転生特典を原作を良くするために使った結果   作:パンダ三十六か条

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追記、改変しました。


この告白によって、俺の物語は動き始める。

ドタバタと階段を誰かが駆け上がってくる音で俺は目を覚ました。

 

「イッセーくん! 朝だよーっ!」

ガチャッと勢いよくドアを開けて幼馴染の少女が入ってくる。今日も朝から異様な程にハイテンションだ。

 

「……」

俺は無言で布団を被った。俺は朝が苦手なタイプの人間なので、コイツのテンションにはついていけない。

 

「こらっ! 起きなさいイッセーくん! 学校に遅刻するわよ!」

 

抵抗虚しく、幼馴染の手によって布団は一瞬にして剥ぎ取られた。途端に温かみは周囲へと去って行ってしまう。それと共に眠気はどこかへ飛び去ってしまった。

 

「もう少し寝かせてくれよイリナ……」

「早く着替えなきゃ遅刻しちゃうでしょ! さっさと起きて!」

 

そう言ってイリナは俺を抱き起こすと、俺のパジャマのボタンを外しはじめる。

 

彼女の名前は紫藤イリナ。俺の幼馴染で、幼稚園の頃からの腐れ縁だ。

父親は牧師で家は協会、そんな家庭で育った彼女はとても熱心なキリスト教徒である。俺もイリナの影響で小さい時からたまにミサに行っていた。

特技は剣道。昔からイリナの父さんや、その同僚の八重垣さんに竹刀の振り方などを習っていた彼女の腕前はもはやプロの選手並み。もう、教えていた二人は彼女にかなわないらしい。

 

にしても、最近イリナのおっぱいがますます大きくなってきているな。間近な所から見ていると、その成長っぷりが伺える。それに、なんだか高校生になってから色っぽさが増した気もするし……。何だか妹の成長を見守る兄のような、複雑な気分だ。

 

そんな事を考えている間にいつの間にかパジャマは脱がされて、ワイシャツを着せられていた。俺はゆっくりと立ち上がると、ズボンをノロノロと脱いで履き替える。

 

 

 

「そう言えばイッセーくん、昨日ソーナさんと何か話してたって友達から聞いたんだけど、何を話してたの?」

突然、イリナは俺に制服を着せながらそんなことを聞いてきた。

 

「え? 体育祭参加するのかどうか聞かれただけだけど?」

 

「そっかー、それなら良いよ」

 

一体どうしたんだ? 何か彼女と話したらマズイことでもあるのか?

 

「……あれ? そういえばイリナ、お前生徒会長と仲良いのか?」

 

「え⁉︎ いや、別に仲良くなんてないよ⁉︎」

 

……何でこいつはこんなに慌てているんだ? わけわからん。

 

 

 

*****

 

 

 

「イッセーさん、おはようございます」

「おう! おはようアーシア」

 

アーシアはイリナの家にホームステイしている外国から来た女の子だ。この子も熱心なキリスト教徒で、イリナと一緒になってよく神様に祈っている。

 

「すいません、イッセーさんのお父さんとお母さん。朝ごはんをご馳走になってしまって」

 

「いいのよアーシアちゃん、遠慮しなくても」

「そうそう、まるで娘が出来たみたいで心が和むからね」

 

アーシアはうちの親とかなり仲が良い。というか、色んな人と仲が良い。優しい彼女と話していると心が癒されてることから、周りの人々にとって心のオアシスになっているらしい。

 

「おばさん、ご飯おかわり!」

「はいはい、器よこしてね」

……コイツはもう少しアーシアを見習って遠慮を覚えるべきだな。

 

二杯目のご飯を掻き込むイリナをジト目で見ていたら、突然アーシアが俺のシャツの袖をチョンチョンと引っ張ってくる。

「ん? どうしたアーシア?」

「イッセーさん、今日の野菜炒め、頑張って私が作ってみたんですが、お口に合いますか?」

「そうか。アーシア、コレすっごく美味いぞ」

なんと、今日の野菜炒めはアーシアが作ったらしい。アーシアは料理を日本に来てから始めたらしいのだが、既にかなりの腕前だ。ちなみにイリナは卵かけご飯ぐらいしか作れない。

アーシアとイリナ。この二人のの間の女子力の格差はどんどん広がっているようだ。

 

時計を見ると、もう既に7時50分を過ぎていた。そろそろ家を出ないと遅刻してしまう時間だ。

「イリナ、アーシア、そろそろ学校に行くぞ」

「はい、イッセーさん!」

残ったご飯を掻き込んで、バックを左手に持って立ち上がる。

 

「よし、行こっか。イッセーくん」

 

そう言って、イリナは俺の右手を握った。

 

「……なあ、イリナ。いつも恥ずかしいって言ってるだろうが」

「いいの! ここは私の定位置なんだから!」

 

そう言って彼女は俺の手を強く握った。

 

イリナは玄関のドアを開けて、手を繋いだまま俺と一緒に歩き出す。

 

「……なあ、イリナは恥ずかしくないのか? 俺なんかと手を繋いで登校するなんてさ」

 

「別に恥ずかしくなんか無いよーっ」

そう言って、繋いだ腕をブンブン彼女は振った。

 

「私がイッセーくんの隣にいる。そうイッセーくんと約束したでしょ?」

 

そう言って彼女は笑った。

 

 

*****

 

 

授業を受けたり、クラスメイトと喋ったり、そんなことをしていたらいつの間にか放課後になっていた。

 

「イッセーくん、それじゃあ帰ろっか」

「おう、帰るか」

「一緒に帰りましょうか」

 

3人で集まって帰ろうとしていたら、教室のドアが突然開く。

「イリナさんとアーシアさん、ちょっと確認したい事があるのだけれど」

 

入って来たのは生徒会長だった。教室の中がいきなり騒がしくなる。

 

「……わかりました。イッセーくん、先に帰ってて」

イリナが残念そうな顔を浮かべる。

 

「ゴメンね、イッセーくん。一緒に帰れなくて」

「いや、別に謝ることはないだろ?」

イリナは別に悪くないのに、謝られるとなんか罪悪感がある。それに、一緒に帰れないからといって、どうという事はない。

 

「じゃあ、先に帰ってるわ。そんじゃーな」

そう言って、俺は教室を出て行った。

 

 

 

「……まるで、子供だな。俺」

 

そう言って俺は、動かない(・・・・)右腕を掴む。力なく身体からぶら下がる肉の塊を、俺は内出血になりそうなくらいの力で握りしめた。

 

 

 

 

 

 

俺は昔、イリナをかばって事故にあったらしい。

らしいと言うのも、俺はその事故の瞬間を覚えていないのだ。

 

気がついたら俺は病院のベットで寝ていて、右腕が動かなくなっていた。

 

俺は腕が動かないショックでパニックになり、酷く泣きじゃくった。その時に、イリナが俺を抱きしめながら、俺のことを慰めてくれたのだ。

 

『私が隣にいるから! ずっとイッセーくんの側にいるから!』

 

その時から、イリナと俺はずっと一緒にいる。彼女が駒王学園に進学したのも、俺がそこに行くと言いだしたからだ。

 

それだけではない。イリナはプロ級の剣道の腕前がある。それなのに彼女は剣道部に入ろうとはしなかった。彼女なら絶対に日本一になれるのに。

なぜ入らないのかと彼女に聞いたら、「だってイッセーくんと一緒に帰れないじゃない」と、当たり前のように返された。

 

多分彼女は俺に対して強い罪悪感を抱いているんだろう。だから、彼女は俺に尽くす。俺の着替えを手伝い、俺の前のドアを開け、俺の側で笑うのだ。

 

俺はそんな彼女の心に漬け込んで、いつまでも彼女に頼り切っている。

最低だ、という自覚はある。だけど、俺はいつまでもこの生活をやめることが出来なかった。

 

多分、俺はイリナに依存している。彼女が暮れる無償の愛に似た感情に溺れている俺は、もうそれ無しでは生きられないのだろう。イリナの声に、イリナの匂いに、イリナの温もりに、俺は依存し続けているのだ。

 

だから、この関係はいつまでも続く。

俺たちが年老いて死ぬまで、片方が支えて片方が支えられる一方的な関係は続くのだろう。

 

 

 

俺はこの時まで、俺たちの関係はずっと続くと思っていたのだ。

 

 

 

 

「あの……兵藤一誠くんですよね」

「え?」

校門を出た瞬間に、突然女の子に話しかけられた。

 

そこに居たのは黒髪の美少女だった。落ち着いた印象の女の子なのに、スタイルは抜群。まさに男子の理想といった感じの女の子だった。

 

「そうですけど、一体何ですか?

 

すると、その子の白い頬が紅く染まる。恥ずかしそうにこちらを見つめると、彼女は口を開いた。

 

「あの、私と……付き合ってください!」

 

「へ?」

 

え? 今、この子何と言った? 付き合う? 突き合う?

 

「今、なんと……?」

 

「わ、わたしと付き合ってください!」

 

 

 

この告白によって、俺の物語は動き始める。

歴史がいくら変わろうが、運命がいくら歪もうが、兵藤一誠の話はここから始まるのだ。

 

配役も違う、設定も違う、ストーリーも違う。

原作とは全く違う物語。同じなのは登場人物のみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ど、何処に?」

 

この物語の先はハッピーエンドか、バットエンドか。それは誰にもわからない。

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