堕天せし明けの明星   作:ばりるべい

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帰り道でのあれやこれや

 

味のしなかった遅めの朝食の代金はミカエルとガブリエルが払ってくれた。

有難かったが、こいつらのせいで食事を楽しめなかった様な物なので素直に感謝しにくい。

まぁ、ついてくるのを了承した俺に責任がある訳だが。

 

「いやぁ、中々美味だったね。」

 

ミカエルは行きに通った道を道を戻りながらニコニコして言った。

 

「そうか…良かったな…」

 

俺は色々な感情を飲み込みながら応えた。

ルシファーは相変わらず俺とミカエルを睨みつけながら後ろを歩いている。

ガブリエルがいなかったらミカエルとルシファーはまた戦いを始めかねない雰囲気だ。

 

「なぁ、あそこのカフェに寄らないか?」

 

少しでも空気を変えたくて、別に本気で行きたいと思った訳でもない小さなカフェに行く事を提案した。

ミカエルは乗り気でガブリエルは受け身の姿勢、ルシファーは何も言わなかった。

結局多数決でカフェに入る事になった。

 

驚いた事に行きたい人と言うと手が4つ上がった。

驚愕しながらルシファーを見ると、目があった瞬間手を上げたままそっぽを向いた。

ミカエルは吹き出した。

ルシファーが拳を握ったので慌てて俺が宥めに入った。

ガブリエルは微笑みながら眺めていた。

 

いやお前も手伝えよ。

 

 

カフェに入ってみると、思っていた以上にいい雰囲気で適当に選んだが当たりかもしれないと思った。

今度は俺がミカエルの隣に座り、ルシファーとガブリエルが俺と対面する形で座った。

食事は摂ったばかりなので、コーヒーやお茶とデザート等を各々好きに注文した。

ミカエルは紅茶とショートケーキを、俺とルシファーはコーヒーを注文し、ガブリエルは意外にもメロンソーダを注文した。しかもアイス付きだ。

こいつも大概変な奴だと俺は思った。口には出さなかったが。

勿論、メロンソーダを注文する事自体は変ではないが、神父の格好をした奴がアイスの乗ったメロンソーダを飲んでいるのはかなり珍妙な光景だ。

 

ここでも性懲りも無くミカエルがルシファーを焚きつけ、ルシファーが売り言葉に買い言葉で険悪な雰囲気になり俺が慌てて仲裁するのをガブリエルが眺めると言う光景がまたしても繰り返された。

 

その内、俺も馬鹿らしくなって放っておく事にした。

こいつらがどれだけヒートアップしても、大事になる様な真似はしないと気づいたからでもある。

 

しかし、ミカエルがコーヒーを泥水だと笑い、堕天し地に堕ちたルシファーにはお似合いだと言った時、ルシファーは立ち上がると店を出て行ってしまった。

俺もガブリエルもこの時ばかりは呆れて苦言を呈したがミカエルは気にも止めない所か、ルシファーが戻ってくるまで店を出ないと言い出したので、俺もガブリエルも揃って肩をすくめた。

 

2時間程経ってようやくルシファーが戻ってきたので店を出た。

怒って店を出て行った割にルシファーはもうさほど怒っていない様だった。

 

その後、何とは無しに俺の自宅に戻る道をとぼとぼと歩いていた。

舗装されてから随分経っているのだろうぼこぼこのアスファルトの歩道に、時々足を取られながら3人の美男美女と一人の無職が一様に沈黙して歩いているのだった。

 

「そう言えばお前ら何処からきたんだ?」

 

沈黙に耐えられなくなって俺は尋ねた。

 

「ん、君達が言う所の天界だよ。ねぇ、ルシファー?」

 

ミカエルはどこか揶揄する様にそう言う。

対するルシファーは黙って睨みつけるだけだ。

また空気が死んでしまった。

 

もう本当にこいつら元々身内なのに余所者巻き込んでギスギスするのは辞めて欲しい。

 

誰一人とて口を開かず黙りこくって歩いていると、奥の方から此方へ歩いてくる集団が見えた。

そう言えば、ああ言った人々の中にもネフィリムの血を継いだ人がいるのだろうかとふと思った。

ミカエル…正確にはミカエルの手下の大鷲が殺してしまった女の子二人は友達だった様だが、二人揃って殺されたと言う事は両方ネフィリムだったと言う事だ。

そう考えると、ネフィリムの血を継いでいる人間はそう少なくないかもしれない。

 

「なぁ、俺みたいにネフィリム血を継いでいる人間って珍しくないのか?」

 

「…」

 

何故か一様に皆黙った。

ミカエルなんかは立ち止まってぽかんとした表情をしている。

 

「…?なぁおい、どうなんだよ?」

 

「…ああ、まぁそうだね。実際私もあんなに大勢のネフィリムが固まっているのは初めて見たよ。」

 

「…ん?どう言う事だ?」

 

「焔君、前から近付いてくる集団が見えるだろう。あれは全員ネフィリムだ。」

 

ガブリエルが困惑を隠せない声色でそう言った。

 

「…何だって?」

 

「気をつけた方が良い。こんな事は異常だ。」

 

前から近づいてくる集団はざっと数えて12人と言った所だろうか。

確かに和気藹々とした仲良しグループと言うよりは、統率の取れた軍隊か何かの様に見える。

 

集団は俺達の手前10メートル程で立ち止まると、左右に陣形を展開して車道も歩道もお構いなしに立ち塞がった。

 

 

そして、視界が眩い閃光に包まれた。

 

 

目を開ける様になった時、目の前には12体のネフィリムが仁王立ちしてこちらを睨みつけていた。

 

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