淫夢厨社会人と封印から出れない妖狐   作:狐耳大すこすこすこてぃっしゅふぃーるど侍

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設定資料的なのを更新しただけなので本編更新はありません。


現代風に言うとSNSの呪い

 金倉札束(かねくら ふだつか)はワンマン経営者であった、従業員の事や会社の事をよく考えていたが、社員や役員とは目線の違いから対立する事も良くある。

 

 会社の宣伝の為にメディア出演をしてる都合上、新規気鋭の社長として嫉妬される事も良くあった。

 

そんな男に小さな不幸が多数舞い込み始めた。 

 

 体には気を付けてるのに突然体調不良になる。

 

 5日連続で車に鳥フンが落ち6日目には自分に落ちる。

 

 通行人をぶつからぬように横に避けたら、犬の糞を踏む。

 

 こんな事が毎日起こり始めた、最初の内は運がないこっちゃ、まぁそのうち上向くやろと気楽に構えていた金倉だが、そのうちどんどん状況は酷くなり、ついにはSNSから広がったデマで株価は暴落し、部下が4人辞めた。

 

 お前はもしや呪われてるのかもしれないぞ、と知り合いの金持ちがのたまった。

 

 呪いなんてそんなわけあるかいと思ったが、上流階級同士の付き合いもある、一概には否定しないで紹介して貰った人に一度相談に行く事になった。

 

 それが清明連(せいめいれん)という退魔や結界術の専門集団だった。

 

 調査員として現れたのは、金髪縦ロールにお嬢様口調の若い女性・佐竹アリス。その奇妙な口調と態度に戸惑いつつも、金倉は一応指示された通りにした。

 

 

 

 そうすると、あら不思議、清明連の技術で、金倉の“無形の呪い”はある程度改善された。結界を貼り、風水を整え、環境を整えていく。

 

確かに効果はあった。

 

 だが、ゼロにはならなかった。

 

 不幸の連鎖は、どこかで必ず“何か”にすり抜けて、彼の生活を小さく蝕み続けた。

 

 ──それが、ある日を境に完全に消えた。

 

 きっかけは、銀狐から授かったのお守りだった。

 

「……マジで、風向き変わったんや」

 

 送金詐欺が止まり、会社でトラブルが起こる事も無く、社長個人へのSNSでの攻撃も止まり、体調は良く、胃痛もなくなり、止めてしまった社員も戻った。

 

何より、心が落ち着く。部下も戻り、ビジネスも好転し、世界が変わったようにさえ思えた。

 

 もちろん、それが「狐の神格によるもの」だと明言されたわけではない。

 

 だが、金倉の中では確信に変わっていた。

 

 ──このお守り、10億以上の価値がある。

 

 そして、そんなものを「祈ってくれるだけでいい」と差し出してくる神格が、怖かった。

 

 あまりに安すぎる代価は、“関係をいつでも断ち切れる自由”を相手に与える。

 

 ならば逆に、こちらが「十分すぎる何か」を差し出せば、向こうは簡単にはそれを捨てられなくなる。

 

 それは契約の基本だ。与えられるだけでは、やがて手が離れてしまう。

 

「……せやからワイは、礼を尽くしたいんや」

 

 金倉は、アリスにそう言った。

 

「なにか、銀狐様が欲しがってるもん……ないんか? 金でも物でも、なんでもええ!」

 

 アリスは、ため息をついて答えた。

 

「仕方ありませんわね……特別ですわよ? ですが、もし本当に何も望んでおられないのなら、諦めてくださいまし。わたくし、贈り物の押しつけが一番苦手ですの」

 

 そして後日──

 

 アリスは、男の家を訪れ、封印空間を通じて銀狐と会話を交わした。

 

「銀狐様、何か……欲しいものは、ございませんか?」

 

 少し間を置いて、銀狐は首をかしげた。

 

「……無いのぉ。その気持ちは嬉しいがの、別に物は要らぬよ。ちゃんと祈ってくれておるのも知っておる。熱心に祈ってくれて、わらわはそれが嬉しいんじゃ。……それだけで、もう十分じゃよ」

 

「そう、でございますの……?」

 

「うむうむ。取り上げるようなことはせぬ。安心するがよい」

 

 そう言って、銀狐はやわらかく笑った。

 

 アリスはその言葉をしっかりと記憶に刻みつけ、再びタワービルへと戻る。

 

「──以上ですわ。銀狐様から“何も望まない”とのご回答をいただきました。ですが、“ちゃんと祈っていることは知っているし、嬉しく思っている”とのことでした。……それに、“取り上げることもない”と、明言されましたのよ」

 

 報告を聞いた金倉は、しばらく沈黙していた。

 

「……はぁ〜。まぁ、“取り上げない”って言質をもらえたのは、でかいわな……」

 

 ぽつりと漏らしたその声に、いつもの勢いはなかった。

 

「でもなぁ……そうなるとワイ、“礼の一つも出されへん恩知らず”になってまうやないかい……!」

 

 両手で頭を抱える金倉に、アリスはくすりと笑った。

 

「それなら、“恩知らずではいけない”という気持ちを、祈りに込めて捧げればよろしいのですわ」

 

「……それで、ええんかな……」

 

「それしか、できませんもの。あの方は、“祈り”を贈り物として受け取ってくださる存在ですもの」

 

 だから今日も、金倉は祈る。

 

 誰よりも、深く、熱心に。

 

 それは、呪いを逃れる術であり、そして──感謝の形だった。

 

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