「何で貴方が………………死んだ筈じゃあ……」
「死んだ?死んだだと?お前が!!お前達が僕を殺したんだ!!」
「ッ!!」
「何で…………何で僕はこんなに苦しんでるのにお前達は平気でいられるんだ!!お前達のせいで僕は!!」
尻尾が跳ねアイズに迫る
「ッ!!」
尻尾に剣を合わせいなし下がる
「アイズ大丈夫?」
ティオナが訪ねる
「だ、大丈夫、ちょっと油断した」
努めて冷静に答えるが普段乏しい表情は強ばり声が若干震えていた
「何だよ。1人の僕への当て付けか、僕だって…………僕だってあれさえ無ければ今頃お前達の様に…………」
ビュンビュンと尻尾が激しく唸り【ロキ・ファミリア】を襲う
「退避!!」
フィンの言葉に全員がその場を飛び退き尻尾から逃れる。
しかしバラバラに避けた事でリヴェリアとレフィーヤは接近を許すがリヴェリアが素早く杖を振るいベルを弾き飛ばす
「接近された時の対策をしていないとでも思ったか?」
モクモクと土煙が上がり姿の見えないベルに告げる
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ」
「リヴェリア大丈夫か?」
「ああ、心無しか動きが鈍くなっていた気がする。それに疲れている様だ」
煙が晴れベルが現れると確かにベルは肩で息をしていた
「………………成る程。あれだけ強力な力だ、恐らく体力の消費も激しいのだろう。おまけに鎧はリヴェリアとレフィーヤの魔法を受けても無傷な程硬い。重い防具はそれだけ付けている者の体力を奪う。ガレスの様なドワーフや屈強な人間ならまだしも少年程度の肉体で長時間使える訳がない。更に尻尾や鎧に関しても彼自身今知った様だった。単純に使いこなせていないんだろう」
「つまり叩くなら今だな」
「ああ、ティオネティオナ!!彼を休ませるな!!アイズは2人の援護を!!リヴェリアとレフィーヤは引き続き魔法の詠唱をガレスは2人を守ってくれ。ベート。折を見て彼女達と変わってくれ、僕も動く」
フィンの的確な指示に全員が頷きアマゾネス姉妹がベルに迫る
「ウアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ベルは雄叫びを上げ尻尾を矢鱈に振るい2人を近付けまいとするが姉妹は上手く掻い潜りベルに肉薄する
「オリャアアアアアアア!!」
「ウラァアアアアアアアア!!!!」
2人の攻撃がベルの首目掛け飛んでくる。回避しようにも体が重く以前の様に素早い動きが出来なくなっている、仕方無く左腕で首を庇う
「あああああああああああああ!!!!」
クルクルと左腕が宙を舞いベルは悲痛な悲鳴を上げ尻尾を2人に放つ
「させない」
しかしそこにアイズが割って入り尻尾を弾く
「何で…………何で僕がこんな目に…………」
切り飛ばされた左手を抑えベルはそう呟く
「何でって。君が人を食べるからでしょ!!」
ベルの呟きにティオナが反応し若干怒りを込めながら答える
「……………………そうすることでしか生きていけないのに他にどうしろって言うんだよ」
「…………え」
「お前達に分かるか!!昨日まで食べていた肉や野菜を不味く感じるんだ!!それでも我慢して食べようとしても体調を崩して動けなくなる。口に出来るのは人肉だけで仕方無くそれを食べれば責められる………………教えてくれよ、僕はどうしたら良いんだ。どうしたら幸せになれる。どうしたらこの地獄から逃れられるんだ」
「あ、その、私そんな事って知らなくて…………だからその……」
「ッ!!」
ベルは立ち上がり走り出すと壁をよじ登り屋根を走る
「逃がすな!!」
フィンの言葉に全員が屋根に登ったベルを追うが石ころや屋根の破片を投げつけ妨害しベルは何とか逃げ切った
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ、グッ…………誰か、助けて」
涙を浮かべ振り絞る様に呟かれた言葉は残念ながら誰にも届くことは無く暫く泣いた後、ベルはまた獰猛な笑みを浮かべ夜の闇に消えていった