有限会社芸者ネットワーク   作:クライングフリーマン

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烏丸から電話を受け取った塔子が相手をした。
「ああ。おかみさん。え、ほんまに?」
塔子は、機関誌「知ってはる_」の編集長でもある。



37.リハビリ

 

========== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

橘[島]代子・・・仕事上、通称の島代子(しまたいこ)で通している。「有限会社芸者ネットワーク代表」改め「Geikoネットワーク」。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩。芸妓の時の芸名は『小豆』。また、本部の住所も極秘である。後輩達には堅く口止めしてあるのだ。

飽くまでも、私的組織だが、警察にはチエを通じて協力している。可能なのは、情報提供だけである。カムフラージュの為、タウン誌『知ってはる?』を発行している。

戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

烏丸まりこ・・・Geikoネットワークの事務員。

貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。

西川稲子・・・代子と塔子の、プログラマー修行時代の仲間。

 

刑部政男・・・京都地検特捜部所属。

弓矢・・・京都府警捜査四課所属。

 

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※京都には、京都伝統伎芸振興財団(通称『おおきに財団』)と京都花街組合連合会という組織が円山公園の近くにある。両者は、芸者さん舞妓さんの『芸術振興』の為にある。オフィシャルサイトも存在する。

現在、京都花街組合連合会に加盟している花街として、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、総称して五花街と呼んでいる。 鴨川の東側、四条通の南側から五条通までの花街。

※この物語に登場する『芸者ネットワーク(本作からGeikoネットワーク)』とは、架空の組織であり、外国人観光客急増に伴って犯罪が増加、自衛の為に立ち上げた、情報組織である。

会社名は『スポンサー』の一人、橘吉右衛門が命名した。

リーダーは、『代表』と呼ばれる、芸者経験のある、元プログラマーの通称島代子(しまたいこ)である。本部の場所は、小雪しか知らないが、『中継所』と呼ばれる拠点が数十カ所あり、商店や寺社と常に情報交換している。

 

午前9時。Geikoネットワーク。

烏丸から電話を受け取った塔子が相手をした。

「ああ。おかみさん。え、ほんまに?」

塔子は、機関誌「知ってはる_」の編集長でもある。

情報源である『基地』のお店の人とも雑談をする。

いつもは、午前中は、代子は夫の病院だ。

だが、今日は代子の病院だ。

4ヶ月に一度の『定期健診』である。それで、橘の病院には、その帰りに行く。

今日は、介護タクシーではなく、稲子の運転する車椅子移動車だ。

午前9時。下池病院。

事故に遭い、骨折して入院した病院で、どこの救急病院も一杯で困っていたが、橘が灘知事に頼み込んで救急病院ではないが、搬送して貰った。灘は、橘が議員になったときに党の同期だった。実は、芸者ネットワークのスポンサーにもなってくれた『旦那衆』の一人だ。

MRIが終った後、診察室の待合で、代子は、かつてのリハビリ仲間に会った。

稲子に紹介し、少しおしゃべりしたが、駅で論争になり、ストーカー行為を受けていることを聞いた。

健康体の人は、そうではない人に冷たい。

それは、代子自身も味わっている。

何度死のうと思ったか解らない。

代子が階段から転げ落ちたのは、無作法な客のせいだった。

だが、彼は、じゃれ合っていて、勝手に転んだと言った。

裁判では、証拠不充分で不起訴になった。

小雪達後輩や橘が代子を支えたのである。

これからは情報時代だから、」と芸者ネットワークを提案したのは橘だが、その前に橘は灘から警察の目に届かない部分もあると聞いていた。

診察が終り、出て行くと、稲子が「念の為、名刺頂いておいたわ。個人の名刺やけど。」と言った。

今は、パソコンで名刺を作れる時代だ。少数の枚数なら、こちらの方が便利だし、いつでも変更出来る。

 

午後1時半。Geikoネットワーク。

橘の病院にも寄った、代子と稲子が出社した。

「代子。温泉郷やまいろの女将さんからやけど、この間、議会中に転んで入院した愛川治夫議員、仮病らしいわ。入院してる筈やのに、女将さんが本人の応対してビックリしたって。」と、塔子が言った。

「愛川さんって、灘知事に文句ばっかり言う、議員やろ?サボり???」代子が尋ねると、「その愛川議員の入院してる先のことらしいねん、代子の知り合いの高津さん。」と稲子が言い、「高津さん、愛川が何とかって、言ってたわ。途中やったけど、看護師呼びに来て。」と続けた。

「そしたら、ストーカーって・・・。」

その時、東山署とのホットラインが鳴った。

烏丸が出て、稲子に繋いだ。

「稲子さん、高津愛子さんって知ってはる?」

チエの言葉に、稲子はスピーカーをオンにした。

「高津さんは、私の知り合いなんよ、チエちゃん。昔、一緒にリハビリ通った。杖突いて無かった?」

「交通事故で運ばれた。杖は1本回収した。」

3人は、後を烏丸に頼んで、高津の入院先に急いだ。

午後3時半。東山総合西病院。

チエが玄関まで来て、「今、検査中。杖に血痕があったから、今調べてる。」と言った。

刑部と弓矢がやってきた。

「警視、血痕の主は、愛川議員でした。マエあるから即解った。」と弓矢が言い、「警視、後でこっちにも回して貰えます?愛川の入院先に今おらんけど、贈収賄で探して・・・。」と、刑部が言った。

「刑部さん、今は病院やのうて、温泉郷やまいろ、です。仮病で遊んでいるらしい。」と、代子が言った。

刑部も弓矢もチエも、部下を連れて出て行った。

 

午後5時。待合室ロビー。

バイブが鳴るので、稲子が出て、代子に渡した。

「愛川、捕まえたで。流石Geikoネットワークや。皆張り切ってる。」

 

午後9時。代子のマンション。

「高津さん、打撲増えたけど、頭はやられてなかった。ピンピンしてる愛川見付けて詰ったらしいの。そう、それで、刺客。政治家って、単細胞多いわね。」

「だから、辞めたんだよ、代子。」電話の向こうで橘が笑った。

 

―完―

 

 

 

 

 

 

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