あなたは美食家である。   作:なにぬぬこ

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作者の記憶。
トリコ…5年前くらいに1回だけ読んだような…?
elin…エンジョイ勢!

なのでこれ違うってところがあれば言ってください。


美食家、美食屋と出会う。

あなたは今、新人冒険者だ。

勿論イルヴァの新人冒険者というわけではない。

種族エレア、職業ピアニストという王道な構成をしたあなたは、それなりに長い時間をノースティリスで過ごした熟練冒険者である。

 

ではなぜ新人と言ったのか。

それはまだこの世界で自分の土地も持っていないし、生活基盤も整っていない。

何なら税金も払っていないからである。

これを新人と言わずしてなんと呼ぶのか。

あぁ、新人のなんと羨ましいことか。

税金も払わず、死後の懲罰も受けない。

戻れるなら戻りたいものである。

…閑話休題。

 

目の前にはフォークとナイフの形を模した巨大な建造物が存在を強調し、街中を歩く人だかりはあなたの知る都会、ミシリアやパルミアとは比べ物にならない規模をなしている。

明らかにノースティリスではありえない規格外の街。

 

そう、あなたはイルヴァと別の世界に来てしまったのである。

 

こうなってしまったのは何が原因だったか。

あなたは記憶を振り返るもムーンゲートを使った覚えもなければ女神に祈った記憶もない。

勿論何かしらの要因で埋まって、這い上がったら世界を跨いでいたわけでもない。

まあ、最悪帰還の魔法、あるいは帰還の巻物でも読めば帰れるだろう。

そうでなければ神にフィードバックでも送ればいい。

 

いささか楽観的に考えたあなたはノースティリスに生きる民としては普通である。…多分。

 

 

 

「グルメタウン」という名前らしいこの街は、その名の関する通り非常にグルメに富んでいるらしい。

手元の街歩き冊子(無料で配っていた)を眺めながら軽く歩き回っただけでもそれは伝わってくる。

冊子で紹介されているホネナシサンマ?(絵から読み取るに魚の一種だろうか。)やケバブ?、錫菓子?といったモノはノースティリスで美食の限りを尽くしたあなたの目にも非常に魅力的に映る。

 

まだ見ぬ食材、料理は栄養や食事特性も気になるところではあるが、美食家のフィートも持つあなたとしては、味が一番の重要ポイントだ。

効率を考えるならティリスの民は鼻で笑うこだわりだろうが、あなたはグルメであることを自負しているので、汚水や人肉などを食べる狂人共とは死んでも一緒にされたくないものである。

 

…まあ、何が言いたいかというと、食べたいのである。

飢餓までは進行していないものの、速度低下のデバフまでついてきている。

食事にこだわりがあるあなたとしては、背中とお腹がくっつきそうなほどに餓死寸前といってもいい。

そんな空きっ腹にまだ見ぬ美食を放り込みたいのである。

 

「というわけで屋台の店主よ。ホネナシサンマとやらをおくれ。」

 

「何がというわけでなのかはわからんが、ホネナシサンマ串、一本1000円だぜ!

何本行くんだい?お嬢ちゃん。」

 

…円?

 

「5本いただこうか。ほい、これがお代じゃ。」

 

「まいど!…って、ん?おいおい嬢ちゃんよ。ごっこ遊びじゃ困るんだが。

きっかり5000円払ってくれよ?」

 

驚愕である。まさかの大正義オレンが通用しないのか。

いや、よく考えたらここはイルヴァとは別の世界。

オレンが使えないのも当たり前であった。

 

しかしそうなるとどうしたものか。

空腹で既にあなたは狂い始めている。

ふとした拍子にしけてんにぇと暴言が出そうになり、骨なしサンマはこちらに手招きしているような幻覚さえ見えてくる。

殺るか…?あなたのカルマは十分高いため一人程度ならバラしても犯罪者にはならないだろう。

無意味に殺傷しないというあなたの緩い縛りを超えて愛刀を抜こうとしたその時、あなたに、いや店主に話しかけてくるものがあった。

 

「よぉ店主!ホネナシサンマ50本頼むぜ。」

 

「…ん?トリコじゃねぇか!

あいよ!50本ね。……へいおまち!」

 

大きい男である。

あなたとほぼ2倍近い身長にあなたの腰回りほどもある凄まじい腕の筋肉。

ドラゴン霜降り肉とプロテインでムキムキになったあなたのペットといい勝負ができそうである。

 

そして体格に見合うように50本。

中々の量を食べるものである。

遺伝子で北の国からや大食いでもつけているのだろうか。

羨ましいものである。

 

「ありがとよ!それと連れが迷惑かけたな。スマンスマン。」

 

「迷惑なんかじゃねぇよ!また来てくれよなー!」

 

「……?」

 

あなたはその大男に抱えられて屋台から離されてしまった。

困惑である。

まだご飯を手に入れていない。

抵抗しようと力を込めるも、飢餓で力が入らない。

それにそもそもあなたの腕はたぷたぷである。

 

そうして少し離れた人気の少ないところまで来た。

あなたはプレイスタイル的に気持ちいいことは許容していない。

なのでそういった行為があれば何時でも首を狩れるよう愛刀に手をかける。

 

「……そう警戒しなくてもいい。

いろいろ言いたいこと、気になることもあるだろうがまずは、一緒に食おうぜ。」

 

ふむ。この男とは仲良くなれそうである。

あなたはそっと愛刀から手を離した。

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