「顔…………僕の顔…………」
「ベル君!!」
フラフラと辺りを彷徨うベルにヘスティアはしがみつき倒れる様に座り込むとその頭を撫でる
「大丈夫だ。こんな頼りない主神が言っても信用出来ないかもしれないけど、僕が助けに来た。何があっても君を傷付けさせない。君が傷付く必要もない。だからもう大丈夫だよ」
ユラユラと揺れるベルの赤い瞳に目を向けヘスティアが頬を撫で言う
ベルは次第に落ち着きを取り戻しその目から大粒の涙を流す
「ああ………………神様…………………………神様………………僕…………僕は…………人しか食べられない、だから貴女の近くには居られない。一緒に居れば、何時か貴女を殺してしまう」
「そんな事にはならないよ。だって君は僕の事を思ってくれてるじゃないか。その気持ちがある限り、君は人間だよ。だから今の君の気持ちを教えて?」
「神様」
「うん」
「………………助けて……下さい」
「うん、任せて」
「ふ、ふざけんな!!」
「そ、そうだ!!ソイツは【喰種】だ!!そうやって泣き真似して俺達が油断したら喰うつもりだ!!」
「そうだそうだ!!殺せ殺せ!!」
「何やってんだ【猛者】!!さっさと首を跳ねちまえ!!」
ワァーワァーと周りで様子を伺っていた冒険者達が騒ぎ立てる
「神ヘスティア、気持ちは分かるが彼は既に100以上の人間を殺している。ギルドからも見つけたら優先して討伐するようにとも言われている。ここは退いて頂きたい」
フィンがオッタルの隣に立ちヘスティアにそう言う
「でも、じゃあベル君はどうなる⁉ここで君達に殺されるのを黙って見てろって言うのか⁉大体、ベル君がこんな風になったのは君達がミノタウロスを逃がしたのが原因だろ!!この子を殺した挙げ句散々苦しめてまた殺すつもりか!!」
「確かに僕達は貴女の眷族を殺してしまった。だがそれは彼が彼が市民の命を奪って良い理由にはならない。彼は最初から僕達を狙い喰い殺すべきだった」
「いずれにしても、俺はあの方の庭を汚す害獣を放っておくつもりはない。そこを退け、さもなくば女神とて斬る」
オッタルが構えを取るとヘスティアはベルをより強く抱き締めオッタルは剣を振り下ろす
「ッ!!」
しかしベルの鱗の様な腰から生えた尻尾が大剣を受け止める
「………………ベル君」
「神様に手を出すな…………殺すぞ!!」
ベルの目が赤黒く変色しオッタルの剣を押し返した
「貴様、今の力は」
「神様、ちょっと待ってて下さい」
「……………………うん、待ってるよ」
ヘスティアが微笑み言うとベルも微笑み返しオッタル達に立ち向かう
「神様に手を出す奴は殺す!!2度と泣かせたりしない!!」
ベルの体に5本の尻尾と鎧と翼が展開される。その顔は前の様に濁った瞳は無く清んだ宝石の様な赤い瞳が真っ直ぐ前を見詰めていた