?」

「そんな態度で敵を屠れてるんだ、引く位に目立ってるぞ」

「というか戦えたのかそいつ! 流れ者の芸人かなんかだと思ったぞ」

 デッドプールの戦法は一騎打ちよりも、多人数を相手にした戦法の方が映えると、ディケイドは判断する。ふざけているとしか言いようのないその動きが、逆に敵達の連帯した戦法を搔き回す事が出来るのだ。

「それはそうとさ、ここらから打ち上がってる花火の量、なんか不釣り合いじゃ無くない? 落ちてくんのが減ってんだけど!?」

「そんなの数えてたのか、暇な奴・・・何だと!?」

*

 兵士、その集団。

「どっから飛んできたんだよ、こいつら・・!」

「人間的な動きをしてない、ロボットという奴か」

 鋼鉄の兵士達は掌から熱弾を放ち、建造物の破壊を始める。同時のその照準は、意沙と光太郎にも向けられた。

「こいつらっ・・! やるしかねぇみたいだなっ」

「人目に触れるが、良いんだな?」

「んな状況じゃねえだろうが!!」

 兵士の攻撃をかわし、既に戦う意識と態勢を決めている意沙に、光太郎は黙って頷く。

「変身っ!!」

「変っ・・・身!!」

 

 

 少年の旅、戦い、物語、その序盤が幕を開けた。

 そして、

*

「離れの町で大火事だって。怖いね飛那ちゃん」

「ホント。最近多いよねこういう何てったっけ・・・不明災害だっけ」

「・・・何かさ、本当にこれって不明、なのかなって。本当は原因は解ってるんだけど、知られたら困るから・・みたいな」

「何ぞいきなり? あっ、ひょっとして陰謀論かなんか? 大丈夫だよホラー映画とかの観過ぎだって! もしかなんか困り事? 相談だったら何でも言ってよ! 早芽一人だったら僕守り切れる自信あるからさ! 最友でしょ?」

「・・・ありがと飛那ちゃん」

 親友ならぬ最友を笑顔で励ます一人の女子高生、弥白飛那。

 彼女の物語も、始まる寸前である事は、彼女自身も知らない。

 

 

 つづく

 

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