アタシの名前は『塩導 基子(エンドウ モトコ)』。
"個性"は"塩基"。体から塩基性の液体を放出できる。
ただ、その個性の影響で肌と髪が荒れる。
身長の低さ(150㎝いかなかった。)もあって見た目はよくない。
ロングヘアなんかできない。ショートボブがせいぜいだ。
しかもうっかり人に向けて使うと大惨事になる。
お陰でまともな人付き合いは難しかった。
だからアタシは子供の頃から思っていた。
『変わりたい』と。『つまらない自分から』『変わりたい』と。
『どう』『変わりたい』とかはわからないけど、とにかく『変わり』たかった。
だから同じ中学の『無個性のやつ』こと緑谷を助けたし、
『法が許すなら殺したいほど嫌いな爆発男』こと爆豪にも噛みついた。
でも、『変わらなかった』。
しいて言えば緑谷からスイーツ奢ってもらえるぐらいになったぐらいだ。
そんな緑谷のやつが最近『変わって』きた。
雄英高校を目指すとか言ってたが、それだけで『変われる』のか?
だから私はそいつを尾行した。…オールマイトと訓練している。
あっ、オールマイトの姿が変わった。細くなった。
アタシも訓練したら『変われる』のだろうか。
雄英を目指して訓練すれば『変われる』のだろうか。
アタシは二人の前に姿を現した。
「それがアンタの『変わった』原因なのね。緑谷。」
「え、塩導さん!?何でここに!?」
「緑谷少年…まさか尾行されていたのか…!?」
二人は異様に慌てている。
「待って。…誰かに言うつもりはないわ。面倒になるだけだし。」
このオールマイトの真相が明らかになれば世の中は『変わる』だろう。
でも、アタシは『変わらない』。時の人になるぐらいだ。
だったら…この真相は『私が変わるため』に使いたい。
「その代わり…私も訓練させて。雄英を目指すから。」
「「…え?」」
二人は信じられないという顔をしている。
「じゃなきゃ…このことをSNSにあげるから。」
こうしてアタシは緑谷と一緒に雄英を目指すことにした。
試験当日になり会場に付き説明を受ける。
敵を倒してポイントを稼げばいいらしい。
緑谷と一緒の会場なのは、運がいいのか悪いのかわからない。
「が、頑張ろうね、塩導さん!」
「他人の心配より自分の心配をしな。アンタは人が良すぎる。」
気の抜けたスタートと共に試験が始まる。
アタシの"個性"は機械には通用しにくい。
塩基性では溶かせるものが限られてくるからだ。
鍛えておいてよかった。これぐらいの機械なら壊せる。
緑谷が女の子を助けるために0Pの敵に向かっていく。
足を折り、腕も折ってでも助けに向かった。
どうやって着地するつもりだろう?まさか…
『アタシの目の前で死なれたら迷惑だ。』
いつの間にか体が動いていた。落ちてくる緑谷を空中で受け止める。
「え、塩導さん!?」
「黙ってて。最期に聞くのがアンタの声なんてサイアクだから。」
死んでもいい。死んで『変われる』ならそれでいい。
両足で踏ん張って地面に着地する。
足の骨が折れ、腰の骨まで折れた。痛みのあまり意識がなくなった。
試験には合格したが一つ思ったことがある。
『あんなに痛い思いをしてまで人を助けるのは嫌だ。』ということだ。
もし人を助けるのならほどほどの痛みで済ませたい。
せっかくヒーロー科に入るのだからその方法を学ぼう。
こうして私の雄英生活が始まった。
でもこの時は思っていなかった。
『私が変わる』出来事が起こるなんて。
そしてその出来事は『この学校で起きない』なんて。
基子ちゃんはかなり暗い人物です。
周りに迷惑をかけない自己中心的人物です。