百合は何処へ!?薔薇がトゲを刺しに来るんだけど!? 作:マメットナイツ
第1話
最悪だ!
あゝ最悪だ!!!!!
最悪ダァァァァァァァ!!!!!!!!!!
「クッッッソ最悪ダァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
裏路地に響くその嘆きは、1人の少女のモノだった。
西暦ではなく、「鳳暦」が時を示すこの世界に於いて彼女は……
いや……"彼"だったその彼女は、美しい額に浮かぶ血管が破れんばかりに赤くなり、その絹のように滑らかな白髪を掻きむしり、誰もが魅了されるような赤眼を歪めていた。
「神よ!ああ、俺をこんな世界に転生させた神よ!テメェはどれだけ残酷なコトが出来るんだ!?これが人間にやるコトかよぉ!!!」
「よくも!」
「よくもよくもよくもォォォ!!!!!」
「俺を!この世界にブチ込みやがったなぁァァァ!!!!!」
その慟哭は誰にも聞かれることは幸いにも無かった。
この怒りの有り様が他人に知れては、彼女の同僚達である「鳥娘」に通報がいってしまうだろう。
そう。彼は転生してしまったのだ。
神の悪戯か。気まぐれによって、この「鳥がヒトの姿を得た世界」に。
そう、この世界の名は……このゲーム名は『バードリンク・テイマーズ』。彼の居た世界に存在する『擬人化系美少女ソシャゲ』であり……様々な鳥娘と共に謎の敵『ダイナスト』と戦い、苦楽の果てに絆を深め……鳥娘と『致す』18禁ゲームである…。
そしてそんな世界に転生した彼の性癖……いや魂の色は。
「百合ィィィ!助けてくれぇぇぇ!」
百合であった。
彼/彼女の名は「シロ」。
この世界で白きカラスの力を宿した者である。
「俺は諦めないぞ……、例え18禁ゲームの世界だとしても。出てくる女の子が皆してプレイヤーに股を開くような世界であろうとも!」
「俺は!男として!プレイヤーを打ち破り、鳥娘達とイチャイチャしてやる!!!!!」
……そう拳を突き上げ彼女は叫ぶ。
プレイヤーに対する一方的な対抗心を燃やして……。
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「ふぅ……。」
溜め息を吐き、シロは裏路地を出る。
「(うーむ、久しぶりにハッスルしてしまった……。でもたまにああしてキチゲ解放しないと心が死にそうになるんだよなぁ……)」
眉間を抑えつつ黄昏れるシロだったが、そこに赤毛の少女が1人舞い降りた。
「アレレ?シロちゃん?こんなところでどうしたのかな?」
「ん?ああ、トキですか。君こそ珍しく『ネスト』の外に出ているね。」
「まぁ今日はいい晴空だからねぇ〜〜。久しぶりに羽を伸ばしてたんだよぉ〜。」
「鳥だけに?」
トキと呼ばれた少女は気怠そうにシロの肩へその身を預ける。
普段は前線基地兼集団居住地である『ネスト』から出てこないこともあり、
シロは普段の外面である『僕っ子ボーイッシュ』の態度で、物珍しそうに問いかけた。
「まぁね。というかシロちゃん。テイマー君がシロちゃんのこと探してたぞ〜〜。」
テイマーとは『バードリンク・テイマーズ』の主人公でありプレイヤー、つまりシロの不倶戴天の敵である。
そのテイマーの名が出た途端、シロの顔は見るからに青くなる。
「ええ…うーん、僕は暫くは帰らないし。シロのことは諦めて、とでも伝えといて。」
「相変わらずサバサバしてるねぇ〜、テイマー君のどこが不満なんだい?組織の長としてネストの運営はちゃんとしてるし、ネスト内のコミュニケーションでの問題も無さそうだよ?」
「(そのコミュニケーションとやらが問題なんだよなぁ…。)」
この世界/ゲームのテイマーは優秀である。雑務は沙汰なくこなし、不足事態(イベント)を何度も解決・収束してみせ、性格に於いても普段は優しげでありながら、時として漢を魅せるその姿に多くの鳥娘達は信頼と様々な感情を向けている。
だがシロからして見ればそれら全てが鳥娘達とイチャイチャするための障害であり、鳥娘と致すための動機付けのようにも思え、テイマーのことを突き放すようになっていた。
「(まぁそれはいい。いや良くないが、俺がテイマー以上に鳥娘とイチャイチャすればいい……。だが……。)」
そうシロにとっての誤算、ある意味でこの世界に転生した上での必然は……
「やぁぱり拗ねてるの〜?テイマー君が他の子とイイカンジなコ・ト♪」
「違うよ!?断じて違うからね!?」
シロ自身もまた、鳥娘としてテイマーの射程範囲だったということであった……。
「あ、テイマー君から通信だ。シロちゃん見つけたって言っておくね〜。」
「それだけはやめてほしいなぁ!?」
続か…ない!