毒親の娘でもヒーローになれますか?   作:さかき

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運営からメール来てて流石に焦った、オリ主タグがなかったみたいだ。
反省、他につけるべきタグがあったら教えてpls


入学試験

入学試験当日。

 

前乗りした近くのホテルから徒歩で雄英まで向かう。

 

母はホテルどころか試験会場まで着いてきかねない勢いであったが、集中できないことを理由にどうにか諦めてもらった。

 

無事に合格すれば一人暮らしが約束されていることに試験前にも関わらずに胸踊る。

 

合否の心配はほとんどなかった。

 

生来の智恵に加えて、個性による修復で睡眠さえ不要な体。

 

ひたすらに詰め込んだ知識を活用して筆記試験は書き間違えにさえ気を付ければ良いほどに仕上がっている。

 

実技についても問題はない。

 

個性により繰り返し修復されてきた身体は、その度に強靭さを増し、何もしなくとも同年代の増強系の個性持ちと競えるほどに磨かれている。

 

入試だけなら特段個性を使わずとも、どうとでもできるだろう。

 

落ちるとすれば面接だが、一般入試には面接は存在しない。

人間性を考慮しないカタログスペックだけなら合格者の中でさえも上位を狙えるだろう。

 

そう、だから何も問題はないのだ。

 

 

 

「Yeahhhhhhhhhh!!!!」

 

筆記試験を終えて実技試験の説明会場に移ると、とても教員とは思えない風貌の男がノリノリで実技試験の説明を進め始めた。

 

都度都度考察を口走る少年を神経質そうな少年が注意する一幕はあったものの説明自体は恙無く行われた。

 

細々としたルールはあるものの、要するに市街地でターゲットを壊す。

 

ただそれだけのことだ。

 

戦略なんて考える必要すらない。

個性含む身体能力の足切りでしかないのだ、私が後塵を拝する道理はない。

 

スタートと同時に駆け出すと、少し遅れて他の受験生が個性を使って動き始める。

 

さらにその後ろを素の身体能力だけで走る集団が続く。

 

彼らは恐らくこの試験で落ちてしまうのだろう。

 

試験が過去同様であったかは分からないが、母が度々「私は個性が悪くてヒーロー科に入れなかった」というのにも納得がいく。

 

個性が戦闘向けでないならば、素の身体能力が平均を多少越える程度では合格は危うい。

 

ターゲットの数が決まっている以上、最初の足切りになるのはその速さだ。

 

ポイントの差で大小あれど小突けば壊れる程度の機械だ。

 

出だしの遅れはどれだけ必死になっても簡単に取り返せるものではない。

 

私が破壊したターゲットにかなり遅れて追い付いてくる集団を目にして他人事のようにそう思う。

 

 

 

殴り、掴み、投げる。

 

それだけで破壊判定は得られる。

 

力に不安があるなら手を突っ込んで配線を引きちぎっても良い。

 

最早、試験としての緊張感すらないただの作業。

 

視界にターゲットが写らなくなったので辺りを見渡してみれば受験生の様子は様々だ。

 

ほどほどに得点を獲得したのだろう余裕の笑みを浮かべつつ次なるターゲットを探すもの。

 

満足の行く成果を挙げられていないのであろう、僅かな焦りを滲ませているもの。

 

一切の余裕がなく、傍目から見てもパニックになっていることが分かるほどのもの。

 

 

 

超常の生んだ個性の格差がありありと現れているようで、実に不愉快な光景だった。

 

 

 

 

 

そう、だからこれは只の自己満足。

 

偽善ですらない人助け。

 

持って産まれたはずの私が持たざる者を見て格差を嘆く。

母の刷り込みがなせる業なのか、それとも私の生来の気質なのか。

何れにしても自分の合格圏を確保してからの行動で、そこには何の献身もない。

 

私が手を貸したからといって彼らに合格の目が見えることもない。

 

ただ、試験中の怪我だったりとかが少し減る程度。

ともすれば、彼らから不合格の言い訳を奪っているだけのようにも感じる。

 

実際助けた相手の反応も、感謝と反感で半々だ。

 

当然だ。真剣な競争の場で余裕を持って人助けなんて、見下している以外の何者でもない。

 

 

そう、だからこれは私の自己満足なのだ。

 

 

 

0ポイントのターゲットが出てしばらく、皆がそれを避ける形で試験は終了した。

 

 

 

 

帰り道、合否の不安は頭に無かった。

ただ、他の受験生の顔が頭によぎる。

自分のエゴで彼らの椅子を一つ潰していることに申し訳無ささえ覚える。

ヒーローへのモチベーションなんて微塵もありはしないのにヒーロー科の一席を埋めているのだ。

 

 

なんてくだらない話なんだろう。

 

 

 

「試験、どうだった?」

 

 

 

そんな私の益体の無い考えを遮ったのは母だった。

 

試験が終わったならば私のパフォーマンスなんて関係ない。

私の人生を文字通りに自分の物と思っているのだろう、それはそれは気になって仕方がないというもの。

 

反吐が出るのを堪え、努めて今まで通りに、母の望む理想を、なぞる。

 

肩をすくめ、口角を上げ、目元を緩める。

 

そう、いつも通りだ。

 

「お母さん、もう高校生になるんだよ。わざわざ来なくたって大丈夫だよ」

 

普段通りに会話の応酬を続ける。

 

中身なんてどうだっていいのだ。

 

どうせ、もうしばらくすればこんな不毛なことをしなくてもすむようになる。

 

 

 

母と歩く帰り道、ガラスに映る自分達が仲の良さそうな母娘に見えて、言い様のない気持ち悪さだけがあった。

 

 




教師陣の採点パート書こうと思ったけど、コレジャナイ感が酷いのでスキップです。
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