運命の赤い糸☆キラキラ学園ラブパニック! 作:Gemini
新しい学園生活にも、ちょっとずつ慣れてきた今日この頃。
でも、私のドジっ子っぷりは、相変わらず健在なんだよねぇ……。トホホ。
今日は、家庭科の調理実習があったんだけど……。
「きゃーっ! お砂糖と間違えて、お塩入れちゃったー!」
班のみんなで作ってたカップケーキが、しょっぱい残念ケーキに大変身! うぅ……みんな、ごめんなさい……。私の周りには、きっと今、しょんぼりした灰色のオーラがもわもわ出ちゃってる……。
「あらあら、桜坂さん。またやらかしてしまいましたの? 本当に、ドジでいらっしゃること!」
すかさず、隣の班のローズ様から嫌味な声が飛んでくる。キーッ!
「ふ、ふわりちゃん、どんまい!」
同じ班のみるくちゃんが、一生懸命フォローしてくれるけど、他の班の子たちのクスクス笑いが聞こえてきて、ますます落ち込んじゃう……。
そんな感じで、落ち込みモードMAXで迎えた放課後。
今日は、クラス委員の仕事で、職員室に提出するプリントを運ぶ係だったんだ。
「よーいしょっと……」
クラス全員分のプリントって、結構重いんだよね。両手でしっかり抱えて、廊下をえっちらおっちら歩いていたんだけど……。
――あっ!
曲がり角で、誰かに気づかずに……。
ドッシーーーン!!!
「きゃあああああっ!?」
派手にすっ転んじゃった! 抱えていたプリントが、ばっさーって廊下一面に散らばっちゃう!
「い、痛たたた……。うぅ……またやっちゃった……」
涙目でプリントを拾い集めようとした、その時。
「……大丈夫か?」
聞き覚えのある、クールな声。
顔を上げると、そこには……!
「れ、レンくん!?」
そう、運命の彼、黒崎レンくんが立っていたの!
彼は、私がぶつかっちゃった相手だったみたい。うわーん、ごめんなさい!
「……怪我は?」
彼は、表情一つ変えずに、私に手を差し伸べてくれた。きゃっ! 手、大きい……!
「だ、大丈夫ですぅ……! ご、ごめんなさい!」
私は、彼の手にそっと自分の手を重ねた。ドキドキ……! 彼の手、ちょっと冷たいけど、なんだかすごく安心する……。彼の周りの深い藍色のオーラに、守ってくれるような、強い銀色の光がきらめいてる!
レンくんは、私をすっと立ち上がらせてくれると、今度は黙って、廊下に散らばったプリントを拾い始めた。
「あ、あの、私がやりますから!」
慌てて私も手伝おうとすると、彼は「いい」と短く言って、あっという間に全部のプリントを集めてくれた。すごーい!
「……これを、職員室に持っていくんだろう?」
「は、はい……!」
「……半分、持つ」
「えっ!? い、いいんですか!? 重いのに……」
「……別に」
彼は、そう言うと、プリントの束の半分をひょいっと軽々しく持ち上げた。うぅ……カッコいい……! しかも、優しい……!
私たちは、並んで職員室へと歩き始めた。廊下には、私たち二人だけ。なんだか、すっごく緊張する……!
彼の横顔を、チラッて盗み見る。長いまつ毛、通った鼻筋……やっぱり、何度見ても綺麗だなぁ……。彼の周りの静かな藍色のオーラが、心地よいチェロの音色みたいに、私の心に響いてくる……。
「……さっきから、何見てるんだ?」
「ひゃっ!?」
見とれてたの、バレちゃった!?
「な、なんでもないですぅ!」
また顔が真っ赤になっちゃう! うぅ、私ったら、どうしてこうなんだろう……。
レンくんは、ふいっと前を向いて、それ以上は何も言わなかった。でも、彼の耳が、ほんの少しだけ赤くなっていたような……?
(え? もしかして、レンくんも、ちょっとは私のこと……?)
いやいや、そんなまさか! 自意識過剰だよ、私!
でも、胸のドキドキは、全然収まってくれなかった。
職員室にプリントを届け終わって、レンくんにお礼を言った。
「あの、レンくん! さっきは、本当にありがとうございました!」
私が深々と頭を下げると、彼は「……別に。当然のことをしたまでだ」と、やっぱりクールに答えた。でも、その声が、いつもよりほんの少しだけ、優しく聞こえたのは、気のせいかな?
「……それじゃ」
彼は、私に背を向けて歩き去ろうとする。
「あ、あのっ!」
思わず、呼び止めちゃった。
「……まだ何か?」
彼が、不思議そうに振り返る。
「えっと……その……! もし、よかったら……!」
言っちゃえ、私! 勇気を出して!
「こ、今度、一緒にお昼ご飯とか……ど、どうですか……?」
きゃー! 言っちゃったー!
私の心臓、バックンバックン! 顔は、もう茹でダコみたいになってるはず!
レンくんは、少しだけ目を見開いて、私を見ていた。彼の周りの藍色のオーラが、びっくりしたみたいに、ちょっとだけ揺らいでる。
……どうしよう。断られちゃうかな……。やっぱり、私みたいなドジっ子じゃ、迷惑かな……。
不安で、涙が滲んできそうになった、その時。
「……」
彼は、しばらく黙っていたけれど、やがて、小さく、本当に小さくだけど、頷いたように見えた。
「えっ……? い、いいんですか!?」
「……気が向いたらな」
ボソッと、彼はそう言った。そして、今度こそ本当に、さっさと歩き去ってしまった。
ポカーン……。
気が向いたら……ってことは、完全には断られてない……ってこと!?
やったーーーっ!!!
私は、廊下の真ん中で、思わずガッツポーズをしちゃった!
(レンくんと、お昼ご飯……! デートだ! これはもう、デートだよぉ!)
嬉しすぎて、スキップしながら教室に戻っちゃった!
頭の中は、もうレンくんとのラブラブ(?)ランチデートの妄想でいっぱい!
今日のドジも、ローズ様の意地悪も、ぜーんぶ吹っ飛んじゃった!
やっぱり、レンくんは私のヒーローで、運命の人なんだ!
ああ、私の学園生活、これからもっともっと、キラキラ輝くに違いないっ!
……と、浮かれていた私だけど。
教室に戻る途中、物陰から、鋭い視線を感じた気がした。
振り返ると、そこには……ローズ様が!
彼女は、鬼のような形相で、私を睨みつけていた。その周りの紫色のオーラが、メラメラと燃え上がっている!
「……さっきの、見てましたわよ、桜坂さん」
低い声が、地を這うように聞こえてくる。ひぃぃぃっ!
「く、黒崎様に、色目を使って……! 図々しいにもほどがありますわ!」
「ち、違いますぅ! あれは、その……!」
「言い訳は聞きませんことよ! ……覚えてらっしゃい!」
ローズ様は、恐ろしい捨て台詞を残して、プンプン怒りながら去っていった。
ガーン……!
せっかく天にも昇る気持ちだったのに、またどん底に突き落とされちゃった……。
ローズ様の怒り、ますます買っちゃったみたい……。
これから、もっとひどい意地悪されちゃうのかな……。
うぅ……私のハッピー学園ライフ、前途多難すぎるよぉ……。
でも、でも! レンくんとの(かもしれない)ランチデートのためなら、私、頑張る! 絶対に負けないんだから!
心の中で、再び小さな炎を燃やす、私なのだった。