ギガントマキアによって破壊された町は簡単に治っていった。
治崎の分身によって信じられない速度で治せたのだ。
そして『支配者』による演説を開始する。
「皆さん…私たちの力があれば皆さんに安全を保障できます。
正に無限の生産力、強力な"個性"による守り、それらの恒久的保障…
『ヒーロー』にこんなことができるでしょうか?できませんよね。
出来ていたら私がここに立つことなどありませんから。
さあ、我々『超常解放戦線』に従いまし」
演説していたアタシに何かがかかる。ちょっとピリッとする。
酸性のものだ。すぐに塩基を操り中和する。
「基子!目を覚まして!」
バカの芦戸が何かやったらしい。
「貴様!塩導様になんて侮辱を」
「待ちなさい。…大丈夫よ芦戸。アタシはアンタを受け入れるわ。」
アタシは芦戸に手を差し伸べる。
「こんな手握れるか!私は基子を」
「アンタも嫌いだから殺すわ。」
アタシは芦戸の顔に触れる。
「私の酸で」
芦戸の首元に個性消失弾が撃ち込まれる。
「そ、そんな…こんなのって…ないよ…」
芦戸が泣き出す。異臭のする生暖かい何かが足元に広がる。
「…もう一度いうわ。アタシはアンタを受け入れるわ。」
芦戸はその場にへたり込んでアタシの手を握る。
「…殺さないで…お願いだから…」
「大丈夫よ。仲間は殺さないわ。」
後日、切島がキレながらやってきた。そしたら秒で捕らえられた。
硬質化だけで突破しようとしてきたらしい。こいつもとんだバカだ。
「そうだ芦戸。仲間になったんだから…殺せるわよね。」
「そ、それは…」
「いいんだ芦戸…お前が助かるなら俺の命ぐらい…」
アタシはガラスのコップに液を注ぐ。
「何回かけたら死ぬかしらね?いい実験になりそうだわ。」
アタシは芦戸にコップを持たせる。
「基子…許して…これだけは…できないよ…」
芦戸は泣きながら震える。アタシはその手を支える。
「できないなら…アタシが殺すわ。だったら愛する人の手で旅立ちたいわよね?」
「で、できない」
「じゃあ、アタシがやるわ。」
芦戸からコップを奪い、切島にかける。
「『硬質化』って『金属化』じゃないのよね?だったら溶けるはずよ。」
もう一杯、切島にかける。
「ぐっ!!!があああ!!!」
切島が痛みに苦しみ悶える。
「三杯酢って何かで聞いたわね…三杯塩基もあっていいわね。」
もいっぱいかける。切島の全身が液体で覆われる。
「あ、芦戸おおお!!!殺してくれえええ!!!」
「き、切島…」
芦戸の手にナイフを渡す。
「トガちゃん愛用のナイフよ。よく切れるわ。首をどすってやるのよ。」
「う、う、うわあああ!!!」
芦戸は半狂乱になって切島をめった刺しにする。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
切島が息絶えても芦戸はナイフを止めなかった。
「…いい?もし私たちに反抗したら…こうなるわ。
大人しくしたがっている間は幸せを提供するわ。
どちらがいいか…よく考える事ね。」
永く続く幸せと狂気的な恐怖…人々がどちらを選ぶかは言うまでもなかった。
こうしてアタシは『支配者』になった。
なんか外国からすごいヒーローが来たらしいけど、
仁さんの『支配者の大行進』の前にはどうにもならなかった。
人々はアタシ達の支配のもと明るく元気に暮らしている。
『いなくなったヒーロー』に代わって『アタシ達』が守っているのだから当然だ。
「トガちゃん!デート行こ!遊園地でクレープ半分こしよ!」
「行きましょうモトちゃん!今日はモトちゃんとイチャイチャします!」
アタシの最愛の人が手を引いてくれる。あの時と同じだ。
誰よりも暖かくて、誰よりも優しくて、アタシを『変えてくれた』手だ。
こうしてアタシは、『つまらない自分』から『最高の敵』に『変わった』のだ。
幸せなバッドエンドになりましたね。
短いですがこれにて完結です。
お付き合いいただきありがとうございました。