淫夢厨社会人と封印から出れない妖狐 作:狐耳大すこすこすこてぃっしゅふぃーるど侍
「そういえば銀狐さん、タブレットのカメラって使ったことある?」
「かめら……? それはネットフィリップスに出てる動画を取る為のやつじゃろ?」
「いや、それ以外にも静止画を一瞬で記録できるんだ」
男がカメラアプリを立ち上げ、銀狐の方にレンズを向けてパシャリ。
撮れたのは狐耳をぴくぴく揺らして興味津々な顔をしつつこちらをのぞき込む銀狐さん。
「これは……儂の姿を封印せずとも留めたのか、まるで写し絵ではないか」
「まぁ写し絵だよ」
「ぬぅ……この道具、なかなか面白い事に使えそうじゃの?」
「まぁ今伝えたのは…それ使えば復活の呪文を紙に移さなくてよくなるかなーと思ってさ」
「昨日散々遊んだ後写しに失敗して泣いたばっかりじゃよ…お主いつも言うの遅くはないかの?そういうのよくないと思うぞ?」
こっちの事をツンツンしてくる銀狐さんにごめんごめんと言っておく。
なんのかんの文句を言いつつ銀狐はカメラで遊びだした。
今日の一杯、男の寝顔、初めてドラクエの強敵を倒した瞬間、多くを撮って楽しんでいるようだ。
そしてその日の夜、一緒に映画を見る事にした。
男は二人で選ぼうと言ったが銀狐はお主の大好きな映画が見たいと言った。
男は素直に従って今日見る映画を決めた。
「今日はこれ、『コマンドー』昔のアクション映画。ぶっちゃけ、男の子向けって感じだけど」
「ふむ、武士ものか?」
「いや、筋肉で全部解決する系のやつだ」
なんじゃ、肉弾戦のカンフー映画かの?等考えている間に再生が始まった。
元特殊部隊の男が暴れに暴れて暴れまくる映画だった。
「ぬぅ……なんじゃこの剛の者は……」
「それが主人公、娘をさらわれたので敵を殴りに行く」
「娘を……? それは儂も怒るかもしれぬな…!」
次第に銀狐の目が輝き出す。
「お前は最後に殺すと約束したな……あれは嘘だ…じゃってよ!?カッコ良すぎるじゃろ!」
「それ名台詞。あとでまとめ動画見せてあげる」
「む……この武士、なにかと爆発を背にするのう。もはや火の神ではないか?」
映画が終わったあと、銀狐はお茶を飲みながら呟いた。
「コマンドー。これは……もはや祈祷ではないのか。“祈れば弾が当たらない”とは、なかなかの術よ」
「いやあれ信仰心とかじゃなくて主人公補正っていうか……いや、そうかもしれないな」
「しかし、見終わって妙にすっきりした。頭を使わずとも楽しめるというのは、贅沢じゃな」
「まぁ女性にはあんまり人気ないって話だけど」
「そうか? 儂は結構気に入ったぞ。“語る”より“拳”の者も、たまには良い」
その夜、銀狐はタブレットで新たなアルバムを作った。
タイトルはこう書かれていた。
《マリオ・ドラクエ・そして火の神》
横からのぞき見した男は火の神に笑ってしまった挙句馬鹿にしたと勘違いされて銀狐さんにはたかれた。