運命の赤い糸☆キラキラ学園ラブパニック!   作:Gemini

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11.涙は女の子の武器じゃない!

 床に散らばった、私の大切なポエムノートの切れ端……。めちゃくちゃに壊された、教室の飾り付け……。そして、姫川ローズ様の、勝ち誇った高笑い……。

 もう、ダメだ……。私の心は、ぽっきり折れちゃったみたい……。

 

「うぅ……ひっく……ぐすっ……」

 

 私は、床に座り込んだまま、ただただ声を殺して泣いていた。悔しくて、悲しくて、情けなくて……。もう、立ち上がる気力も残ってないよ……。

 ローズ様たちは、そんな私を見て、満足そうに頷くと、「では、ごきげんよう、桜坂さん? 学園祭、楽しみにしておりますわね? おーほほほ!」なんて、最後の最後まで嫌味を言って、教室を出て行った。

 がらんとした教室に、私一人だけが取り残される。窓から差し込む夕焼けの光が、なんだかやけに目に染みた……。

 

(もう、無理だよ……。学園祭なんて、出られない……。ポエムだって、もう書けない……。私には、才能なんてなかったんだ……。レンくんにも、嫌われちゃったかもしれない……。もう、全部、おしまいだ……)

 

 ネガティブな考えが、ぐるぐる頭の中を駆け巡る。涙が、後から後から溢れてきて、止まらない。私の周りのオーラも、きっと、どんよりとした真っ黒な雨雲みたいになっちゃってるんだろうな……。

 

 その時!

 バターンッ!

 教室のドアが、勢いよく開いた!

 

「ふわりちゃーん! お待たせー! 買い出し終わったよー……って、えええっ!? ふわりちゃん!? どうしたの!? それに、教室も、これ……!?」

 

 息を切らせて入ってきたのは、大親友のみるくちゃんだった!

 彼女は、教室の惨状と、泣きじゃくる私を見て、目を丸くしている。

 

「み、みるくぢゃん……! うわーーーん!!」

 

 みるくちゃんの顔を見たら、我慢してた涙が、ダムみたいに決壊しちゃった!

 

「ローズ様が……ローズ様が……私のノートを……飾り付けも……うわーーーん!」

 

 私は、しゃくり上げながら、さっきあったことを、途切れ途切れに話した。

 話を聞き終わったみるくちゃんは……。

 顔を、みるみる真っ赤にして……。

 

「……ひっどいっっっ!!!!」

 

 普段は天使みたいに優しいみるくちゃんが、生まれて初めて聞いたような、大きな声で叫んだ!

 

「ローズ様、絶対に許さない! 人が一生懸命作ったものを、こんな風にするなんて! しかも、ふわりちゃんを泣かせるなんて!」

 

 みるくちゃんの周りから、いつもとは違う、怒りの赤いオーラがメラメラ燃え上がってる! でも、それは、ローズ様みたいな意地悪な色じゃなくて、友達を思う、正義の炎みたいな、熱い色だ!

 

「ふわりちゃん、泣かないで!」

 

 みるくちゃんは、私のそばに来て、ぎゅーって力強く抱きしめてくれた。

 

「涙は、女の子の武器かもしれないけど、今は泣いてる場合じゃないよ! ローズ様の思うツボだよ!」

「で、でも……もう、私……」

「ダメじゃない! ふわりちゃんは、全然ダメじゃない! ドジだけど、一生懸命で、優しくて、素敵なポエムだって書けるんだよ!」

 

 みるくちゃんは、床に散らばったノートの切れ端を、一枚一枚、丁寧に拾い集め始めた。

 

「見て! こんなにビリビリにされても、ふわりちゃんの言葉は、ちゃんとここに残ってる! キラキラした気持ちは、誰にも壊せないんだよ!」

「みるくちゃん……」

「飾り付けだって、また作り直せばいい! 私も手伝う! クラスのみんなだって、きっと協力してくれるよ! ふわりちゃんが、どれだけ頑張ってたか、みんな知ってるもん!」

 

 みるくちゃんの言葉は、まるで魔法みたいだった。私の心の中に、小さな、でも温かい光が、ポッと灯り始めた気がする。

 

「……うん……」

「そうでしょ! だから、元気出して! ローズ様なんかに、私たちのキラキラ☆シャイニングな学園祭を、めちゃくちゃにされてたまるもんか!」

 

 みるくちゃんは、私の両肩を掴んで、力強く言った。その瞳は、絶対に諦めないっていう、強い意志で輝いていた。

 

「……うん! そうだよね!」

 

 私も、ようやく涙を拭いて、顔を上げた。みるくちゃんの友情パワーが、私に勇気をくれたんだ!

 

「私、負けない! 絶対に、学園祭、成功させてみせる!」

「その意気だよ、ふわりちゃん!」

 

 私たちは、もう一度、ぎゅっと手を取り合った。

 

 その時!

 

「あらあら、まだいらっしゃったの? 随分としぶといお二人ですこと」

 

 げっ! ローズ様が、忘れ物でもしたのか、教室に戻ってきた! しかも、取り巻きたちも一緒!

 

「……姫川さん!」

 

 今度は、私が前に出た! もう、怯えてない!

 

「あなたがやったこと、絶対に許しません! みんなで一生懸命準備してきたのに、どうしてそんなひどいことができるんですか!?」

「まあ、なんですの? その反抗的な態度は。わたくしに逆らう気ですの?」

 

 ローズ様が、また意地悪く笑う。

 

「そうです! ふわりちゃんは、私が守ります!」

 

 みるくちゃんも、私の隣に並んで、ローズ様をキッと睨みつけた!

 

「ふんっ、二人揃っても、わたくしたちには敵いませんことよ! ねぇ、皆さん?」

 

 ローズ様が言うと、取り巻きたちが、ニヤニヤしながら私たちを取り囲もうとする! ま、まずい! 二人じゃ、数で不利だよ……!

 

「――やめなさいっ!!」

 

 突然、教室の外から、凛とした声が響いた!

 見ると、廊下に立っていたのは……!

 うらら先生!?……じゃなくて、生徒会長の、美園(みその)先輩だ! いつも冷静沈着で、学園の風紀を守る、憧れの先輩!

 

「姫川さん、あなたたちが何をしているか、見ていましたよ。……学園の名を汚すような行為は、見過ごせません」

 

 美園先輩の登場に、ローズ様たちの顔色が変わった! 生徒会長には、さすがに逆らえないみたい!

 

「ち、違いますのよ、会長! わたくしたちは、ただ……!」

「言い訳は結構です。後で、生徒指導室で詳しくお話を聞きましょう」

 

 美園先輩の、厳しい一言! カッコいい!

 ローズ様たちは、ぐうの音も出ないみたいで、悔しそうに顔を歪ませながら、すごすごと教室を出て行った。ざまーみろ!……とは言わないけど、ちょっとスッキリ!

 

「大丈夫だった? 桜坂さん、陽向さん」

 

 美園先輩が、優しく声をかけてくれた。

 

「は、はい! ありがとうございます!」

「後片付け、手伝うわ」

 

 美園先輩まで手伝ってくれて、めちゃくちゃになった教室も、あっという間に元通りになった。

 みるくちゃんの言う通り、友情パワー(と、ちょっぴりの先輩パワー?)があれば、どんなピンチだって乗り越えられるんだ!

 

 でも……ポエムノートは、元には戻らない……。学園祭まで、あと二日しかないのに、私、ポエム、完成させられるかな……?

 少しだけ、不安な気持ちも残ってる。

 でも、大丈夫! みるくちゃんも、美園先輩も、そして、きっとレンくんも、応援してくれてるはず!

 涙は女の子の武器じゃない! 勇気と希望を持って、明日も頑張るぞー!

 

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