ウマ娘を抱きしめたり抱きしめられたりする話 作:最後までHEATたっぷり
とりあえずそれなりのトレウマになったレベルだ・・
そこから上・・8から10までは信じられないくらい進まない・・
本当にちょっとずつ少しづつ・・だ
楽しめるといいよナ
その少しずつの進みを・・・・
※某所投稿時からタイトルを変更
※旧題:サトノダイヤモンドがぎゅー、とさせる話
「ダイヤ……」
「わひゃあ」
サトノダイヤモンドはベッドの上でトレーナーに抱きしめられていた。
うわ言で名前を呼ばれ、思わず素っ頓狂な声をあげてしまって耳の先まで真っ赤になってしまった。
そもそもダイヤ自ら招いた事態であったからだ。
墓穴を掘ったのも飛び込んだのも自分であるからどうしようもなかった。
この場を脱する、という選択肢は捨てる以前にそもそも存在を脳が認識できていない。
自らの熱と、包み込んでくる熱で冷静さを失ったダイヤの脳内は益々ヒートアップしていった。
◇◇◇
レース後の休養期間であるダイヤがトレーナー室に立ち寄ったのは、ちょっとした忘れ物を思い出したからである。
すぐに必要だったり重要だったりというわけではないが、そのままにしておくのも行儀が悪いと思って回収することにした。
しかし部屋に着いてはノックも呼びかけも反応が無い。かといって鍵がかかっているわけでもない。怪しく思いつつもそろりと中に入ってみる。
果たして、トレーナーはそこにいた。彼は昼過ぎの窓から差す暖かな陽気に照らされながら、ソファに座ったそのまま殆ど船を漕いでいた。
作業をしていたのだろう、机の上には資料や書類が広げられている。
しかし腕は力なく垂れさがったままだ。心配になったダイヤはトレーナーを揺すりながら話しかける。
「トレーナーさん……?その……起きていらっしゃいますか?」
「ユノディエールのティンクルダスト寿司レーン」
「……トレーナーさん?」
「カニクイアザラシだったんですね、地元スペシャルを発券機よ……」
寝てはいなさそうだが完全に意識が混濁している。よほど疲れているのだろう。起こすよりも寝かしつけた方がいいかもしれない。
ダイヤには伏せられていたが、トレーナーは普段の業務やレースの事後処理、これからに向けた準備などが重なって勤務時間も連勤日数も伸びていた。
彼女によって起こさないように抱きかかえられたトレーナーは、そのまま大人しくトレーナー室に備えた仮眠ベットに運ばれる。
ベットに横たえて、寝姿を整える。寝る時の姿勢は大事である。変な癖がつけば身体の微妙なバランスを損なうし、循環機能にもよくない。前にトレーナーさんもそう言っていた。
しっかりと問題が無い状態に整え、仕上げに毛布も掛ける。
「トレーナーさん、少しお休みになってください……」
「右コーナーがスライプナーのビッグバン街道……」
まだ一応反応はするが、ここまで抵抗もなかったしそのうち寝るかもしれない。そうでなくとも横になるだけで多少は違う。
そうしてから一度机の上を片付けに戻り、さあ後は忘れ物を取って退出を……と考えたところでふとベットの方が気になった。
見てみると、トレーナーは毛布を抱き込んで丸まって寝ていた。整えたのは何だったのか。
そのまま見なかったことにもできたが、どうにも放置するとばつが悪いように思えて少し考える。
丸まってしまうなら、逆に抱き枕か何かでも抱えさせればいいのではないか?
いささかピントのズレた解決策を天啓のように思い付くものの、しかし普通の寝具はともかく抱き枕なんてものは置いていない。
諦めずに何かないかと室内を見まわした時、思わず丁度いいものを見つけた。
それはデフォルメされたサトノダイヤモンドの大きなぬいぐるみだった。
一抱えどころか人の上体よりも大きい巨大なぬいぐるみは、抱き枕にピッタリだ。
早速トレーナーに毛布の代わりに巨大ぬいぐるみを抱かせ毛布をかけ直す。
完璧です。我ながらいい仕事をしたのではないでしょうか。トレーナーさん、私をぎゅーってしてください。
その姿を見て一仕事終えた気分になっているダイヤだったが、ふと気づく。
どうして、どうしてそこにいるのがあなたなんですか。どうしてトレーナーさんの腕の中にあなたがいるのですか。
自らセットアップしておきながら今更、ふつふつと理不尽な嫉妬の感情が湧いて出た。耳が絞られ、目が細まる。
じゃあどうするというのか。こうするんです。と言わんばかりにぬいぐるみをひっぺがし、そのまま入れ替わる様に空いた位置に身体を潜り込ませた。今度こそ完璧だ。
そしてポジションを確保してからからようやく、ダイヤは自らの行いに驚愕した。
トレーナーさんに抱きしめられてる!?ベッドで────!!!???
嫉妬の曇りが晴れたことで、いま自分が何をしているのかを頭が理解した。これは大胆が、大胆がすぎる。
トレーナーの熱が、身体の骨と筋肉のごつごつとした感触が布越しに肌へ感じられるし何だかいい匂いもする。ゆでだこのように顔が赤くなり、耳がピコピコと忙しなく動き出した。
そうだ、これは添い寝。添い寝なんです。トレーナーさんが寝ておられたお隣にお邪魔させてもらっているだけなんです!!そこでたまたま抱きしめられているだけなんです!!!!!
ヒートアップしていく脳内に対する防衛機制のように胡乱な理論武装が固められていく。
「ダイヤ……」
「わひゃあ」
寝言がダイヤの耳をくすぐった。囁くように呼び、求める声。
驚きとくすぐったさで思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
飛び跳ねなかったのが奇跡なくらいだ。
まだ残っていた頭の片隅の冷静な部分が自らのアクションに高評価を与えるのも束の間のこと。
今度は抱きしめていた腕がぎゅっと少し強くなり、ダイヤの頭に額をぐりぐりとこすりつけてきた。
「だいやぁ~……」
「わわわひゃあトレーナーひゃん……」
トレーナーの呼吸と鼓動がぐっと近くなる。
頭からボン!という音が鳴り、トレーニング後のように全身から蒸気が出ているようにさえ感じる。
トレーナーさん近すぎます!そういえば身だしなみ大丈夫でしたっけ!?朝から結構時間が経ってて……
思考がぐるぐると周り、僅かに残っていた冷静さすらも蒸発していく。
「いいにおい……」
「ぴゃっ!」
このコンボはサトノダイヤモンドによく効いた。
ダイヤのボルテージがさらに上がり、頭の中にバチバチとした感じまでする。
もう何か考えるなど、そういう状態ではなかった。
そして、今度はお互いの脚が絡んだ。
「に゜ひゃっ」
すっかり上体に意識が集まっていたダイヤは、絡められた脚から脳へメテオのように突き刺さる感触にもはや鳴き声とも叫びともつかない音を発しつつ、決壊爆発した。
「ふにゃあ〜……」
わけのわからない多幸感に全身を浮かされる。
熱だか電流だかわからない気持ちのいい感覚が全身を流れていく。
ひとしきり流れるものに感覚を焼かれ、身体が液体のようにどろどろと溶けたような倦怠感が来るようになった頃、その残り香を叩きつけるようにトレーナーを抱きしめ返し、胸元にぐりぐりと額を押し付けた。
何?寝ているトレーナーさんに甘えられて抜け出せない?逆に考えるんだよダイヤちゃん。こっちから甘えちゃってもいいんだ……ってね。
頭の中で誰かがそう言っている気がした。
甘え倒し、比較的頭が冷静になってきたとき、目の前のトレーナーがひどく愛しいものに見えた。
普段あんなにお世話になって、サトノダイヤモンドというウマ娘と付き合ってくれて、そんな頼れる貴方が眠っている今はこんなにかわいらしく見える。
上気する心のままにトレーナーの頭をかき抱き、背中をゆっくりとさする。
私はこんなにドキドキしたのに、トレーナーさんは何も知らず、いつの間にかすっかり寝てしまって。
やられっぱなしじゃあ悔しいので、こちらからもおかえしです。
抱きしめ、さするごとに心がどこか暖かく落ち着いて、自分も瞼が重くなってくる。
イレギュラーな姿勢ですけど、抱き合って寝て悪いことになるジンクスなんてありませんよね。そう思いながらダイヤは睡魔に身を任せた。
やがてどちらともなく両者が起きたことで2体のゆでだこ同士の奇怪な対決が始まるが、それには日が沈むのを待つ必要があった。