運命の赤い糸☆キラキラ学園ラブパニック! 作:Gemini
レンくんに助けてもらって、ちょっとだけイイ感じ(?)になれたかも!って浮かれてた私だけど……やっぱり、現実はそんなに甘くなかったみたい……。トホホ。
あの日以来、ローズ様の私への風当たりは、ますます強くなっちゃったんだ。
「あらあら、桜坂さんのノート、こんなところに落ちてましたわよ?」
休み時間、私の大事な数学のノートが、なぜか廊下のゴミ箱の横に……! しかも、表紙には意地悪な落書きまでされてる! ひどい! 絶対、ローズ様の仕業だ!
「……わざとじゃ、ありませんわよ?」
抗議しようとしても、ローズ様は「あら、わたくしは親切で拾って差し上げただけですのに。失礼ですわね!」って、おーほほほ!って笑って、取り巻きたちと去っていっちゃう。うぅ……悔しい……!
「見て見て、ふわりちゃん! ロッカーに変な手紙が入ってたよ!」
みるくちゃんが、青い顔で持ってきた手紙には、「ドジでのろまなカメは学園から出ていけ!」なんて、ひどい言葉が……! 差出人の名前はないけど、こんなことするの、ローズ様に決まってる!
「ひっく……うぅ……」
さすがに、涙がポロポロこぼれちゃった。どうして、私がこんな目に遭わなきゃいけないの……? 私、何も悪いことしてないのに……!
教室移動の時、わざとぶつかってきて、「きゃっ! ごめんなさーい!」って言いながら、私の教科書を床にぶちまけられたり。
私がレンくんと少しでも話そうとすると、わざと大きな声で割り込んできて邪魔されたり。
給食の時、私の椅子にこっそり画鋲が置かれてたり……(これは、みるくちゃんが気づいてくれて、寸前でセーフだったけど!)
もう、毎日が針のむしろだよぉ……。
「ふわりちゃん、大丈夫……?」
放課後、教室で一人で泣いてる私を見つけて、みるくちゃんが優しく声をかけてくれた。
「みるくぢゃん……うわーん……! もう、私、ダメがもしれない……!」
私は、みるくちゃんに抱きついて、わんわん泣いちゃった。もう、限界だったんだ。
「そんなことないよ! ふわりちゃんは、全然ダメなんかじゃない!」
みるくちゃんは、ぎゅーって私を抱きしめて、よしよしって背中を撫でてくれる。あったかい……。みるくちゃんの友情オーラが、私の冷え切った心を、少しずつ溶かしてくれるみたい……。
「ローズ様が意地悪なのは、きっと、ふわりちゃんに嫉妬してるからだよ! ふわりちゃんが、可愛くて、優しくて、それに、レン様にも気にかけられてるから!」
「そ、そんな……まさか……」
「絶対そうだよ! だから、自信持って! ローズ様なんかに負けちゃダメ!」
みるくちゃんの力強い言葉に、私は少しだけ顔を上げた。
(そっか……嫉妬……。だから、あんなに意地悪なのかな……)
そう思うと、少しだけ、ローズ様のことが可哀想にも思えてきた……かも? いや、やっぱり思えない! あんな意地悪するんだもん!
「……うん……。そうだよね……! 私、負けない!」
みるくちゃんのおかげで、また少しだけ、前を向く勇気が湧いてきた。涙をぐいって拭って、私は立ち上がる。
「ありがとう、みるくちゃん! 私、頑張るね!」
「うん! 私も、ずっとふわりちゃんの味方だからね!」
私たちは、にこって笑い合った。やっぱり、親友って最高だ!
涙を流した後って、なんだか空気が澄んで見える気がする。教室の窓から見える空には、うっすらと虹がかかっていた。
(わぁ……きれい……)
涙のあとには、虹が出る。……うん、きっとそうだよね!
私の学園生活も、今は辛いけど、きっといつか、虹みたいにキラキラ輝く日が来るはず!
そう信じて、私は歩き出した。
……と、思ったんだけど。
帰り道、校門を出ようとしたら、またローズ様とその取り巻きたちが待ち構えていた。うげぇ……。
「あら、桜坂さん。まだ帰っていらっしゃらなかったの?」
嫌味たっぷりの声。
「ちょうどよかったわ。少し、お話がありましてよ」
そう言うと、ローズ様は、取り巻きたちに目配せした。取り巻きたちが、ニヤニヤしながら私を取り囲む。な、何する気!?
「……あなた、黒崎様のことを、まだ諦めていないようですわね?」
「そ、そんな……!」
「しらばっくれても無駄ですわよ。この前の放課後も、二人で馴れ馴れしく話していましたでしょう?」
見られてたんだ……!
「いいこと? 黒崎様は、わたくしたちのような、選ばれた人間とお付き合いなさるべき方。あなたのような、ドジで、何の取り柄もない庶民が、隣に立つことなど、万死に値しますのよ!」
ひ、ひどい言われよう……! さすがに、カチンときた。
「そ、そんなことありません! レンくんは、そんなことで人を判断するような人じゃ……!」
「黙りなさい!」
ローズ様が、ヒステリックに叫んだ。彼女の周りの紫色のオーラが、毒々しいくらいに渦巻いている!
「分からず屋には、少し、お灸を据えて差し上げませんとね……!」
ローズ様が、パンッて手を叩くと、取り巻きの女の子二人が、私の両腕をがっしりと掴んだ!
「きゃっ! な、何するの!?」
「ふふふ……。少し、あなたのその大事にしているものを、汚させていただきましてよ」
ローズ様が、意地悪く笑いながら、私の通学カバンをひったくった!
「や、やめて!」
カバンの中には、今日書き上げたばかりの、大切なポエムノートが入ってるのに!
ローズ様は、カバンの中から乱暴にノートを取り出すと、近くにあった水たまりに向かって……!
「それだけは、やめてーーーっ!!」
私が必死に叫んだ、その時!
「――そこまでだ」
低くて、静かだけど、有無を言わせない声が響いた。
はっとして顔を上げると、そこには……!
「れ、レンくん!?」
そう、レンくんが立っていたの! いつものクールな表情だけど、その瞳の奥には、氷のような、冷たい怒りの色が浮かんでいる!
彼の周りの深い藍色のオーラが、まるで嵐の前触れみたいに、ビリビリと空気を震わせている!
「く、黒崎様……!?」
ローズ様も、取り巻きたちも、予想外の登場に、固まってる。
「……何をしている?」
レンくんが、冷ややかに尋ねる。
「こ、これは、その……! 桜坂さんが、わたくしの悪口を……!」
ローズ様が、慌てて嘘をつこうとする。
「……嘘をつくな。見苦しい」
レンくんの一言で、ローズ様の顔が真っ赤になった。
「……そのノートを、返せ」
レンくんが、ローズ様が持っている私のポエムノートを指差す。
「い、嫌ですわ! こんなもの……!」
ローズ様が、ノートを破り捨てようとした、その瞬間!
レンくんが、目にも止まらぬ速さで動いた! (え? レンくんって、そんなに足、速かったっけ!?)
あっという間にローズ様の目の前に移動すると、彼女の手から、ノートをひょいっと取り上げた!
「きゃっ!」
ローズ様は、なすすべもなく、ノートを奪い返されてしまった。
「……くだらない真似は、やめろ。見ていて不愉快だ」
レンくんは、冷たく言い放つと、ノートを私に返してくれた。
「あ、ありがとう……!」
「……行くぞ」
彼は、私の手首を掴むと(きゃっ!)、そのまま私を引っ張って、呆然としているローズ様たちの前を通り過ぎていった。
後ろで、ローズ様が「く、黒崎様ぁ〜!」って叫んでる声が聞こえたけど、もう気にしない!
レンくんの大きな背中を見ながら、彼の手に引かれながら、私はただ、ドキドキする胸を押さえることしかできなかった。
やっぱり、レンくんは私の王子様なんだ!
涙のあとには、虹が出る……ううん、虹だけじゃなくて、素敵な王子様まで現れちゃった!
私の学園生活、まだまだ波乱万丈みたいだけど、なんだか、すっごく楽しくなってきたかも!