ベル・クラネルが喰種なのは間違っている   作:寝心地

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最終回です


第20話

「………………ゲホッ」

 

ボタボタと血が撒き散らされベルと地面を赤く染め体に激痛が走る。その元を辿れば自身に深く突き刺さるオッタルの大剣があり左手は吹き飛んでいた

 

「…………………………もう、ここまでか」

 

ベルはそう呟くとオッタルの手に自身の手を置き大剣を引き抜かせるとヘスティアの元へ歩み寄る

 

「……………………ベル……君?」

 

「神様…………帰りましょう」

 

尻尾と鎧、翼を全て解きベルは笑顔でそう言い右手を差し出す

 

ヘスティアもそれに手を添え笑顔で答えると2人は冒険者達の方へ歩き出す

 

「ふざけんな!!このまま逃がすかよ!!」

 

そう言い冒険者の1人がベルに剣を差し向けるがフィンがそれを止める

 

「良いのか?」

 

「………………ああ、あの傷だ。もう彼に時間は残されていない。もう今夜を生き残る力も残っていないだろう。傷も再生していない。僕達の勝ちだ。だからこの先の時間は見守るだけにしよう。僕達が産み出してしまった怪物の最期を」

 

リヴェリアの問いにフィンはそう答え冒険者達はベル達に道を譲り2人はその道をゆっくりと歩んでいく

 

2人が辿り着いたのは嘗て2人が過ごしていた廃協会

 

「お帰り。ベル君」

 

「……………………ただいま。神様」

 

「今日はどうだった?」

 

ヘスティアは何も知らない風を装いベルの戦果を訪ねる

 

「……………………沢山………………沢山倒しました」

 

「うん」

 

「……………………凄く疲れました」

 

「じゃあ一緒に寝よう」

 

「……………………そうですね」

 

ベルはベットに横になるとヘスティアが布団をかける

 

「そうだ、神様」

 

「うん?」

 

「起きたら………………起きたら、一緒に町に行きましょう。今まで出来なかった分、服とか色々買って…………プレゼントに…………」

 

「うん、明日聞くからまずはゆっくりお休み」

 

「…………………………そうですね。お休みなさい神様…………それと、大好きです」

 

ベルはそう言うとゆっくりと瞳を閉じる

 

「…………お休み…………ベル君」

 

そう言うヘスティアの目には涙が浮かび溢れた涙がベルの眠る布団に染みを作った

 

ベルはそのまま永遠に目を覚ます事はなくヘスティアは二度目となるベルの葬式を行った

 


 

2ヶ月後

 

ベルの墓にリリルカが訪れていた

 

「ベル様、リリも【ヘスティア・ファミリア】に入る事にしました。私はベル様の様に強くは無いけど。ヘスティア様ともう1人を影ながら支えようと思います」

 

「あ」

 

リリルカが話し終わると花束を持った少女が現れる。全ての元凶となったあの日。ベルを救えなかった少女アイズ・ヴァレンシュタイン

 

「……………………あなたの様な人でも罪悪感と言うのは感じるのですね」

 

「…………………………違う」

 

リリルカの毒舌にアイズはしばらく間を置き否定する

 

「これは罪悪感じゃなくて後悔。あの時からずっと」

 

アイズはそう言うとベルの墓の前に花束を置く

 

「この子は多分、本当は幸せになるはずだった子。この世界の太陽で光で希望になる筈だった。それを私達が…………私が暗い闇と影の世界に堕としてしまった」

 

「……………………タラレバの話なんて聞きたくありませんよ。リリも…………きっとベル様も。貴女達は一生その十字架を背負って生きていくしか無いんです。償うことなんて出来ない」

 

「……………………うん」

 

リリルカはアイズが頷くのを聞きその場を去る

 

リリルカが去ったのを見送った後アイズはベルの墓に手を合わせる

 

「………………君は嫌がるかもしれないけど。私【ヘスティア・ファミリア】に改宗したの。あの神様を放っておけなくて。フィン達にも自己満足だって言われた」

 

アイズは立ち上がるとベルの墓に積もった汚れを払う

 

「でも、私に出来ることはこんな事しか無いから………………貴方の神様を守るよ、私の全てを賭けて」

 

アイズはそう言い残しその場を離れた

 

それから少し時間が流れ空がベルの瞳の様に赤く燃える様になった頃

 

「………………2人とも、またベル君のお墓参りに来てくれたのか」

 

ヘスティアは彼岸花を手にそう呟く

 

「ベル君、今日はギルドに行ってきたよ。君が食べちゃった人の家族に全部で4億ヴァリス払えってさ。でもそれを【ロキ・ファミリア】が全部負担してくれてね。逆に1億ヴァリスも貰う事になっちゃった。ベル君を助けられなかった謝礼だってさ。それとベル君があんな風になっちゃった原因が【ロキ・ファミリア】にあることが正式に認められたよ。かなりのペナルティを受けるだろうね。多分リリ君の仕業かな?ベル君に助けられたから自分も何かしてベル君を助けたいって言ってたし」

 

ベルの墓標に刻まれたベル・クラネルの文字に触れヘスティアは言う

 

「分かってる。君はもうここには居ない。君の魂は天界に昇って新しく生まれ変わる。だからベル君、もし君が生まれ変わって僕の前に現れたら、あの夜の続きの言葉を言ってくれるかい?」

 

帰ってくるのは静寂だけ。そこにあるのはベルが生きていた証でしかなく本人ではない。故に言葉は帰ってこない

 

「……………………また来るよ。今度は良い知らせを持って」

 

ヘスティアはそう言うとその場を離れ歩いていきその場にはベルの墓標とリリルカのカスミソウとアイズのキキョウそしてヘスティアの彼岸花が添えられていた




リリルカのカスミソウ 花言葉は【感謝】
アイズのキキョウ 花言葉は【償い】
ヘスティアの彼岸花 花言葉は【悲しき思い出】 そして 【また会う日を楽しみに】
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