なんでかなー…
「いやぁ…凄い……凄いね…」
そんな語彙力の無い感想を述べる俺
何故語彙力の無い感想を吐いたのか
その理由は簡単
何故なら、恐らく人生で一回乗れるか分からんレベルの黒塗りの高級車に乗せられているからだ
(………いや覚悟はしてたよ?たださ、たださ?高級車に乗せられて担当とお出かけとか…映画とかドラマかな…)
隣には無事担当契約が出来たメジロアルダンが座っており、使用人の方が運転していると言う光景で在る
(お出かけって…こんな緊張するっけ………)
何故乗っているのか…その理由はスカウト成功した後の事…
スカウト成功後
俺とアルダンは互いに軽く自己紹介をしていた
「それでは、改めてまして…メジロアルダンと申します。これからなにとぞ、よろしくお願いいたします。」
「宜しくアルダン。私は黒華義悠、まぁ気軽にトレーナーと呼んでね。」
「えぇ宜しくお願いしますね、トレーナーさん。」
互いに名を言い終えた後、アルダンに一つのお願い事をされる
「ではさっそく、というのもなんなのですが…今週末、お付き合い願えますでしょうか?」
その頼みを二つ返事で答えたので在る
…そして今に至る
メジロ家の『お車』に乗せられ、美術館にやって来たのだった
車から出ると使用人の方が
「では…アルダンお嬢様、お気をつけて行ってらっしゃいませ。トレーナー様、お嬢様のこと、なにとぞよろしくお願いいたします。」
と頭を下げてきた為
「え、えぇ、分かりました!」
俺は少々動揺しながらも、そう返事をする
「ふふっ、トレーナーさん、どうぞそう硬くならずに。ばあや、お見送りありがとう。行って参りますね。」
やはり車内での緊張が残っているのか、つい落ち着かない気分で辺りを見回してしまう
(慣れ―かなぁ…いやぁムリムリ、慣れられないよ…)
なーんて事を思いながら見回していると、ふと今美術館でやっているで有ろうイベントの広告が目に付く
「刹那……展?」
そのタイトルをポロリと呟くとアルダンが
「えぇ。もともと興味があり、足を運ぶつもりでいましたが、ぜひトレーナーさんにもお付き合いいただきたいと思いまして。」
誘った理由を教えてくれ、俺はこの刹那展とは、どう言うモノか聞いてみた
「どういう展示なんだい?」
「…種別は、多岐にわたります。絵画、彫刻、写真、映像、工芸――」
「しかしそれらは、ただ一つの共通項を持っています。」
「その共通項って?」
そう問うとアルダンは少し間を開け、その問いに答える
「全てが、『遺作』であるという事です。」
―――以外だ
確かに場内には多種多様な作品が飾られていた
そして当初、美術館に入った時は全て遺作だと聞いていた為、こう何処かで構えていたが…
実際は、足が止まるものや首を捻るばかりのものも在る―――簡単に言えば、『普通』の美術展だった
「最初さ、遺作って聞いていたから少し不安だったけど…特に違和感の無い普通の美術展だったね。本当に以外、だったよ。」
そんな感想を述べていると
「そうですね。受け取り手にとっては、得てしてそういうものだと思います。」
「遺作―か…」
無事、場内をじっくり見て回り、外へと戻って来た…のだが―――
「トレーナーさん、あともう1か所だけ。美術館の裏手の森に、行ってもよろしいでしょうか?」
そう言うので
「裏手の森に何か在るの?」
そう聞くと
「実は、そこに最後の作品が展示されてるのです。……どうしても、それだけは見ておきたくて。」
「最後の作品…よし、気になるし行こう!」
共に森へと足を運ぶと
そもそも、そこに作品が在るということを知ってる者が少ないのか、他の客は見当たらなかった
(外に作品……彫刻とかだろうか?)
そんな事を考えながら少し歩くと
「ああ…そうです、これが。……これが、見たかったのです。」
そう言う彼女の視線の先には―――1枚の絵画が映っていた
しかし―その絵画は日に焼け、雨ざらしになり、見る陰もなく色褪せた絵画だった
(なんで絵画を外に…………?)
そう疑問に抱いていると、アルダンはそう疑問の答え…いや絵画が外に置かれている理由は話す
「作者の方は、この絵画の展示を『外に限り』許す。と言い遺されたそうです。」
そう話した後、俺とアルダンは、黙って絵を見つめ過ごしていた
(きっと色褪せ、ボロボロになり、誰からも忘れられる事が分かっていても、そこに―その場所に置いていたい理由があったんだろうな…)
(ただ―――見つめてるだけなのに長い…長い時を過ごしているような気分になるな…)
暫く経ち…
二人は美術館から離れ、カフェで一息ついていた
「もう、ご存知のこととは思いますが。…私は生まれつき、あまり弱く、脆い体をしております。」
その彼女のカミングアウトに
「…ああ」
頷き…答える
それから俺は彼女の静かな語りを黙って聞く事にした
「それでも、同じく脆いと言われた脚を持って生まれた姉は奇跡的に回復したからと、一縷の望みをかけましたが――」
「どうやら、そう甘くはありませんでした。世の常、ですね。」
(いや…誰だって望み、願うさ…………自分と同じ状態の者が成功したのならば自分も…と希望を抱くのは……)
「主治医からは『率直に言ってレースに耐えうる体では無い』『怪我や故障と隣り合わせになるだろう』と診断されました。」
「……両親は、いまだに私が競走生活を送ることに反対しています。私を失うことが恐ろしくて堪らないと、先日の電話で泣かれました。』
(心配をする親………いや…家族…か…)
「私は本来双子で生まれる予定でしたが―――片方は死産でしたので同じ結末に至らせる訳にはいかないと、必死なのでしょう。」
その話を聞いていると不意に
「お前は…」
「✕✕事が出来ないお前なんか…」
「さっさと出てけ!この………」
「はぁ?誰が✕✕出来なくなったお前なんか……」
そう…昔の話を思い出し、忘れようと頭を左右に振る
(…最悪だぜ、思い出したくねぇのに…)
すると顔に出ていたのだろうか、アルダンが心配そうにコチラを見つめていた
「その…すみません…いきなり暗い話を話してしまって…」
そう謝るアルダンに
「いや、少し…………トラウマを思い出しただけだよ。君は悪くないさ、こっちこそごめんね……その…話を続けて。」
そう言うと、少し不安がりながらも話を戻す
「いつ砕け散るとも知れぬ身です。メジロの、あるいはウマ娘たちの紡ぐ輝かしき歴史の中に、すぐ埋もれゆくこともあるでしょう。」
「すぐに色褪せ、忘れ去られる。―――それでも、『今』。」
「今、この瞬間を輝かせるため命を賭すことは、私に託されたただ一つの権利なのです。」
「短くとも。儚くとも。ほんの僅かな光跡であろうとも。」
「私は私自身の生きた軌跡を、『今』にひとすじ、残したいのです」
そう彼女の力強い信念と想いを聞き終えた後、アルダンが一つの問いを投げかける
「……ご協力、いただけるでしょうか、トレーナーさん。」
改めてそう訊ねられる
(俺は…………)
そして…応える
「俺は…君が走るのを辞めるその時まで、君が綺麗輝ける様に出来る限りの全力を尽くすよ」
(もう後悔はしてほしくないんだ)
そう力強く応えると、アルダンは少し驚きつつも
「貴方は……私が思っていたよりもずっと、覚悟を決めてくださっていたのですね。」
そして、俺はメジロアルダンの手を取り、改めて握手を交わした
『今』を輝かせんとする彼女を、絶対に光を途切れさせぬように…コレから全力で支えて行こうと、再び強く誓った
削れ、割れた硝子は完全に元には戻らないのだから…
夜
自室にて
「彼女に合うトレーニングを考えねば、まずはアルダンが立てていたトレーニングを希望に…」
睡眠すら削り、考えていると
ふと、1枚の記事がホームページに映る
「…馬鹿らしい、俺は辞めたのにな…」
そう言う彼の視線には
《✕✕✕✕選手のトレーニング法!》
と書かれた記事があり、彼はホームページを消し
エクセルを開くのだった
「さーて、明日までに纏めなきゃな」
学校ちゅらい…
続編いるかい?
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書きなよ
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そんな事よりさっさと別の続き書けよ!