「…………………………」
オッタルは大剣をベルに振り下ろす。地面が砕け土埃が舞い上がり他の冒険者達は目に入らない様に手で顔を覆う
埃が止み顔を上げるとオッタルの大剣を片手に止める【喰種】がいた、しかし無傷とはいかず手から血が流れている
「ほう、今のを防ぐか」
剣から手を離した【喰種】は尻尾を生やしその尻尾がオッタルを襲う
オッタルは巧みにその攻撃を避け再び強力な一撃を放つがベルも鎧を展開し防ぐ
「…………………………」
一進一退の攻防が続くのをフィンは黙ってみていた
「どうした?お前の予定通りの展開だろう?」
リヴェリアがそう訪ねる
「ああ、間違いなく僕の予定通りだよ。予定通りなのが怖い位にね。それに親指が疼いている、まだ何かある筈だ」
フィンはそう言いベルを見る。オッタルの攻撃が直撃しベルは肩で息をしているがベルと目があった瞬間、フィンの背中をゾクリとした嫌な汗が流れた
「オッタル!!直ぐに止めを刺せ!!」
「ッ!!」
フィンの言葉に反射的に反応したオッタルは大上段から大剣を振り下ろす
ギャリギャリと貴金属が削れる様な音が響き鎧に防がれたと思ったオッタルの目に飛び込んできたのは鱗の様な模倣のある尻尾の様な物と炎の様に揺らめく翼
「………………………………」
「それがお前の真の姿か、やはり人とは思えんな」
「気を付けろオッタル、僕達も知らない力だ」
総数5本となった尻尾が冒険者達を襲い彼らは下がるが翼から矢の様な物が飛び出し追撃してくる
「おい!!聞いてた話より全然強いじゃねぇか!!こんなんで本当に勝てるのか⁉」
「恐れるな!!このまま攻め立て奴を疲弊させる!!」
フィンの号令に詠唱を終えた魔法使いを達はそれぞれの魔法を放ちオッタルを起点に前衛組もベルを攻め立てるがベルの5本の尻尾が冒険者達を凪払う
「その変な仮面ひっぺがしてやる!!」
ベートが尻尾を避け顔に蹴りを放つ。一撃目は腕で防ぎ避けたものの続く二撃目は腕で視界を遮ったのもあり避ける事は出来ず顔に叩き込まれ仮面が吹き飛んだ
「ハッざま見やがれ」
「…………………………あ」
弾き飛んだ仮面を見たベルは動きを止め冒険者達はベルを直接叩く為動き出す
「あああああああああああああああああ!!」
「何じゃ⁉」
「怒ったのか?」
「…………………………………違う。あれは多分、泣いてる」
リヴェリアとガレスの会話をアイズは否定しフィンは何かを考え込む
「顔が!!僕の!!ち、違う!!僕は!!僕は………………僕は【喰種】で…………いやでも仮面は無いから僕は人間僕は人間僕は人間僕は人間僕は人間いやでも今は食べないといけないから【喰種】人間【喰種】人間【喰種】人間人間【喰種】あああああああああああああああああ!!」
「…………………………そうか。君はそうやって心の平穏を保っていたのか」
フィンは同情する様にベルの様子を見て呟きアイズは訪ねる
「平穏?どう言うこと?」
「僕達はまた見誤ったんだ。彼は人を食べなければ生きていけない。その耐え難い事実を何とか受け入れようとした結果、彼はあの仮面を被っている間は【喰種】になると割り切る事で自身の人間性を保っていたんだ。仮面の情報は最近の物だから思い付いたのも最近だろうけどね。いずれにしろ、終わりだ」
冒険者達がベルを囲みオッタルがその首を跳ねようと大剣を握り構え直す
そのまま大剣を振り下ろされると思われた時
「待ってくれ!!」
何処からか声が聞こえオッタルとベルの間に長い黒髪をツインテールにした炉の女神が現れた