エンド・オブ・ヒーロー   作:神剣狩刃

2 / 12
かなり残酷な描写が出ます。気を付けてください。


第二話 スタートライン越え

雄英でいろんな体験をした。

体力テスト、戦闘訓練、敵が襲ってきた救助訓練、体育祭、職場体験、演習試験…

楽しいこともあったし、クラスのみんなとそれなりには仲良くなった。

 

でも、アタシが『望んだように変わる』出来事はなかった。

なんとなく『ヒーロー』を目指して、なんとなく『卒業』するんだろうな。

 

「ねえ、基子。美人なんだから笑った方がいいよ?」

更衣室で芦戸がアタシの頬を持ち上げながら話しかける。

「…アタシの荒れた顔で笑うと皆怖がるのよ。」

 

正直言ってアタシは芦戸のことが好きじゃない。

"個性"は真反対だし、バカだし、性格は明るいし、肌キレイだし…

何よりアタシの気にしたていることに無遠慮に踏み込んでくる。

 

「私の酸で中和してあげようか?」

「アタシはアンタの酸が何で出来ているか知らないわ。塩によっては事故になるわよ?」

「エン…?私と基子の縁だったら大丈夫だよ!」

「アンタのバカさ加減がうらやましいわ…」

「だったら基子もバカになろうよ!バカみたいに笑えば楽しいよ!」

「はあ…考えておくわ…」

バカになるか…間違いなく『変われる』だろうな。でもどうやって?

 

「あああ!!!!目から爆音がああああ!!!!」

隣の男子更衣室からエロブドウの叫び声が聞こえる。

耳郎がやったらしい。ざまあみろ。

…ああいうのがバカになるっていうのかもしれない。

エロブドウに近づくか?『変われる』が…ライン越えだろう。

 

強化合宿の訓練でも、私は『変わらなかった』。

強くはなったと思うけど、そういう変化じゃない。

 

だから夜になって敵が襲撃してきても『変わらない』と思っていた。

かっちゃんこと爆豪が狙われていると聞いてもだ。

 

「基子ちゃん。気を付けていきましょう。」

「アタシの"個性"に巻き込まれないようにね、梅雨ちゃん。」

その時に出会った『かあいい女の子』を知るまでは。

 

その『トガ』という女の子はアタシ達をナイフで襲ってきた。

アタシは少し血を流したが、職場体験で教わったG・M・Aで取り押さえる。

「基子ちゃん…あなたも『素敵』。」

「…アタシにそういう嗜好は今のところないわ。」

 

「私も『素敵な基子ちゃん』になりたいです。

好きなものになりたいよね。そのものになりたいよね。

私はボロボロで血の香りがする人大好きです。

ねえ基子ちゃん。基子ちゃんも『なりたいものになりたい』よね。」

 

その時みせたトガちゃんの表情は

 

恍惚としていて

 

恐ろしくて

 

『憧れた』。

 

『自分のやりたいことを素直にやる姿』に『憧れた』。

 

人が多く集まってしまって、トガちゃんはどこかに行ってしまった。

緑谷たちは爆豪を護衛しているらしいが、その爆轟はいない。

木の上にいる敵が爆豪を攫ったらしい。

 

緑谷は爆豪を取り戻しに行くらしい。

だから私も『私が変わるため』にその作戦に同行する。

障子が爆豪と常闇を取り戻したというが、敵の口の中にいた。

光線が敵を打ち抜き口から二つの球がこぼれる。

私は『トガちゃんに向かって』飛び込んだ。

 

「…トガちゃん。『連れて行って』。」

「…!もちろんです!モトちゃん!」

アタシはトガちゃんに引っ張られてワープホールに入る。

 

どこかのバーらしき場所に出る。

「オイオイトガちゃん!すげえ収穫じゃねえか!?余計だぜ!」

「まさか生徒を一人連れてくるとはなあ…」

「ちょっとちょっと!?計画になかったじゃないの!?」

「大丈夫です。モトちゃんは『連れて行って』と言いました。」

敵の視線が一斉に私に向く。

 

「…ええ。アタシは…『敵になるため』に来たわ。」

 

どう考えても『ヒーロー』には向かない"個性"。

ヒーローを目指したってきっとアタシは『変われない』。

『つまらない自分から』『変われない』。

 

だったら…『敵になれば』『変われる』。

 

「口だけのガキは嫌いなんだよ…俺たちのために何ができる?」

「死体の後処理ならできるわ。強塩基でタンパク質は溶かせるわ。」

「…それはありがたいですね。実際にやれるのであればですが…」

敵としてはアタシを信じるのは不可能だろう。

 

「…多分、爆豪はアンタたちの仲間にならないわ。

こいつは自尊心の塊で、自分が一番で…

本気でオールマイトに並べると思っている…

…アタシはこいつのことが『法が許すなら殺したいほど』嫌いなのよ。」

 

縛られた爆豪の前で液体をぽたりぽたりと垂らす。

 

「爆豪。この人達の仲間になる?」

「なるわけねえだろ敵女。寝言は寝て死ね。」

「…こういう男よ。仲間にはできないわ。

どんな方法でも首輪をつけることは不可能よ。」

 

だから…アタシは『ライン越え』の『バカをやろうとしていた』。

 

「…理科の実験でこんな注意がなかったかしら?

『薬品が目に入ったら流水で流しましょう』…

流さなかったらどうなるかしら?」

「…それをやったら戻れ」

「失明するわ。それも…結構な痛みを伴って。」

アタシは液体が滴る手で爆豪の目を覆った。

 

「っ!があああ!!!」

「オイオイ…マジにやったよあいつ…」

「なるほど…彼女の『敵になりたい』意思は本当のようですね…」

「いや…まだ演技の可能性がある。塩導だったか…そいつを殺せ。」

敵の命令に私は喜んで頷く。

 

「『法を守る敵』なんていないわよね?

そんな奴が『法が許すなら殺したいほど』嫌いな奴を前にしたら…」

「やめろ…敵女…」

爆豪は情けない声でつぶやく。

「『喜んで殺す』わよね。」

私は笑顔で目の前の男を溶かした。

 

言い忘れていたわ。

これはアタシが最高の敵になるまでの物語よ。




ということで今作は基子ちゃんによる敵連合超強化ストーリーです。
トゥワイス救おうとしたらこれしかなかったんだ…

幸せなバッドエンド目指して頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。