傷だらけのトガちゃんをトゥワイスが助けてくれた。
「ありがとう、トゥワイス…いや、『仁さん』。」
「おお!?モトちゃんがデレた!?かわい」
「まだ一時しのぎなだけでしょ、調子乗らないで。」
「…だよな…でもよお…あれで決着じゃねえか?アンコールがあるぜ!」
…まあ、あの死柄木君を見れば一目瞭然だろう。
すべてを崩壊し、ギガントマキアを服従させた以上、決着だろう。
異能解放軍もアタシ達敵連合に従うと決めたらしい。
これで『支配者』への『王手』をかけたと言ってもいいわね。
「トガちゃん…あーん…」
「モトちゃん…あーん…」
アタシは一命をとりとめたトガちゃんとお寿司を食べさせ合っている。
成長期の食べ盛りだからいくらでも食べられる。
トガちゃんが食べさせてくれるならなおさらだ。
超常解放戦線となったアタシにも不安があった。
アタシと同じ『裏切り者』が紛れ込んでいるからだ。
「とりあえず解放思想の浸透をガンバっています!」
No.2ヒーローのホークスだ。
ホークスからのヒーロー側の動きの連絡はありがたい。
しかし、『ヒーローと通じている』のもまた事実。
ホークスが出て行ったドアの隙間に羽が挟まっている。
あれが偶然にせよ必然にせよ何かあったらまずい。
「予定通りでよろしいでしょうかスピナー。」
「ああ。戦士たちの士気を維持しておけ。」
「弔く」
「ごめんトガちゃん、我慢の限界なの、許して。」
トガちゃんの唇を奪って強引に話を止める。
今、死柄木君は力を手に入れるために眠っている。
もしこの情報が洩れたらヒーローは攻めてくる。
「…モトちゃん。皆の前でするのは恥ずかしいです。
こういうのは…やめてください。」
プンスコするトガちゃんには申し訳ないけど、ウソ泣きをする。
「…ごめんなさい…で、でも、トガちゃんがかあいくて…
す、好きだから…我慢できなくて…!」
「わ、わ!?嫌じゃないですよ!ただ、二人の時にしてほしいってだけです!
大丈夫ですよ。私もモトちゃんが好きですから…」
そこから何か月か経って分かったことがある。
ホークスと仁さんは仲が良いということだ。仁さんは仲間意識が強い。
多分『死柄木君の準備期間』は話しているはず。
だとしたら…
ホークスとの会話を終えた仁さんにアタシは話しかける。
「ねえ、仁さん…ちょっと悩みがあるの…」
「おっ!モトちゃん!いいぜ!乗ってやるよ!聞き流すぜ!」
ヒーローの襲撃があった。山荘にいたアタシは仁さんの下に駆け付ける。
「やっぱりやると思ったわ。…あの時殺しておけばよかったわ。」
ホークスが仁さんを追い詰めていた。
「…裏切り者同士気が合うね。」
「モトちゃん!ホークスを説得してくれ!」
仁さんは泣きながら懇願している。
「無理よ。仲間に手を出すやつはそもそも信用ならない。」
アタシはトガちゃん直伝の動きでホークスに迫る。
「羽で感知できるぜ?そこだろ?」
あっという間に拘束される。驚くほど鮮やかだ。
「…殺すならアタシからにして。」
「モトちゃん!?ダメだ!いいぜ!俺から殺せ!」
「安心しろ。二人とも同時」
「お前が一番最初だよ、ホークス。」
荼毘さんの炎がホークスを燃やす。羽が燃えてボロボロだ。
「皆を守らなきゃあ!恩を仇で返して」
逃げる仁さんをホークスが刺し貫く。
仁さんはドロッと溶けて消えた。
「なんだって」
「アンタが一番最初よ。」
アタシはホークスの喉を刺し貫いた。
「…これが真実よ仁さん。警戒しておいてよかったわね。」
「…ホークス俺は悲しいぜ…嬉しいぜ!お前を信じていたのによ…」
『本物の』仁さんが扉から姿を現す。
「…いつの間に入れ替わっていたんだ…!?」
「『最初から』だぜ…今だぜ!俺は…『お前よりもモトちゃんを信じた』んだ。」
「ホークスが怪しい!?何言ってんだモトちゃん!?その通りだぜ!」
「あの人はNo.2ヒーローでしょ?だからもしかしたらって思って…」
直接的な言葉で相談するのはよくない。『聞かれていること』を前提にする。
「あいつはいいやつだ!最悪だぜ!そんなことしねえって!」
「違うの…『信じたい』の…『裏切り者じゃない』って『確認したい』の。」
あれこれ述べてみたが仁さんは納得してくれない。
だからとっておきを使うことにした。
「仁さんは…トガちゃんを救ってくれた恩人なの…
だから、もし仁さんに何かあったらアタシ…アタシ…!
トガちゃんも悲しんで…アタシが言わなかったせいで…!」
「わ、分かった!わかったから泣かないで!もっと泣け!
でもよお…どうやって確認するんだ?いい方法があるぜ!」
さらに切り札を切る。
「…今日、アタシと一緒に寝てほしいの…ダメ…?」
「うええ!?マジか!?いいけどよお…嬉しいね!」
夜になって仁さんをアタシの部屋に招く。
「…お邪魔するぜ…邪魔するから帰るぜ!うお!?」
「仁さん…ココを見てほしいの…」
一糸まとわぬ姿で股間をスケッチブックで隠したアタシはそこを指さす。
『多分、ホークスに聞かれているからこうするしかなかったの。
今日からここを出ないで。アタシは仁さんの部屋で寝る。
ホークスとは分身で接触して。アタシがボロが出ないようにフォローするから。
あと、アタシに手を出したら殺す。』
「仁さんの分身で…めちゃくちゃにしてほしいの…」
服を脱がせながら羽の有無を確認する。やっぱりあった。
「…モトちゃんの覚悟は受け取ったぜ…」
仁さんが分身を出す。アタシの手を握り締める。
「…そういうのはトガちゃんとやりな。俺も入れてな!
恩人でもそういうことはしない方がいい。」
そして『羽を持った分身の仁さん』が出ていく。
裏切らなければ種を明かせばいいし、裏切ったらベストだ。
これで『必至』だ。
「…なるほど…二人の仲が良かったのはそういうことか…
『羽で聞いただけ』じゃ…分かるわけないな…」
「アタシは『支配者』になるのよ。リスクはいくらでも考えるわ。
…せっかくだからアタシの"個性"で葬ってあげるわ。」
アタシはホークスの顔に両手を添える。
「これで『詰み』よ。」
「…エンデヴァーさん…すみませんでした…」
ホークスの笑みは文字通り消えた。
こっからはやりたい放題できます。