運命の赤い糸☆キラキラ学園ラブパニック! 作:Gemini
きゃーっ! 遅刻しちゃうーっ!
私、桜坂ふわり、今日から憧れのキラキラ☆シャイニング学園の高校一年生! なのに、初日から大ピンチ! 朝ごはんのイチゴジャムトーストをくわえたまま、全力で坂道を駆け上がっていた。
「もうっ、どうして私ってこうなのぉ……」
ドジで、おっちょこちょいで……。でも、私には、他の人にはない、ちょっとだけ特別な秘密があるんだ。それはね……。
ドンッ!
「きゃあっ!?」
曲がり角で、誰かと、ぶつかっちゃった!
「い、いったぁ……」
お尻をついて座り込む私。手から滑り落ちたトーストは、無残にも地面に……(涙)。
「……前を見て歩け」
頭の上から、低くて、なんだかちょっと冷たい声が降ってきた。
見上げると、そこには、見たこともないくらい綺麗な男の子が立っていた。サラサラの黒髪、透き通るような白い肌、そして、吸い込まれそうなほど深い、黒曜石みたいな瞳……。同じ学園の制服を着ているみたい。
「ご、ごめんなさ……」
謝ろうとした、その瞬間。
――ピカーンッ!
見えちゃった!
彼と私の小指の間に、キラッキラに輝く、真っ赤な糸が! 太くて、強くて、絶対に切れないって感じの、運命の赤い糸!
「う、運命の人……!!」
思わず、声に出ちゃってた。
男の子は、怪訝そうな顔で私を見てる。そりゃそうだよね、いきなりそんなこと言われたら。
「……何言ってるんだ、お前」
「あ、あわわわ……! な、なんでもないですぅ!」
私は慌てて立ち上がって、スカートの土をはらった。顔が、トマトみたいに真っ赤になってるのが自分でも分かる。
「……変なやつ」
彼は、それだけボソッと言うと、さっさと歩き去ってしまった。
ポカーン……。
私は、彼が消えていった方向を、ただ見つめることしかできなかった。
(う、嘘みたい……。入学初日に、運命の人に出会っちゃうなんて……! しかも、あんなにクールでカッコいい人……!)
胸が、ドキドキドキドキ、壊れちゃいそうなくらい高鳴ってる!
地面に落ちたトーストのことなんて、もうどうでもよくなっちゃった!
「よーっし! 今日から始まる学園生活、絶対に最高のキラキラにするんだから!」
私は、拳をぎゅっと握りしめて、再び学園へと走り出した。さっきまでのドジっ子モードはどこへやら。心はもう、ピンク色のハッピーオーラでいっぱいだった!
* * *
「ふわりちゃーん! おはよーっ!」
教室に入ると、天使みたいな笑顔で手を振ってくれた子がいた。私の大親友、陽向(ひなた)みるくちゃん! ふわふわのツインテールが、超キュート!
「みるくちゃん、おはよー! 同じクラスになれて嬉しいよぉ!」
「私もだよー! これから三年間、よろしくねっ!」
私たちは、きゃっきゃ言いながら手を取り合った。みるくちゃんの周りからは、いつも甘いミルクティーみたいな、優しくてあったかいオーラが出てるんだ。私の心を、ほっこりさせてくれる、大切な親友!
「ねえねえ、ふわりちゃん、さっき校門のところで、すっごいイケメン見なかった? なんか、空気が違うっていうか、オーラがすごいっていうか……」
「えっ!? もしかして、黒髪で、目がキリッとしてて、ちょっとクールな感じの人!?」
「そうそう! 知ってるの!?」
「うん! さっき、運命的な出会いをしちゃったの!」
私は、さっきの出来事を、興奮気味にみるくちゃんに話した。運命の赤い糸が見えたことも!(これは、みるくちゃんにだけは秘密を打ち明けてるんだ)
「ええーっ!? ふわりちゃんの赤い糸の相手って、あの人だったの!? すごーい! まさに運命だね!」
みるくちゃんも、自分のことみたいに喜んでくれた。やっぱり、みるくちゃんは最高の親友だよぉ!
「でも、名前、聞けなかったんだよね……」
「大丈夫だよ! きっと、またすぐ会えるって! 運命なんだもん!」
みるくちゃんの根拠のない(?)ポジティブさに、私もなんだか元気が出てきた。そうだよね、運命なんだもんね!
ホームルームが始まって、担任の先生が入ってきた。うーん、ちょっと厳しそうな感じの女の先生だなぁ。生徒たちの間にも、ピリッとした空気が流れる。
そして、先生の後ろから、教室に入ってきたのは……!
「……転校生を紹介するわ。黒崎レンくんよ。今日からこのクラスの一員だから、みんな仲良くするように」
く、黒崎レン……!
さっきの、運命の彼だ!
教室中が、一瞬でざわめいた。特に、女子たちの目が、キラキラ(ギラギラ?)輝いているのが分かる。だって、本当にカッコいいんだもん!
レンくんは、教壇の前に立つと、相変わらずクールな表情で、ボソッと一言。
「……よろしく」
たったそれだけ!? でも、そのミステリアスな感じが、またカッコいい!
先生に促されて、レンくんが席につく。彼の席は……なんと、私の斜め後ろ!
う、嘘ぉ!? こんな偶然ってある!? これって、やっぱり運命のイタズラ!?
ドキドキしすぎて、心臓が口から飛び出しそう!
チラッと後ろを振り返ると、レンくんはもう窓の外を眺めていた。私には、全く興味なさそう……。
(うぅ……でも、めげないんだから! 絶対に、レンくんの心を掴んでみせる!)
私は、心の中で、小さな、でも熱い決意を固めたのだった。
でも、私のキラキラ学園ライフに、早くも暗雲が立ち込めていたなんて、この時の私は、知るよしもなかったんだ……。
自己紹介の時間、私がドジって、自分の名前を噛み噛みで言っちゃった時。
「……ぷっ。なんですの、あの子」
教室の隅から、クスクス笑う声が聞こえた。
声の主は、金髪の髪をゴージャスな縦ロールにした、いかにもお嬢様って感じの女の子。取り巻きみたいな子たちを数人従えて、私を蔑むような目で見ている。
彼女の名前は、姫川ローズちゃん。学園の理事長の娘で、超お金持ちなんだって。周りからは、「ローズ様」なんて呼ばれてるらしい。
彼女の周りからは、トゲトゲした紫色のオーラと、意地悪な金属音が聞こえてくる……。
(うぅ……なんだか、怖そうな人……)
これから、波乱の予感……!?
でも、大丈夫! 私には、みるくちゃんがいるし、それに、運命の赤い糸で結ばれた(はずの)レンくんもいるんだもん! きっと、どんな困難だって乗り越えてみせる!
頑張れ、私! 負けるな、私!
私のキラキラ☆ハッピー学園ライフは、まだ始まったばかりなんだからっ!