潰してしまったキノコプリンを余さず食べ終えたあなたは、再度挑戦に向かう。
今回は力を入れ過ぎないよう細心の注意を払い、力を込めていく。
ぷるんっ!
そんな擬音が聞こえるような錯覚を覚えた後、ついに潰さずにキノコプリンを引き抜くことができた。
「へぇ。思ったより力は強いんだな。」
あなたであれば当然である。
がそれはそれとして褒められるのは嬉しいものである。
あなたは早速上機嫌で齧り付こうとしたところでトリコに止められる。
疑問に思うも、何やら食前の儀式があるようだ。
食材の前で手を合わせて言葉を紡ぐ。
「すべての食材に感謝を込めて。いただきます。」
なるほど。
どうやら食事に対して感謝を伝える儀式のようだ。
ノースティリスでは聞いたこともないが、素晴らしい考えである。
あなたもトリコと同様に手のひらを合わせ、感謝の念を込める。
「すべての食材に感謝を込めて。いただきます、じゃ。」
まず最初は傘の部分から。
ノースティリスでは味わったことのない種類の甘さが脳に染みる。
甘味のベースは砂糖だろうが、直の砂糖よりもマイルドで甘すぎずくどさを感じにくい。
チョコに近い風味も感じるが苦味はほとんどなく、どんどん食べ進めてしまう。
最高に美味しい!*1
キノコプリンを食べ終え、あなたたちは再びスイーツ集めに向かう。
「お!クッキーアルパカだ!捕まえろエリン!」
「よし!クッキーをよこすのじゃぁぁ!」
それなりに高い崖付近で体毛の代わりにクッキーをまとったアルパカを追いかけたり。
ー 騎乗用にも適していそうで、あなたはペットに一匹ほしくなった。 ー
「わたがしの木!こいつで羽毛布団顔負けの寝具ゲットだ!」
「べたべた感が少ないのう。むしろふわふわで寝心地も食べ心地もよさそうじゃ…あま!」
天然のわた菓子を生やす樹木を味見したり。
ー 野生でこれなら品種改良すればどれほどの一品になるか。考えるだけであなたは空腹になった。 ー
「チョコの噴水だー!!今日はツイてるぜ!」
「ちょっと苦めでより甘美な甘さが際立つのぉ。うまうま。」
地面から噴き出す、チョコの噴水を発見したりした。
……
…
「流石にこんだけあれば十分だろ。」
「うむ。相当な豪邸を立てられるじゃろうて。」
あなたたちの前には20メートル近い数々のスイーツの山ができていた。
全て今日集めたあなたやトリコお墨付きの一級品である。
これらを全て使って作るトリコの家とやらは一体どれほどのものなのだろうか。
そんなことを考えるあなたの耳にかすかながらに重く、それでいて相当素早い足音が捉えられる。
少し遅れてトリコも気づいたようであなたの様子を見ながら問いかけてくる。
「おっ。こいつは大物だな。
エリン、西からちょい強めのが来るが、任せていいか?
勿論、危険だと判断すれば手は出させてもらうが。」
「この地響きの主かの?まぁ任せておれ。
このくらいならよゆーじゃ。」
言い終わるや否や、赤い巨体に見合わぬスピードであなたに向かって突っ込んでくるブタ。
それなりに速いがあなたは余裕を持って躱しておく。
「蟹ブタ!それも相当でかい!」
蟹…ブタ?
蟹なのかブタなのか。またよくわからない生物である。
まあとりあえずあなたは次の行動へ思考を移す。
蟹となると炎系の魔法は封印だろう。
エーテルや毒、酸に暗黒混沌も食べる気が失せてしまいそうなので却下。
ブーメランなどの物理や地震は"だったもの"になりそうなのでこちらも使えない。
味を損ねない、となると無難なのは神聖だろうか。
あなたはそれほど得意ではないが仕方ない。
一つ覚えのように再度突進してくる蟹ブタに向かい狙いを定め、神聖の光線で額を打ち抜く。
赤毛の巨体はすぐに力なく足を折り、あなたの手前で崩れ落ちる。
中々の狙いではなかろうか。
それはそれとして一度使っただけで経験値が溜まってしまうほどの魔法レベルの低さは今後この世界で生きるのなら課題だろうが。
そんな思考を隅に寄せ、トリコの方に振り向く。
トリコとともに来て戦闘は初めてであったが、これで戦闘力については文句はないだろう。
そういう意味も込めて胸を張っておく。
しばらくして、こんがり焼けた蟹ブタの前でトリコが口を開く。
「今日一日見てきたエリンの評価だが…」
緊張の瞬間である。
あなたのこれからのエレア生がかかっているといっても過言ではないのだ。
「合格だ。戦闘能力は勿論、索敵や状況把握も完璧と言っても過言じゃないだろう。」
「なんだかむず痒いのう。」
「十分美食屋として活動していけると思うが、知識不足は目立ってたな。
まぁ何かしら事情があるだろうから深くは聞かないが、慎重に慎重を重ねて経験を積んでいけばいい。」
あなたはついに合格を手にした!
あなたの第二の美食ライフの幕開け、である。
「ところでトリコよ。最後に一つ聞いて置きたかったんじゃが…主のフルコースはどんなものなのかの?」
「オレのフルコースはまだまだ空白だらけさ。メインディッシュ以外は何一つ決まってねえ。
そして唯一決まっているのがGODと呼ばれる食材さ。」
「ごっと?」
神でも食べるのだろうか。
確かに美味ではあるが、信仰心の減少は馬鹿にはならないはずだ。
「そう。500年前戦争を止めた伝説の食材。どんな見た目なのか、どんな味なのか。
考えるだけでも…よだれがとまらねーじゃねえか?」
GODのことも、この世界のこともよく知らないが…トリコにそこまで言わせる食材である。
俄然興味が湧いてくる。
故にあなたもGODを狙うと声高らかに宣言したのだった。