淫夢厨社会人と封印から出れない妖狐   作:狐耳大すこすこすこてぃっしゅふぃーるど侍

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神聖なるコーヒーの儀式

ドラクエ1をクリアしたら2を遊びたくなるもんじゃろ?

 

そういって銀狐さんは自宅から持ってきたファミコンのコレクションの中からドラクエ2を新たに選んだ。

 

これも気長に遊ぶとするかの、なんて言ってはいるが日中ずっと暇をしている彼女ならすぐにクリアしてしまうんではないかと密かに思っている。

 

 

 

 

 

今日は彼女が毎日用意してくれる水筒に使う茶葉やら粉やらを買出しに来た、彼女の要望で抹茶を多めに買う事にはしてるがそれ以外はどうしようか。

 

彼女の知らないであろうブレンディのスティックなんてどうだろうか?

 

あれもお安くて簡単で味が結構良いので職場で買い置きを飲む事も多かった、今は水筒があるので全然だが。

 

定番のカフェオレやココアに紅茶オレや抹茶オレにキャラメルカフェラテと色々籠に放り込んでいく。

 

いや、でも彼女は時間を余らせているしお手軽な物より本格的に入れるほうが好きだろうか?

 

自宅には一時期買ったが結局掃除が面倒で使わなかったコーヒーメーカーやらミルがあるし…豆だけ買って彼女の反応を見てみる事にしよう。

 

 

後はもっと大きいポッドも欲しがっていた、水筒に入れるのであれば大量に作らなきゃいけないのでさもありなんといった所か。

 

俺も自分用にワンサイズ上の水筒を買って…後は銀狐さんに大容量のタンブラーもプレゼントしよう。

 

保温が利くちょっと良いヤツだ、真空なんちゃらで、良く分からないけど。

 

そうして色々突っ込んでお会計して帰って彼女に全部渡した。

 

ポッドとタンブラーは大層喜んでくれたがそれ以外に問題があった。

 

 

買ってきたコーヒー豆の使い方を彼女は知らなかったのだ。

 

そらそうである、推定江戸時代の人が知ってたら逆に驚愕だ。

 

こうして彼女にコーヒーの淹れ方とか自分が持ってる道具の使い方を教える事になった。

 

 

 

 

 

「銀狐さん、基本的にコーヒーは豆を挽いてその後にお湯を通すとおいしく飲めるんですわ」

 

「というわけでこのミルっていうのに豆を入れる、そんでこの取っ手をぐるぐる回す」

 

 男が手取り足取り道具の使い方を教える横で、銀狐は真剣な顔で頷いていた。

 

 「ふむ。ではこの取っ手とやらを……こうかの?」

 

 ガリガリ、ガリガリ――

 慣れない手つきながら、ミルを回す手には妙な気迫がこもっていた。

 

 「ふぅむ……これが挽くという行為か。なんとなく、儀式前に香を焚く時の所作に似ておるな。

 

香りがふんわりと上がってくる所なんぞまさにそれじゃ」

 

 「いや、たぶん全然違うと思うなぁ」

 

で、これが終わったらお湯を通すわけだけど…粉が入っちゃうと困るんで、このフィルターを間に入れてお湯だけを取るんすわ。」

 

挽き終わった豆を銀狐は慎重に粉をドリッパーへ、温度を確認しながら湯を沸かす。

 

「お湯は“90度前後”が理想、であったな?」

 

「だっけ?さっき一回タブレットでちゃんとした作り方見ただけだから怪しいです」

 

「今回は師として教えてくれるというから期待したのじゃが、お主結構適当じゃなぁ」

 

まぁええかといいつつお湯を少しずつ注ぐ、ふわりと香りが立ちのぼる。

 

銀狐の目がすうっと細まり、息を飲む。

 

「……これは……良い香りじゃのう……!」

 

あまりの真剣さに、男もつい黙って見守ってしまった。

 

まるで祈りを捧げるように、銀狐は湯を回転させながら注ぎ続ける。

 

狐の手から滴る湯が黒い粉に染み込み芳醇な液体を落としていく。

 

「よし……できたぞ、これは成功じゃろ!」

 

小さな湯呑に注がれた、銀狐特製・初ドリップコーヒー。

 

「では、いただくとしよう」

 

そういって銀狐は口に含む、そして一言。

 

「……にっが!?!?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

耳がピンと立ち、目が見開かれた。

 

男が吹き出した。

 

「だから最初はミルクか砂糖入れたほうがいいって言ったじゃないすか」

 

「う、うぬぅ……何故じゃ、あれほど丁寧に淹れたのに……!」

 

その後、男がミルクと砂糖を入れて“飲みやすく”してから、ようやく銀狐はにっこり笑った。

 

「ふむ……これはよいな。たしかに“大人の味”じゃ。

 

ぬし、大人じゃのう」

 

「いや、銀狐さん年上でしょ、いったい歳いくつですか」

 

男の突っ込みを笑って誤魔化す銀狐。

 

こうして、狐による神聖なる初コーヒー儀式は無事に幕を閉じたのだった。

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