毒親の娘でもヒーローになれますか?   作:さかき

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本当はお気に入り100と同時に出したかったんだ!
本当だ、信じてくれ!
遅くなってすみません、長くは無いです(-人-;)


新生活の始まり

合格発表までの数日間は、決して穏やかなものではなかった。

 

 

 

「試験、自己採点した?」「何点くらい取れたと思う?」「試験官は誰だった?」「周囲の子たちの出来はどうだった?」

 

 

 

内容だけ見れば、過保護な母親のよくある心配のようにも見える。

けれど、それが毎日何度も、時間帯も問わず、四六時中続くとなれば話は違う。

 

これは干渉ではない。支配だ。

 

 

 

母にとって、私の受験は“自分の人生の再挑戦”であり、かつて、ヒーロー科の門を叩くも通れなかった過去。

その雪辱を、私の身体を通して果たそうとしている。

 

その執念は、ただ、ひたすらに恐ろしい。

 

仮にこの試験で不合格だったなら私は解放されたのだろうか。 

 

そんな問いが浮かびかけて、すぐに消える。

 

もう結果は決まっているのだ。

 

通知を待つまでもない。

 

私は、受かっている。

 

 

 

 

 

 

 

そして、数日後の朝。

 

ポストを開ける前に、母の声が聞こえた。

 

 

 

「やっぱりね! やっぱり合格してた! ほら見なさい、あなたはできる子なんだから!」

 

 

 

封筒を掲げて、満面の笑みでこちらに駆けてくる。

陽光に照らされるその姿は、まるで自分がヒーローに選ばれたかのようだった。

 

 

 

その姿はあまりにも――

 

 

 

 

 

部屋に戻り合格通知を開く。

 

母は大げさに喜んでいたが、私の心は思っていたほどには動かなかった。

 

当然だ。あの試験で私が落ちる道理などない。

 

 

 

新生活が始まる。

 

これでようやく私は、“仮初めの自由”を手にした。

 

ヒーローになりさえすれば、母はきっと満足する。

もう干渉されなくて済む。そう思っている――自分でも浅はかだと分かっていても。

 

だから私は、ヒーローを“演じる”。

 

この三年間は、ただ機械のように“正解”を出し続けるだけの時間。

「私が、選ばれた人間だ」と証明するためだけに。

 

卒業して、そのあと、どうするかなんて……考えたくなかった。

 

自分がヒーローとして活動する姿も、様々なしがらみから解放され自由になる姿も想像できない。

今の仮初めの自由と何ら変わりない。

このまま流され続けるのもいやになるけれど、ほかの方法を考える気力も沸きはしない。

 

 

 

そうして、もろもろの準備を済ませて――

 

入学初日。

 

 

 

大きくも小さくもないアパートの1室に築かれた平均的な女子高生の部屋を後にする。

趣味といえる趣味もなく、部屋の内装もほとんど母が決めたものだが、一人暮らしという一点だけで気は楽になるというもの。

 

学校からは徒歩で行ける距離の物件にしたので朝を急ぐ必要もない。

こころなしかいつもより浮ついた気分で歩を進める。

 

学校に近づくにつれて周りには同じ制服の学生が増えてきた。

談笑しながら歩く彼らはおそらく上級生、周囲を珍しそうに見ながら歩く彼女はおそらく私と同じ新入生だろう。

 

そうした、よくある光景から1つだけ浮いている人間に気づく。

 

私のよく知る、鬱屈した雰囲気。

おおよそ新学期のそれにはふさわしくない。

 

これが一般の高校なら留年でもしたのかと疑いたくもなるが、ここは天下の雄英、考えづらい。

付け加えるならば、制服も新品のそれ。

 

しばらく考え、ふと気づく。

 

彼は試験会場で助けた顔ぶれの中にいた。

戦闘向けの個性でなかったのだろう、得点は振るわず、焦った末に他の受験生の攻撃の余波に巻き込まれそうになっていた。

 

あの実技で、彼がヒーロー科に受かるとは思えなかった。

きっと、あきらめきれずに、普通科を併願したんだ。

 

雄英のヒーロー科をあきらめきれずに、普通科を併願して入学。

そこまでの熱意があることをまぶしく思う一方で、私が合格していることに申し訳なさも覚える。

 

先ほどまでの浮わついた気持ちは急激に冷め始め、申し訳なさと居たたまれなさに包まれる。

自分が着ているこの制服さえも恥ずかしく思えてくる。

極力、目が合わないように俯きながら学校に向かった。

 

仮初めの自由を手にしても、私のこころはちっとも変わっていなかった。

 

大きな校門を潜り指定の教室に向かう。

 

本当なら少しでも輪に溶け込むべきだと分かっていても、そんな気分にはなれなかった。

 

大丈夫、もう少ししたら"普通"に振る舞える。

 

できる限り目立たないように後ろのドアからひっそりと入室し、周囲を眺める。

 

教室ではいくつか見覚えのある顔があった。

実技試験の説明会場で質問した彼と、独り言の激しい彼だ。

 

やはり、あの場で自我を出せるほどの人間は格が違ったというわけだ。

 

他の同級生も見た目だけで煩いような子ばかりだ。

能力面で劣る気はみじんもないが、上手になじむだけの自信はすでに失っていた。

 

そうしていると、教室の入り口に不審な人影が居るのに気づいた。

 

視線を向けるのとほぼ同時に話し始める。

 

「お友達ごっこがしたいなら、よそへいけ。ここはヒーロー科だぞ」

 

賑やかだった教室は一瞬静まり、しばらくしてざわめき始める。

 

寝袋に酷い隈、ぼさぼさの髪。

限界を迎えた社会人の様な容貌のこの人はどうやらこのクラスの担任らしい。

 

入試の時にも思ったが、どうにもヒーローが教師をしているだけあって異質な風貌をしていることが多い。

 

何も常にコスチュームに身を包む必要は無いと思うのだが…

 

つらつらと関係ないことを考えている内に、自己紹介を済ませた先生がグラウンドに出るように告げる。

 

ガイダンスやらは無しにしてテストを行うらしい。

 

用意してきていた代表スピーチは早速無駄になったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を後にして、グラウンドに出るまで、私としては有り難いことに誰と話すこともなかった。皆、急な状況に困惑しているようだった。

 

個性把握テスト。

 

中学までの体育とは違う、個性を十全に活かした体力測定を行うみたいだ。

 

先生は色々と話していたが、要するにそういうことだ。

ヒーローとして、個性を用いた実践的な対応力を測る。

別な形の実技試験というだけ。

 

意識して個性を使わせることが目的か、あるいは先生としても生徒の個性をその目で実際に確認しておきたかったのかもしれない。

 

「実技1位は…2人居たな。爆豪、投げてみろ」

 

なるほど、彼がもう1人の首席か。

 

粗野な言動を隠すことなく、その立ち居振舞いには自信に溢れている。

およそ挫折とは無縁の人生を歩んできたのだろう。

何もかもが造りものの私とは違う、天然の才能。

その強い意思を持った目に、羨ましさと妬ましさを覚える。

 

爆破で投げたボールは目で追える距離を越えて飛んでいった。

 

その派手な記録に、個性を自由に使えることに、皆は色めきだっていった。

 

 

「個性使っていいの!おもしろそう!!」

 

 

その発言の直後、先生の空気が一段変わるのを肌で感じる。

 

先程までの考え事を続ける余裕もない。

 

肝を冷やしながら、ヒーローとしての心構えを説く彼の言葉に耳を傾ける。

 

 

「そうだな、最下位は除籍処分としよう」

 

 

その言葉に私以外の生徒も凍りつく。

 

理不尽を訴える子もいたが、譲ることなく試験は始まった。

 

 




自分で書いて実感する分量の少なさ、原作描写そのまま書くのも何か違うし…
主人公の名前すら出ないとは、自分も思いませんでした。
短いかもだけど月一で出せるようにはする予定です。
そろそろ、連載タグに変えた方が良いのかな。

それから、感想もちゃんと見てます。
ビビリだから返信はできませんが、反応もらえるだけで小躍りしてます。

引き続き楽しんでもらえると嬉しいです。
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