キヴォトスの"アオイハル"   作:刀は銃よりも強し

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ミレニアムと副会長

 

 

 

『──いっつぅ……』

『ハル君大丈夫?』

 

会長からの射撃に直撃し、当たった箇所を押えながらしゃがみ込む。

 

空いた時間に戦闘の訓練。

ここキヴォトスじゃ戦闘なんて日常茶飯事。さらに彼女に誘われ入った組織、"生徒会"はそんなどんちゃん騒ぎを諌める立場の場所だ。

 

ゆえに、急務として俺は戦闘力を手にする事にした。

そして手にした武器は刀。周りは銃を使う中、戦闘の"せ"の字も知らないズブのど素人がこれを選んだのはかなりのハンデだ。

 

『やっぱり銃を使った方がいいんじゃ…』

『お生憎、俺は斜に構えた逆張りキッズだからな。みんなが銃を使ってる中で刀使って無双してるやつとかかっこいいだろ』

 

『……浪漫、ってやつかな?』

『そうそう、男の子心を分かってきたな』

 

そう言うとクスッと笑う彼女。

周りは俺のやることに呆れて見放す中、この少女だけはいつだって俺のそばで支えてくれた。感謝してもしきれないほどの恩人だ。

 

『それじゃあ、早く強くなってかっこいいとこ見せてね』

『任せろ。俺は努力の天才と呼ばれた田村くんの隣りの席の人って呼ばれた男だ』

 

『……?それハル君関係なくない?』

 

首を傾げるキョトン顔を浮かべた彼女を視界に笑みが浮かぶ。

 

転移前じゃ考えられない青春。今までの学校生活では送れなかったようなアオハル。そんなものが今現在過ごせている事実。それを実感し充実感を感じる。

 

──さて、期待されてるなら応えねば

 

そんなことを思いつつ、"とある学園"の"優秀なエンジニア達"が作ってくれた刀を握りしめ直し、構えながら迫る銃弾に向かって足と刀を前へと進めた。

 

 

▶▶▶▶▶

 

 

「──うーん、相変わらず丁寧に使ってるね。初めの頃とは大違い……もはや私が手を付けるところはあまりないね」

 

武器の定期メンテナンスで足を運んだ学園。

 

俺が使う刀を手にし、目の前にいるこの武器の製造主の女生徒は満足気に頷いていた。

 

「機能に不備は無さそうだね。いつも通り軽く研いで終わりかな」

「よし、頼んだ"ウタハ"」

 

"白石ウタハ"。

去年、俺が会長に拾われ連邦生徒会に所属し何の武器を使うか悩んでいた時に出会った人物。

 

"ミレニアムサイエンススクール"、そこの"エンジニア部"に所属する彼女はかなりの発明家であり多種多様なロボットを開発しているハードウェアの申し子だ。

 

現在2年生。そして、エンジニア部の部長である。

 

しかし、そんな彼女もまたかなりのロマンチスト。ロマンを追い求めるもの同士話しが合いこうして仲良くさせてもらっている。

 

「使い心地はどうかな?」

「良い、の一言だな。手に馴染むし切れ味も抜群。しかもその武器の性能がかなり使い勝手がいい」

 

「そうだろう?この刀は力作だからね……当時は刀を作ってくれと来られた時は驚いたし、こんな銃社会で刀なんてって思ってたが私自身これにはかなり愛着が湧いているよ」

 

白を基調とした見た目。

角張った柄に、角張った鞘。鍔はなく抜けばキラリと光る刀身。刃渡りはやや長め。通常刀が約70cm程の刃渡りに対しこの刀は1mと長刀。柄から切っ先までは120cm程にもなる。

 

刀らしい和の雰囲気ではなく、このミレニアムらしい近代的な未来感のあるデザイン。

 

刀は使ってみれば案外いいものだった。

皆、ヘイローを持ってるからこそ使えると言ってもいい。斬り付けても全て峰打ちのような攻撃になるし、銃を斬り無力化も出来る。

 

人は斬らず武器は斬れる。

 

さらに、このウタハが作った刀には能力がある。

原理も何もよくは分からないが、その能力がかなり使い勝手がいい。多数相手でも短時間で無力化できるほどの力。

 

「……ありがとうなあ」

「……?急にどうしたのかな?」

 

「いつもお前の武器には助けられてるからな。たまには感謝くらいいでしょ」

「なんか、変なものでも食べたのかい?」

 

「どいつもこいつも失礼だなおい」

 

呆れたような笑みを浮かべたウタハ。

たまに素直に言葉を吐けばこうだ。こっちが素直に言ったんだから素直に受け取って欲しいものだ。

 

「はい、終わったよ」

「おう、サンキュー」

 

メンテナンスを終えた刀をウタハから受け取り、そのまま腰へと差す。ズシリとした重みが心地よく感じる。

 

「さてと、この後何するかなー」

「生徒会の仕事は無いのかい?」

 

「終わらせてきたからなあ。今日は久しくオフ」

 

終わらせた、オフ、なんて言ってはいるがどうせいくつかミスあるだろうし帰ったらやれってうるさいんだろうなあ。

 

だから少し時間潰してぶらつきたいんだけど……、

 

「……ま、ここにずっといるのも邪魔だろうし、さっさと行くかな」

「私は別に気にしないけどね。寧ろもう少しゆっくりしていけばいいのに……」

 

「久しぶりにゆっくり見て回るよ、じゃなー」

 

手を振りながらウタハのいる工房から出る。

さてと、どこに向かうか。そんなことを思いながら目的もなくブラブラと廊下を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても各教室でみんなが熱心に作業している。

歩いていて、そんなことを思っていた。

 

ウタハもなんだか今日忙しそうだったし近々何かあるんだろうか。

 

なんかスライムみたいな生物兵器みたいなの作ってるやつもいれば、巨大なアームとかを作ってる奴もいる。

 

流石ミレニアム、なんでも作ってるなあ。

 

「──あら、ハルさんではありませんか」

「ん?おお、ヒマリか」

 

歩いていると、前から車椅子の少女が現れた。

 

"明星ヒマリ"。白髪のおしとやかそうな雰囲気で車椅子に腰かけ、儚げな見た目の彼女はうふふと笑いながらタイヤの駆動音を鳴らしながら近づいてきた。

 

「ええそうですよ。超天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリです」

「相変わらずな様子で安心するなあそれ」

 

彼女の言葉に口角が上がる。

 

昔、初めましての時から車椅子で生活している彼女を心配していたが、このおちゃらけた言動と持ち前の頭の良さで心配するのも馬鹿らしくなったんだっけか。

 

「どちらに行かれるんです?」

「別に決まってないな。用事は済ませて、暇だからブラついてただけ」

 

「そうなんですね」

 

ヒマリはハッカーだ。

非公認のハッカー集団"ヴェリタス"で部長をしていて、その頭の良さは他の追随を許さない。

 

「最近……なんだっけ?"全知"だかなんだかの称号貰ったんだって?あんまよく知らんが凄いな」

「……なんかあまり褒められてる感じがしないのですけど」

 

彼女のジト目が突き刺さる。

気まずくて視線を逸らしつつ頬をかいた。

 

「俺は馬鹿だからよく分かんないからなあ……あ、そういやみんななんか忙しそうじゃん。なんかあるん?」

「露骨に話を逸らしましたね?はあ……近々ミレニアムプライズがあるんです。皆さんそれの準備で忙しいんでしょう」

 

ああ、ミレニアムプライスか。

 

この学園の各部活が成果物を競い合わせる品評会。それがミレニアムプライスである。

 

これにいい成績残せたら学園からの予算もかなり貰えるって話だし、そりゃ皆真剣にやるよなあ。

 

「ヴェリタスは?"チヒロ"とかとなんかやらないの?」

「うちは非公認の部活ですからねえ。何かやろうにも出来ませんよ。どうせ"リオ"に邪魔されるでしょうし」

 

「相変わらず仲悪いのね…」

「仲悪くはないですよ?寧ろ私は仲良くしたいと思っていますし、ただ、いつも向こうが「分かった分かった」

 

ヒマリの言葉に被せるように声をかける。

こうでもしないと延々と卓越な御威力をフルで発揮して愚痴が続いてしまう。

 

「じゃあまああれか。みんな品評会のために忙しい中俺が来ちゃったわけだな」

「まあそうですね」

 

「こういう日のミレニアムは問題が絶えないんじゃない?」

「ええ、ですので、朝からC&Cとセミナーは大忙しですよ」

 

どこの学園でも何かしらのトラブルが起きる。

ゆえにそのトラブルに対しての抑制装置みたいなのはやはりいる。

 

その筆頭にC&C……Cleaning(クリーニング)&Clearing(クリアリング)がいる。部活着はメイド服でメイド部なんて呼ばれてはいるが戦闘力はミレニアムの中では随一、キヴォトス全体で見てもかなりの上澄み集団だ。

 

実態としてはエージェント集団なんて話なんだが、まあそれは割愛。

 

そしてもうひとつが"セミナー"と呼ばれるミレニアムにおける生徒会だ。

 

この2つがあるおかげでミレニアムは何とかやっていけてると言っても過言じゃない。いや、マジで。

無くなったりしてみろ、2秒でこの学校は吹き飛ぶぞ。

 

「大変だねえほんと」

「ええほんとに。まあ、飽きない学校って言えば聞こえはいいんですけど……」

 

そんな時だった。

 

壁が破壊され、目の前に巨大なスライムが現れた。

スライムの中には何やらロボットアームやら何やら……なんでも取り込んで自分を強化するタイプの化物を誰かが作ってたってところか。

 

「あらあらこれは…」

「はあ……今日はオフなんだけどなあ。休日仕事は嫌いだぞ」

 

ヒマリを下がらせ、刀に手をかける。

 

「す、すいませーん!!みなさん逃げてくださーい!!」

 

これを生み出した元凶の生徒の叫ぶ声が聞こえてきたが、それを無視して腰を落とし、居合の構えに移行。

 

取り込んだものも全部斬り捨て、流動体のスライムが切った後に結合しないように刀の能力も使う。

 

迫るスライムの触手のような攻撃に合わせ、足を前へ。

 

刀を一閃。

静かに振り抜き、そのまま鞘へと戻す。

 

──パチンッ

 

鯉口が当たる金属音だけが響き、

 

「うし、終わり…!」

 

その一言ともにスライムごと中の取り込まれた色んなものは細切れに、そして、スライムの全身には電撃が走った。

切った断面は焦げ付いており、これで結合はしないだろう。痺れて動けもしない。

 

「今のうちにこれどうにかしなさいよ」

「れ、連邦生徒会の副会長…!?あ、ありがとうございます!ご迷惑おかけしました!!」

 

そう言っていそいそと後片付けする生徒。

そんな生徒を尻目にヒマリの元へ戻る。

 

「お疲れ様です」

「お疲れも何も無いけどねえ」

 

「今日一日、この学園でお仕事しません?」

「俺も休日はたまには欲しいって……」

 

なんて言ってはいるが、この後もヒマリとともに行動し、起きたトラブルに対処し、C&Cのお手伝いし、合流したセミナーのリオとヒマリの口喧嘩を後輩と一緒にあきれたように聞き流したりと……そんな1日をすごした。




シュポガキのうちヒカリは出たのにノゾミが来ません。なんならノゾミガチャでヒカリが2回ほど来てます。
ノゾミPUって存在しないのかもしれない…。

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