淫夢厨社会人と封印から出れない妖狐 作:狐耳大すこすこすこてぃっしゅふぃーるど侍
「人の子よ、聞くが良い」
ある朝、銀狐が妙に誇らしげな顔で男を呼び止めた。
「ついにワシ、マリオを極めたぞ」
「極めた?」
「隠し土管すべて発見済み、ノーダメージでの8-4クリア三連続、あとはもう……これは悟りじゃ。もはやこの狐、ファミコン界に敵なしよ!」
「……そうか」
男はポケットからスマホを取り出し、YouTubeを開いた。
「じゃあこれ見てくれ。**“スーパーマリオRTA 世界記録解説”**ってやつ」
数分後。
タブレット画面の中で、配管工の赤帽子が一瞬も止まらず駆け抜けていく、1-1をクリアするまでにたったの20秒程度だった。
1-1時点で既にもう、え?という顔をしている銀狐さんを置いてステージはどんどん進んでいく、1-2で繰り出される壁へのめり込みからのワープにドン引きした顔をしてる。
4-2でも壁にめり込む姿を見てこれが普通なのか!?という驚きを隠せない、
ラストの8-4までノンストップ処か段差を利用して加速している上位勢を見て負けを認める。
「う、う、ぅ……ッッ!!ワシは…奢っておった!まさかここまで深いゲームであったとは!?」
「4分54秒じゃぞ…4分代ってありえん程速過ぎるじゃろ…!」
旗らけというテクニックも何もかも知らんかった、しかし知ったからには更なる高みを目指して世界で最速でクリアしてみせるぞ!と意気込む銀狐さん。
そんな銀狐さんに男はケラケラ笑いながらファミコン本体の上にある“カセット”を指差した。
「でもさファミコンって、マリオだけじゃないんだよ? これを差し替えると別のゲームできるよ」
「……え?」
「うえの四角いの、抜いて、別の差せばOK」
「…………先にそれを教えよォォォォォ!?!?」
「お主は以外と大事な事を言わない癖があるのではないか!?そういうのは良くないとワシ思うぞ!」
その晩、銀狐はぷくっと頬をふくらませながら新しいカセットを手にしていた。
色々なゲームがある中男からお勧めされたのはドラゴンクエストだった。
「この“ドラゴンクエスト”というのは、勇者の話か」
「記念すべき最初のドラクエ。古いけど味があるぞ」
その後しばらくして、押し入れの中から聞こえてきたのは――
「何処にいけばいいんじゃこれ?」
「なんじゃこの“ふっかつのじゅもん”は! 字を間違えるとどうなるのじゃ?あっ復活できんぞ…いやでも間違ってないはずじゃろ…?ちゃんとワシは書き写したぞ!?」
何処行っていいかわからんまま彷徨って橋を渡ったら途端に強敵が!?
銀狐の冒険は、新たな舞台へと進み始めていた。