転生者は麻雀が詰まらない   作:夕立時雨

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和の咲への再戦前編

昼に降っていた雨は夜中の半ばには止んだ。

その頃、和はフリル多めの可愛らしい部屋着を着て自宅の自室のパソコンでオンライン麻雀をやっていた。

 

「…難しい」

 

原村和は自分でもやろうとしていた…、宮永咲が行った『意図的な±0で毎局を終わる』と言う、ただ勝ち抜くよりも難しい難行を…!しかし、マイナスなりプラスなり誤差が必ず出てしまっていた。

一息入れるために席から立ち上がり、飲み物を用意する事にした。

 

 『毎局、±0何て…人に出来る事なの!?』

 

紅茶をティーカップから飲みながら改めて宮永咲が行った±0の異常さに戦慄した。その後、ある程度休憩後またオンライン麻雀にて何回か半荘を回した後寝ることにした。

 

次の日

 

「会長、おはようございま〜す」

「ございまーす」

「おぅ。おはよー」

 

本校の生徒と挨拶する議会長の竹井に声を掛ける人がいた。

 

「相変わらず人気もんじゃのう」

「お?やーまこじゃん」

 

2年の染谷まこだった。

染谷は朝ごはんの弁当を持ちながら立ち上がり竹井に近づく

 

「聞いたわー」

「何がよ」

「毎回±0で和了る1年がいるそうじゃね」

「あぁ、居るわね」

「和、弄ばれたんか?」

「負けてはないケド…フライドの方はどうかな?」

 

そのままの足で図書館へ行く竹井と染谷

少し話し声が響く図書館に宮永咲は昨日借りた本を返して新しい本を借りようとしていた。

 

「あー、この本は今貸し出し中ですね」

「そうですか…」

「何が貸し出し中だって

少し落ち込む宮永咲。そんな時に

 

「やァ」

「!?か、会長!」ビクッ

 

唐突に後ろから声をかけられたので少し驚いた宮永咲が振り向くと会長である竹井久と染谷まこがいた。

 

「どれ…。この本なら持ってるよ、全集もね。貸そっか?」

「覗くなよ…」

竹井久は宮永咲が持っていた袋の中身を覗き込みそんな事を言う。

 

「いいんですか!?」

「その代わりに、1つ宮永さんにお願いしたいことがあるの」ニマ~

 

口をニマニマさせ宮永咲にお願いをする。宮永咲はまたです?と少し嫌そうな雰囲気を感じるが本の対価なので渋々受けることにする。お願いの内容は『放課後に今日だけでいいのでもう1回麻雀をやって欲しい』であった。

 

放課後の麻雀部の部室前廊下

 

「今日だけでいいんですね」

「うむ」

 

そう言いながら麻雀部部室の戸のドアノブをひねり

 

「待ち人来たるー」バーン

 

そう言いながら部室の戸を勢いよく開ける。

対面する宮永咲と原村和。

宮永咲が少し居心地悪そうにする。

 

「あの、彼女はしないんですか?」

「ん〜。彼女がやったら私達じゃ話になんないからねぇ除外。メンタル鍛えたい時以外は」

「私は勿論やらないよ〜。和と咲の〜、大切な試合だからねぇ」

「そう。須賀くん、優希呼んできて」

「あっ、はい(咲…)」

 

竹井に指示され片岡を呼びに行く須賀。

その時の須賀は咲を心配する素振りが見えた。

 

「え……?てゆーこたァ、あの文学少女が件のプラマイゼロ子か?」

「今頃気付くか…」

 

染谷は咲が件の少女とは露ほどにも思っていなかった様だ。今でも半信半疑の様子。

その様子に今更とでも言いそうな表情を少し浮かべる。

 

「優希!メンツ揃ったぞ!」

「あぃ、今行くじぇー」

 

須賀はベランダに出て1階の屋根の上に設置したパラソル付きの椅子に座ってい片岡に声をかけた。

その呼び声に反応して片岡は2階の室内に入った。

 

「宮永さん、和、まこ、優希。この4人で2回戦」

「会長はやらないんです?」

「私がやったら皇賭以外みんなトんじゃうでしょ」

「いってんさい」

 

 

試合をする人を竹井は指定したが、須賀にしないのは何故か問われ竹井は暗に天之帝以外が弱いと言っている様に聞こえる事を言う。それに染谷はんなわけないと言わんばかりに反応する。

天之帝は原作の試合目前にしているためか目がとても輝いている様に見える。

 

「ただし東風赤4枚ね」

「やた」

 

片岡は目に見えて表情を明るくし、宮永は少し驚きの表情を見せる。

 

「それってどういう意味ですか?」

「わりゃあそれでも麻雀部員か…?」

「えぇ…須賀くんさぁ、事前に調べなよ…」

 

染谷と天之帝は呆れ、竹井も知らない事に少し驚いている。

 

「解説するじぇ!麻雀は本来、東南西北の順で各4局ずつの計16局で終わるものでした。これを一荘(イーチャン)戦と言います。しかし!忙しい(せっかちな)現代人はその半分の半荘戦、さらに半分の東風戦が一般的になっているんだじょ!」

「いつもやっているのは南4局までだから」

「半荘戦だね」

「赤ってのはこいつらの事だじょ!」

 

そう言って赤ドラを雀卓の上に置く

 

「赤く塗られた5の牌、これが赤ドラ!今回はこれらが4枚全部入るじぇ!」

「ドラが、8枚になるのか…!」

 

片岡の説明を聞いて麻雀の基礎の基礎をようやく理解できた須賀であった。

 

「25000点持ちの30000点返しね」

「咲ちゃんはまた±0をするのかー?」

(本の為に2回だけ…)

(今回は本気でいきます…!)

(普通に考えりゃあ±0なんてのは不可能じゃ)

(見せてもらおうじゃないの…!)

(咲ちゃんの力を直で見られる何て嬉しいなぁ!)

 

東に片岡優希、南に染谷まこ、西に宮永咲、北に原村和が着席して第一回戦東風戦東一局が始まった。

色々な思惑が交錯しながらも麻雀は進む。

 

「親っ!リーチいくじぇー!

「は、早い…!」

(2巡目…、こがぁなん読めんわ)

 

早くも片岡がリーチを掛ける

その早さに原村と宮永は驚き、染谷は表情に出ないほどには冷静ながらも少し驚いている。

 

(嫌な予感がしますね)

 

原村がそう思った瞬間

 

ドーン!リーチ一発ツモドラ318000(おやっぱね)!!

「おいおいおい…」

 

片岡が早速和了った。その速さに3者は驚いている。

何なら染谷は少し引いている

 

「これ見てみそ」

「え?」

「優希の過去の平均点のグラフだよ」

「………」

 

須賀はグラフをじっと見つめる

 

「東場では稼ぐけど、南場で失速するタイプみたいね」

「天才なんですけどねっ!集中力が続かないのだ」

「飽きっぽい、の間違いでは…?」

「それだ!」

 

と和気あいあいと話しながら麻雀をしていく。

 

(赤と親がなければ出上がり3900(ザンク)の手…。それが赤2枚で12000(おやまん)確定に…。ここまで運の要素を強める「赤」。その上、昨日の半分の短期決戦…!±0の調整も難しいはず)

 

それからさらに進み

東一局一本番

「ロン、8300です」

「えぇ!?染谷先輩の見逃してたじゃん」

「直撃狙いです」

 

東二局

 

「それだ!1000」

「なぬ…!」

「逃げる気ですね優希ちゃん」

「………」

 

東三局

 

(ここは逆に赤に助けられたか…)

「張ってる?」

「はい。断么九平和(タンピン)ドラドラ11600(ピンピンロク)

「イタタ」

 

遂に宮永が動き染谷に11600が直撃。

 

「±0は29600点から30500点のわずかな範囲」

「ゼロ子は100点捨てりゃあ±0の完成じゃのぉ」

(そううまくいきませんよ…!)

 

 

今現在の点数

 

片岡優希 35700

宮永咲  30600

原村和  27300

染谷まこ 6400

 

東三局一本場

 

「ツモ。門前混一色自摸(メンゼンホンイツツモ(メンホンツモ))(チュン)・ドラ1、3000・6000の1本付けじゃあ!」ニヤリ

(おっと、いけん。様子見のつもりじゃったのに…)

 

東四局(オーラス)

 

現在の点数

 

片岡優希 32600

宮永咲  24500

原村和  24200

染谷まこ 18700

 

(今度は咲が門前混一テンパイか)

(ウーピンかパーピンが出れば5200(ゴンニー)で±0か…)

 

しかし宮永の行動はと言うとウーピンが来ても

 

(スルー…!)

(優希から直取りすればトップだぞ!?)

 

見事にウーピンをスルー

 

「……」スッ

(山越しの赤ウーピンもスルー!?)

 

原村からの赤ウーピンも華麗にスルーこれには竹井も驚愕。

 

(この子、あくまで勝ちは眼中に無し!?)

 

宮永が±0だけを見ていることに更に驚愕する。

 

「なんで和了らないんスか?」

「このルールにはウマはないけどオカはあるのよ」

「オカ?」

「25000持ちの30000返し、その差は1位に与えられる。よって1位は±0にはならない」

「それだとマズいすか?」

「あの子には……ね。あの子には±0しか見えてない。優希のウーピンで和了れば1位になってしまうし、和の赤ウーピンで和了れば2位だけど+2になる」

(宮永さんは5200を狙っている筈。ですが…)

「リーチ」

(リーチ棒が出たらどうするのでしょう)

(リーチ棒!)

 

原村からリーチ棒が出る。竹井はその手があったかと電撃が走る感覚を覚えた。

 

(和も意地が悪いのぅ)

 

流石に宮永も少し表情が少し曇る

 

(これで咲ちゃんが±0にするには70符2飜を和了らないとだね)

(いよいよ第一回戦の終幕だねぇ…!咲ちゃんの嶺上開花(リンシャンカイホウ)!生で見られるなんて感激だよ〜!)

「ってこれ1000点増えたってことですよね」

「こうなると±0にするには4100点から5000てんまでの間、つまり70符2飜で和了なければならない」

「な、70符って…」

「部の記録を見る限り70符なんてのは1000局に1回出るかどうか」

「役満以上のレア、ですか…」

「それを2飜で作るとなるともっと難しい」

(親のリーチを躱して40符3飜の手を70符2飜に作り変えられますか?宮永さん)

(70符なんて0.1%未満。それを今、この時それを狙って出すのは不可能だじぇ…!)

 

宮永が牌を引く

 

(終わったな…)

 

(さあ、出るぞ出るぞぅ…!宮永咲の嶺上開花…!)

 

場の空気が緊張と諦めの雰囲気を出し始めた。

そして宮永が牌を出す

 

(いや…?)ゾクッ

(これは…!!)

「カン」

 

西4つでカンをした。そして

 

「えっ!?」

(でも70符2飜で和了るには運が必要。それも…この場を支配する、超人的な豪運が…!それを人は奇跡と呼ぶ。それを可能にするのは神か悪魔ッ!!)

「嶺上開花自摸。70符2飜は1200・2300」

 

そしてツモった

 

宮永の上がり手配は、

イーピン1、リャンピン2、サンピン2、スーピン1、リャンソウ1、キュウピンが3、西が4、カンした後リャンソウをツモって嶺上開花自摸の70符2飜にて±0達成。

 

余りの驚きとあり得なさで対戦の席に座っていた人たちが一斉に立ち上がった。

原村はこの結果に無意識に涙をためる。

その他の人達も驚きを露わにする。

 

一戦目結果

 

片岡優希 +22

宮永咲  ±0

原村和  −9

染谷まこ −13

 

「咲ちゃんまた±0…」アリエナイジェ

 

片岡はかなり引いた

 

「……。宮永さん、麻雀は勝利を目指すものよ」

「え……」

「次は勝ってみなさい!」

 

竹井はとても興奮しながら発言していた。

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